議員立法の「高次脳機能障害者支援法案」が12月16日、参院本会議で全会一致で可決・成立しました。
高次脳機能障害の特性に関する国民の理解が必ずしも十分でないこと等の理由により、高次脳機能障害者が適切な支援を受けることができず、日常生活や社会生活を円滑に営む上での困難を有する状況にあります。こうした状況に鑑み、立憲民主党などの超党派の議員が参加する「高次脳機能障害者の支援に関する議員連盟」(会員は立憲民主党が最多)で「高次脳機能障害者支援法案」を検討してきました。
本法案は高次脳機能障害者に対する支援に関する基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、地域での生活支援、教育的支援、相談体制の整備、高次脳機能障害者支援センターの指定等について定めることにより、高次脳機能障害者の自立及び社会参加のためのその生活全般にわたる支援を図ることを目的とするものです。
立憲民主党は本法案の成立において主導的な役割を果たし、立憲民主党の提案で(1)「高次脳機能障害」の定義に失語を追加し(失語症の患者数は推定約30万人)(2)体系的・実効的な支援の実施を確保するため、国・地方公共団体が総合的・計画的な施策の策定・実施、実施した施策の公表というロジックモデルに基づくPDCAサイクルを実現する(3)施行後3年を目途に見直しを検討する規定――を盛り込みました。
法案の成立を受けて立憲民主党は12月17日、厚生労働部門、障がい・難病PT合同会議を開き、日本言語聴覚士協会、日本作業療法士協会、日本理学療法士協会、日本高次脳機能障害友の会、日本失語症協議会からヒアリングを行いました。

出席団体からは謝意とともに、以下のような今後に向けての要望などを受けました。
(1)高次脳機能障害者支援センター、地域協議会にリハビリテーション専門職等を入れてもらって実効性のある施策が都道府県で行われるようにしてほしい。
(2)車の運転も含めて地域を移動できる支援をさらにお願いしたい、そのために支援センターと医療施設、リハビリテーションセンターと連携ができる体制を作ってほしい。
(3)実効性確保のための予算確保、理学療法士等のリハビリテーション専門職が職業的・教育的・社会的リハビリテーションにも積極的に関わり、多面的な支援が実施できるよう法制度の更なる整備を進めてほしい。
(4)実効的といった文言を入れて頂けることで、予算や人材面での都道府県の地域格差が少しずつ是正されていくのではないかと期待している。
(5)失語症者の願いとして、必要な言語訓練を受けさせてほしい、口や喉の障がいではなく、コミュニケーション障がいによる社会生活困難者としての障害等級を設定してほしい。
これに対して、議連の役員でもあるネクスト厚生労働大臣の小西洋之参院議員は、「立憲民主党の提案で、国、都道府県、市町村の計画について外形的かつ実効性があるよう、ロジックモデルを作って回すことになっている。これから厚労省がつくる国の計画、都道府県や市町村の取組みを皆さんの声を頂きながら、進捗(しんちょく)をしっかりと応援していくので、引き続きどうかよろしくお願いします」と述べました。

