野田佳彦代表は6月19日、臨時の記者会見を国会内で開催。日米関税協議や国際情勢の緊迫化を踏まえ、今国会での石破内閣の内閣不信任決議案の提出を見送る考えを表明しました。

 野田代表は、同日午後の執行役員会で内閣不信任決議案の取り扱いに関し、自身が示した基本的な考え方が賛同されたことを受け、日本維新の会の前原共同代表、国民民主党の玉木代表とそれぞれ会談して見送り意向を伝えました。また、20日から衆院財務金融委員会で本格的に審議が始まるガソリン暫定税率廃止法案をめぐる対応についても、採決まで持ち込み、結果を出していく確認をしたと報告しました。

 同日昼の与野党党首会談で、まさに国難と言うべき認識を共有している米国の高関税措置への対応について議論し、あらためて合意に至るような状況でないことを確認したとして、トランプ大統領と交渉を行っている当事者である石破総理の足を引っ張るような政治空白は作るべきではないこと、G7の在り方や中東情勢を踏まえ、イスラエルとイランの戦争がこれ以上長期化、激化することのないよう事態の収拾、加えて邦人の退避などに全力で外交努力をしなければならない時期であることなどを挙げ、「大事な外交努力をしなければいけないとき、危機管理上の問題もあるときに政治空白は作るべきではないと総理大臣の経験者として判断した」「野党第1党として、石破政権の足を引っ張るのではなく、むしろしっかりやれよとお尻を叩くことが責任ある態度だと思う」と述べました。

 一方で、内政においては無策のままの物価高問題をはじめ、暫定税率に対する対応その他諸々を含めて石破内閣を信任できる状態ではないと指摘。「これらの問題については、しっかり参院選挙の争点として訴えていきたい。昨年10月の総選挙で少数与党政権に追い込むことができた。その優位性を確保しながら参院においても着実に少数与党、過半数割れに追い込むことを確実に実証していきたい。その暁に、次の解散総選挙での政権交代にリアリティが出てくる。『政権交代こそ最大の政治改革』という、私の信念にブレはない。ホップ・ステップ・ジャンプと、着実に政権交代を目指した道筋を歩んでいきたい」と力を込めました。

 「国益を重視した判断か」との問いには、関税問題に加えて最近の中東情勢の緊迫化に言及し、「多くの民間の方がイスラエルでもイランでも亡くなっている現状で、これを放置してはいけない」と発言。2012年に国連総会で一般討論演説を行った時、自身を挟んでイスラエルのネタニエフ首相とパレスチナ自治協議会のアッバース議長だったことにも触れ、「両方と握手できるから国連の事務局が選んだのが日本であり、今はイスラエルともそしてイランとも外交努力で沈静化に向けて努力することができる。アメリカが参戦となったら大変なことになるので、そこに歯止めをかけるための努力をしなければいけない。国益だけの問題ではなく世界のためにやらなければいけないという危機感を持っている」と述べました。


