対米関税交渉について

立憲民主党 日米通商問題対策本部
本部長 重徳和彦


 トランプ大統領が日本に対する関税を8月1日より25%に引き上げることを表明した。まだ交渉の過程とはいえ、関税の撤廃・引き下げ交渉を行っていたにもかかわらず、逆に関税引き上げを求められたことは石破政権の外交が行き詰っていると言わざるを得ない。当初、「列の先頭」にいたはずの日本が、赤澤大臣を7回も米国に派遣し、また総理自身も6月のカナダ・サミットで大統領と協議しても、なお遅々として交渉が進展しない状況に、国民の不安は増すばかりである。

 我が党の野田代表は、党首討論や与野党党首会談の場で、米国とのバイの関係だけでなくヨーロッパやアジア各国と連携した戦略的な交渉、1対3となっている脆弱な交渉体制の強化、そして電話を含めた首脳間の直接交渉の実行などを、石破総理に繰り返し、直接求めてきたが、これに耳を貸さなかったことは極めて残念である。
 また政府は、米国に対し、日本の産業への影響を最小化する交渉を行ったとするが、その成果について具体的な説明が不十分であり、国益をどう守ろうとしているのか、国会の場で明確な説明を求めたい。まして参院選が終わった後になって、国民に不利益となる妥協案を示すような不誠実な対応は許されない。

  すでに発動されている鉄鋼・アルミニウムや自動車・自動車部品への追加関税、10%の一律関税による影響は国内経済に表れており、これに25%関税が加われば、すべての国内産業に深刻な影響を与えかねない。

 立憲民主党の日米通商問題対策本部では、すでに4月に中小企業支援、雇用対策を提言したが、引き続き、国内経済への影響を分析し、必要な対策を取りまとめていく。まずは物価高対策であり、同時に自動車産業への側面支援となる「暫定税率廃止」を速やかに実現し、さらには内需拡大も視野に、自動車関連税制の抜本的な改革に取り組むべきである。

  立憲民主党は、これまでも米国大使や米国連邦議会議員団に対して我が国の立場を主張し、党外交推進本部において各国と連携するなど、トランプ関税に対する対応を積極的に行ってきた。我が国の「国益」を死守するため、政府の交渉を後押しするとともに、実質的な政権交代選挙と言われる今回の参院選の結果次第で、我々立憲民主党が自由貿易を守る国際社会のリーダーとして、主張すべきは主張し、同時に国益を守るための厳しい交渉に取り組む決意である。

以上

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