野田佳彦代表記者会見

2025年6月19日(木)17時51分~18時22分
発行/立憲民主党役員室


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○国会最終盤の対応について各党に説明

【代表】
 臨時の記者会見となりまして恐縮でございます。
 きょう12時10分から与野党の党首会談がございました。その会談の結果を踏まえまして、午後2時から党の執行役員会を開きました。その執行役員会で、これからの最終盤の国会対応についての意見交換をするとともに、私のほうから内閣不信任案の取扱いについての基本的な考え方をお示しし、そしてご賛同をいただきましたので、ご賛同いただいたことを踏まえて、各党、特に昨年の10月に内閣不信任案を共同で提出した他の3党に説明をすべく、ご挨拶回りをさせていただきました。
 中身から申し上げますと、きょう党首会談では、当然のことながら米国の高関税措置に対する対応、まさに国難と言うべき認識は共有していますが、その対応についての議論がありましたが、改めて、まだ合意に至るような状況ではないことがよくわかりました。その交渉をトランプ大統領と行っている、まさに当事者が石破総理でございますので、交渉をやっている最中に足を引っ張るような政治空白はつくるべきではないと、これはかねてから思っておりましたが、きょうはそれ以上に、G7のあり方とか中東情勢についての意見交換もありました。
 改めて思いましたが、イスラエルとイランの戦火が拡大し、より戦闘が激しさを増しているという中において、アメリカの参戦もあり得るような状況に至っています。こういうときこそ日本は、日米同盟でありますからアメリカともしっかりと意見を言える間柄であるし、中東においてもイスラエルともイランともこれまで十分な関係構築をしてきた間柄でございますので、これ以上紛争が長期化したり激化することのないように、事態の収拾にまさに全力を挙げて外交努力をしなければいけないときだと思います。
 加えて、大事なことは、邦人の退避が心配でありまして、イスラエルで1200人、イランで二百数十人いらっしゃるという中で、退避が始まりつつあると言いながらも、日本人学校の生徒などの退避がまだ全く行われていないという状況であります。
 こういう大事な外交努力をしなければいけないとき、そして危機管理上の問題もあるときに、政治空白はつくるべきではないと、私は総理大臣の経験者として思いました。したがって、内閣不信任案を提出して政治空白をつくることを回避すべきだと判断をしたということでございまして、この点について各党にご説明をしてまいりました。まだ共産党が残っておりますが、既に維新と国民民主党にはご説明をさせていただきました。
 加えて、そうは言っても、国際情勢がこういう厳しい中で、今申し上げたとおりでありますが、内政においては、物価高の問題の先送り、無策のままであるということ、暫定税率に対する対応、そのほかもろもろを含め、信任できる状態ではないということはあると思います。これらの問題についてはしっかり参議院選挙の争点として訴えていきたいと思います。
 昨年の10月の総選挙で少数与党政権に追い込むことができました。その優位性を確保しながら、参議院においても少数与党に追い込む、過半数割れに追い込むということを着実に実施していかなければいけないと思いますし、その暁に、その次の解散・総選挙において政権交代がリアリティが出てくると思います。「政権交代こそ、最大の政治改革」という私の信念はぶれはありません。しっかりと、ホップ・ステップ・ジャンプと、着実に政権交代を目指した道筋を歩んでいきたいと考えています。
 先ほど国際情勢についてお話しさせていただきましたが、今はまさに野党第1党として、政府の足を引っ張るのではなく、石破政権の足を引っ張るのではなく、むしろ「しっかりやれよ」とお尻をたたくことが責任ある態度だと思っています。こうしたことについて各党にご説明をさせていただきました。
 加えて、暫定税率(廃止法案)については、きょうお経読みが衆議院の財務金融委員会で行われましたが、あしたから審議が本格的に始まるということでありますが、維新の皆様にも国民民主党の皆様にも、しっかりとこれは採決まで持ち込んで結果を出していこうということの確認をさせていただきました。これは各党とも対応していただけるものと思います。確信をさせていただきました。
 また、選挙区の調整がもう既に維新とも国民とも終わりましたので、次の参議院選挙におきましては、やはり野党議席を最大化して、そして与党の過半数割れを目指す。こうしたお互いの確認をさせていただいたということであります。


■質疑

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○国会最終盤の対応について

【NHK】
 見送りの判断をされたということで、党内からは一気にステップ・ジャンプと衆院選もやって政権交代を目指すべきではという声もあり、そういう期待も国民からもあったと思うが、そこの期待の声にはどう応えたいか。

【代表】
 内閣不信任案を出して、解散に至る、ダブル選挙になるという可能性はもちろんあったかもしれません。そのときに、勝てるかもしれないという思いもあります。でも、勝つか負けるか、これはわかりません。
 今は、先ほど申し上げたとおり、やはり衆議院で少数与党に追い込んでいるという優位性を生かして、「熟議と公開」の中で、きのうのように財務金融委員長を解任したりすることができるようになったり、予算修正をすることができるようになったり、様々なことができるようになったことの、この優位性をあえて今の段階で、去年の総選挙から8か月しかたっていないんですよね、それを捨てていくということは私はリスクが逆にあると思っていますので、むしろ、しっかりと参議院選挙を勝ち抜いていくと。その暁に政権交代を確実なものにしていくという選択をさせていただいたということです。

【NHK】
 別件になるが、物価高について触れ、ガソリン税については国民にも維新にも呼びかけたということだった。あすからの対応について、物価高から守るという視点で、どのように臨んでいきたいか。

【代表】
 「物価高から、あなたを守り抜く」ということを、今回の参議院の選挙政策の中でも一番の柱にしている。また、キャッチフレーズでもあります。その中で、今までは食料品の値上げラッシュに対する対応として消費税の対応を訴えてきましたが、ここへ来て、やはりガソリン代がどれだけ上がっていくか。先ほど申し上げたとおり、中東情勢の状況によっては、ホルムズ海峡が封鎖されたりなんていうことがあれば、原油の高騰は今以上にはるかに大きいと思うのです。
 きょうの党首会談の中で石破さんが、8000億だったですか、基金を使ったやり方でガソリン代を引き下げていくということをやると、6月26日からと言っていましたが、そんなものでは全然半端過ぎて対応できないと思います。だとすると、こういうときこそ暫定税率の廃止は、自民党も公明党も廃止することについては合意をしていたので、これは政治決断すべきだと思いますので、しっかりとこれは戦って、そして、しっかりと結論を出していけるように頑張っていきたいと思います。

【NHK】
 結論、実現するには、やはり参議院まで通さないといけないと思うが、その辺の見通しはいかがか。

【代表】
 きょうは衆議院と参議院の国対間での連携も、きょう2時の執行役員会でやらせていただきましたので、参議院も含めてしっかり決意をしたところであります。

【読売新聞】
 代表はかねてから不信任を出す出さないの判断は総合判断だと繰り返し述べておられた。きょう冒頭で国際情勢や日米の関税交渉を理由に挙げておられたが、ひとえに、まとめると国益を重視されたということでよろしいか。

【代表】
 そうご理解いただいて結構だと思います。

【読売新聞】
 決断をしたタイミングは、これはきょうだったということでよろしいか。

【代表】
 いや、最近、特に中東情勢が緊迫してきたのは最近でしたので、関税についての考え方は基本的に持っていましたが、一方で、やはりこの中東情勢の緊迫化というのは、これはもう世界経済にとっても大きな影響が出るし、加えて、今もう既に多くの民間の方がイスラエルでもイランでも亡くなっているという現状で、これを放置してはいけないと思います。
 私自身は、2012年に国連総会で一般討論演説をやったときに、たまたま私の前がネタニヤフ・イスラエル首相、私を挟んで次がパレスチナ自治評議会のアッバス議長ということだったのです。それは日本が両方と握手できるからだったんですね。だから国連の事務局が選んだという立場の日本ですから、今はイスラエルとも、そしてイランとも、やはり外交努力で沈静化に向けて努力することができるし、なおさらアメリカの参戦になったらこれは大変なことになりますので、そこに歯止めをかけるための努力をしなければいけない。
 これはもう国益だけの問題ではなく、世界のためにやらなければいけないという危機感を持っております。

【読売新聞】
 1問目にお伺いした際に、総合判断と繰り返されたと申し上げたが、あわせて、突然出したら驚くだろうからということで、もし出す場合は他の野党に事前にご相談をというお話をされていたと思う。きょうは逆の判断になったが、各党に丁寧に説明に回った理由を教えていただきたい。

【代表】
 出す場合には、やはり事前にご相談に行くというか説明に行くとは申し上げていました。いきなり出すと言ったら、それは解散になる可能性もあるので、心構えもあるでしょうし、急に言われてもというふうにあると思うので、これは礼儀だと思っていましたが、逆に、出すか出さないかという状況の中で、なぜ出さないのかということもやはりきちっと説明する必要があると思いましたし、先ほど言ったように暫定税率でのより共闘態勢を強めるということなども含め、だから国対委員長にもきょうは同行してもらってお話をさせていただきました。また、選挙の問題もありますので、党務全般は幹事長にもご一緒いただいたということであります。

【読売新聞】
 最後に、もう一問お願いしたい。維新と国民民主にはご報告を済ませたかと思うが、それぞれどういった反応があったか。

【代表】
 前原代表からは、特に不信任の取扱いについては、これから私が申し上げたことを吉村代表にご報告をするということをお話しされておりましたが、自分個人としては総理大臣経験者としてのいわゆる経験がよく出た判断ではないかという、肯定的な評価をしていただきました。特に暫定税率については、それは国対間でもしっかり緊密に連携してやっていきましょうということになりました。

【読売新聞】
 国民民主からはどういったお話があったか。

【代表】
 国民民主からは、私が説明をして、基本的には、いいとか悪いではなく、野党第1党としての考え方を受け止めますという感じでありました。
 榛葉幹事長からは、なぜきょうなんですかというようなお尋ねがあったので、あしたは財金でいろいろあるということで、参議院に回るかもしれないなどなどを含め、挨拶に回っていく時間が取れるかどうかわからなかったし、党首会談の直後だったので、きょうなるべく早めに決断をしてお知らせしたほうがいいだろうと思ったということの趣旨を申し上げさせていました。

【朝日新聞】
 これまでの質問とも重複するが伺いたい。これまで野党が少数のときには年中行事のように不信任を出していて、逆に今回、その状況が逆転して、出せば可決が見込める状況になったら出さない。このことに対しては弱腰ではないかという批判が党内外から相次いでいたが、この弱腰批判について代表は率直にどう受け止めるか。

【代表】
 今の国益を考えた判断を弱腰と呼ぶのかどうか、逆にお聞きしたいですね。邦人の退避等々、極めて危機管理に関わる問題です。弱腰ではないでしょう、それは。責任ある態度ではありませんか。

【朝日新聞】
 実際そういう声が党内から上がっており、きょうも小沢一郎さん初め約30人の議員が集まって提出を求める会も開いた。党内でも実際に出すべきか出さないべきか意見が割れる状況だったが、今回の判断を受け、この党の割れた状況、どのように党運営を進めていくか、お考えをお願いしたい。

【代表】
 意見が割れているテーマについて責任を持って判断をするのが代表であり執行部です。AかBかという判断だったら、Aでなければ駄目だと言われてもBという判断をすることだってあるわけで、逆に、Bという判断をしようとしている人達もいるわけですから、決まったことについては従っていただきたいと思っています。

【朝日新聞】
 最後に一点伺いたい。今回の提出しないという判断と、昨今の年金をめぐる対応なども含め、石破政権との向き合い方、自民党との向き合い方において、参院選後、いわゆる自民党などとの大連立とか、連立政権の枠組みの拡大で立憲民主党と自民党が組むのではないかという観測も流れている。大連立に対する現在の考えをお願いしたい。

【代表】
 考えていません。

【共同通信】
 政治空白をつくってはならないという理由、もちろんそのとおりだが、今回提出しなかった背景として二つの見方が多く指摘されているかと思う。まず一つが、小泉農相の就任で、各社の世論調査で内閣支持率が上向いているということ。二つ目が、衆院解散を誘発して同日選になった場合に準備が整わないのではないかという指摘。そういう批判には代表はどのようにお答えになっていくか。

【代表】
 的外れだなと思いますね。小泉さんどうこうでこういう判断はしません。
 もう一つは何でしたっけ。

【共同通信】
 準備が整わないからではないかと。

【代表】
 準備は整っています。公表はしていません、衆議院の候補は。参議院のすみ分けをやっているときに衆議院の候補をばんばん出したら、それは調整できないでしょう。それは万が一のためには、当然選対委員長と相談をして、どの地区にはどういう人ということは当然カウントしていました。全く的外れだと思います。

【産経新聞】
 今ほどの会見の裏側で、小沢一郎衆院議員がぶら下がり取材をしており、政治空白をつくるべきではないと野田代表はおっしゃったが、その政治空白という考え方について小沢一郎衆院議員は、予算は通過しているし執行は省庁がやる、選挙や総辞職になっても暫定的に現内閣が引き継がれる、政治空白は起きないというふうに否定されている。このような考え方についてはどのようにお考えか。

【代表】
 私も総理になって交渉当事者をやっていますが、例えば二国間の日米等の関係での大事な交渉をやっているときに、それで政治空白をつくったら、それは交渉当事者として相手は見ませんよ。やった経験から申し上げています。
 加えて、今も申し上げたように国際情勢が緊迫しているときです。その紛争を拡大しないように全面的に努力しなければいけないときで、日本はやらなければいけない立場ではないですか。しかも、邦人の退避の問題等、危機管理の問題があるとき。それは政治空白をつくるべきではないと私は確信しています。

【産経新聞】
 交渉など外交の問題に関連して、現在の石破政権は少数与党の内閣ということで、外交においては他国から足下を見られる、立場が弱いというふうに見られる面もあると思う。内閣不信任案を出して政権交代を果たすことによって、このような国難ともおっしゃった国際情勢を乗り切るという、そのような判断、お考えはされなかったのか。

【代表】
 例えば関税交渉でいつまでたっても合意できないというときには、例えば秋の臨時国会で不信任を出すと、取って代われという動きをする可能性はもちろんあると思います。ただ、今はまだそこまでの判断をする状況ではないではないですか。今のその努力を継続しながら、どういう結果が出るかというのをよく注視していくし、逆に、ああしろこうしろとお尻をたたくのが我々の役割ではないかと思っています。

【産経新聞】
 最後に、今までの質問とも重複するが、内政では不信任に値するというようなことも冒頭述べられたが、具体的なテーマとしては企業・団体献金の禁止や選択的夫婦別姓といったテーマもある。このようなテーマよりも国益を重視されたというような今回の判断ということか。

【代表】
 政治改革、あるいは選択的夫婦別姓、残念ながら継続(審議)の方向ですからね。本来は延長しないでしっかり結論を出したかったのですが、なかなか自民党の案というものが出てこないし、採決を嫌がったりしましたので、延長戦になってしまいました。残念だと思います。でも、それは逆に言うと参議院(選挙)の争点になると思いますね。
 それ以上に、物価高対策が一番無策で、いい加減だと思っていますので、そういうことは争点化しなければいけないと思っていますが、それをもって、内閣不信任案を出したい気持ちはもちろんありますが、国際情勢を考えたときに、それはやはり避けるべきだと判断をいたしました。

【日本経済新聞】
 仮定の質問にはなるが、単独で内閣不信任案を提出できるのは立憲民主党ではあるが、例えば維新と国民が一緒になって51人以上集めれば提出することは理論上できる状況にはある。もし維新と国民民主の共同提出とかがこの国会中に出るような場面が来たときには、立憲民主党としてはどういう態度で臨むか伺いたい。

【代表】
 ちょっと随分飛んだ仮定なので、お答えしかねます。

【毎日新聞】
 今の質問に関連して。もし共同提出の提案が維新・国民からあったとしても、今回のこの政治的空白をつくってはいけないという代表の結論は変わらなかったとお考えか。

【代表】
 たらればになりますが、少なくとも先ほど前原さんはご理解をいただいていました。国民民主からも特に異論があったわけではありませんので、今のその仮定もちょっとあり得ないと思います。

【毎日新聞】
 一点お聞きしたいのが、今回、国難だったり政治的空白ということをいろいろと考えて見送られたと思うが、仮にこういった国難や政治的空白をつくるような場面がなければ、多数で不信任案を通すことができたような国会情勢だったと思う。1月から通常国会が始まり、ここまで来て、竹光をどういうふうに抜くかということを考えられてきたと思うが、こういった国難がなければ可決させられた状況だったということについて、例えば歯がゆさだったり悔しさみたいなものはあるか。

【代表】
 可決できたかどうかは、それはわかりません。それは出してみないとわからなかったと思います。賛同する党があったのかどうか、これはよくわかりません。出すという前提で相談をしたら、そのときに初めてわかることだったので、現時点ではそれはわからない話です。

【毎日新聞】
 出すハードルが高まってしまったことについての例えば歯がゆさみたいなものはあったか。例えば先ほど信任するものではないと、今の内政への石破政権の向き合い方をおっしゃっていたが、そういう状態にもかかわらず出せないという状態になると思うが。

【代表】
 出せないというより、出すべきではないということですから、歯がゆさとは関係ありません。

【東京新聞】
 この不信任案見送りの方針を石破総理にはお伝えになったのかどうかお聞きしたい。

【代表】
 伝えていません。

【東京新聞】
 今後お伝えになるようなご予定は。

【代表】
 もう伝わっているのではないですか、速報か何かで。

【時事通信】
 先ほどの質問で、仮に提出した場合に可決できたかどうかわからないというお話があったが、先般は財金委員長解任決議案は野党がまとまって通すことができた。可決しようと思えばできたのではないかと思うが、そこはいかがか。

【代表】
 それとこれとは違うと思います。暫定税率については7党が共同で提出をしましたので、その審議に入ってこなかったから、その責任を問うということは、これは全体が皆でまとまって行動できました。不信任に値するかどうか、不信任を出していいかどうかというのは、これはまた別の議論だと思いますので、直結する話ではないと思います。

【時事通信】
 解任決議案が出たときに、党内から、これが不信任の代わりなのではないかという声が取材していると上がってきた。この財金委員長解任決議案をもって不信任の代わりとする意図があったのか。

【代表】
 全くありません。

【西日本新聞】
 参院選を控える3年に一度の重要な通常国会で、多数を取っている野党の中の第1党である立憲民主党が内閣不信任案を出さないということを表明したことで、特に参院選1人区などは激戦になるかと思うが、自公と戦っていくという姿勢に対して有権者からはちぐはぐと取られかねないところもあるかと思う。政権を信任したわけではないとおっしゃったが、立憲民主党が参院選で伸びれば、政権に対して参院選後どう向き合っていくつもりなのか。イメージを教えていただきたい。

【代表】
 先ほど申し上げたように、「政権交代こそ、最大の政治改革」だということはずっと言ってきたとおり、その思いは全く変わりません。私はそのために代表になったと思っていますし、政権交代が実現できなかったら代表を辞めるという決意の下でやっている話です。
 でも、しっかりとそれは着実にホップ・ステップ・ジャンプにつなげていきたい。このホップ・ステップのところは、これは(前回総選挙で)躍進して、そして、いわゆる改選議席数だけではなく参議院においても与党の過半数割れまで追い込むことができたならば、これは事実上の政権交代につながる話だと私は思っているんですね。そういう戦いを進めていきたいと思っています。

【西日本新聞】
 事実上の政権交代と言える全体での与党過半数割れをできた暁には、また首相になるために衆院での首班指名を行うことを求めていく、つまり内閣総辞職を求める、そういったことは考えているか。

【代表】
 それはやはりどういう結果かによるではないですか。票数だとか、あらゆることを想定しながらやっていくしかないと思っています。今から確定的に申し上げられません。

【時事通信】
 小沢一郎さんから、きょう何らかのコンタクト、電話なり直接なり、この不信任案をめぐり何かやり取りとか意見交換はあったか。

【代表】
 ありました。きょうの5時過ぎに、不信任を出すべきであると。きょうお昼ですか、集会をやられたと思いますが、その中での決まったことを、申入れ書を私に手渡しに5時過ぎに来られました。

【時事通信】
 石破首相が不信任案を出されたら採決前に解散する意向を示したと報じられ、一般にもそういう話になったが、それに対して野田さんは一時ちょっと不快感を示したように受け止めたが、それに対して野田さん自身は、まさかとは思うが、恐れをなしたのかどうか。その点はどうか。

【代表】
 恐れは全くなしていないです。なしていないというのは、もしそれをやるとしたら69条の解散になるのですかね。従来言っていることと違うではないですか。内閣不信任案が可決されたり信任案が否決されたりというときに解散でしょう。出しただけで解散って、結局普段おっしゃっていることと違うでしょう。
 しかも、去年の10月9日の解散だって同じことでしょう。就任してすぐ、戦後で一番最短で早く解散して、今度、8か月たっただけで、それで解散というのは、私はそれは解散権の濫用だと思いますので、やってきたらそこで歯向かいますよ、徹底して。恐れではありません、そんなのは。

【関西テレビ】
 先ほど、国民民主党に行かれたときに、榛葉幹事長からなぜきょうなんですかと言われたというお話があった。自民党は、今までのいろいろなことを見ていると、例えば予算が通ったらすぐ、今までいろいろ気を遣っていたものが急に塩対応になったりとか、ほかの党の交渉でも見られた。不信任案が出ないとわかったら、やはりいろいろと、例えば審議に応じるのが急に応じなくなったりとか、これからのあと1日、会期的にはあと3日あるが、これがちょっと不利になる可能性、もしかしたらぎりぎりのぎりぎりまで不信任を出すか出さないかわからない状態にしておいたほうがよかったのかもしれないが、この辺りについて、どういうふうにお考えか。

【代表】
 もう法案がないでしょう。ないではないですか、暫定税率でしょう、あとは。あと1本、内閣関係があったのかな、閣法が1本残ってくる。
 そういう影響はないのではないですか。

【関西テレビ】
 例えば採決そのものにものすごく抵抗してくるとか。

【代表】
 その可能性はあると思います。だから、あしたは大変かもしれませんね。覚悟の上です、それはね。

(以上)