野田佳彦代表は9月5日、国会内で定例記者会見を開き、日米関税交渉をめぐる米大統領令署名の動き等について発言しました。

 冒頭で野田代表は、台風15号が和歌山県に上陸して記録的な大雨をもたらしている地域があることに懸念を示し、立憲民主党では小川幹事長のもとに情報連絡室を設置し都道府県連とも連携しながら情報収集を行い、継続的に警戒を行っていることを報告し、引き続き状況を注視していく考えを示しました。

 トランプ米大統領が4日、日本から輸入する自動車への関税を15%に引き下げることなどを盛り込んだ大統領令に署名したことについて野田代表は、「追加関税25%でしたが従来の税率と合わせて15%に引き下げられるということになる。これまで(引き下げが)いつになるかと心配しておりましたので、時期が明確になったことは一定の前進だと思います。ただ15%になるわけなので、当然のことながら経済や雇用への影響がある」と指摘。政府にはこうした点を注視し、よく分析を行ったうえで対応を取るべきだとの考えを示しました。

 また、概算要求のなかでもこれらの対応が盛り込まれていることを踏まえ、「速やかに対応するという意味でも早く補正予算を編成し審議をすべきではないか」とも語りました。

 投資分野についての合意文書に関して、「日本は5500億ドル(約80兆円)の対米投資を行うと合意した」とされていた点について、「80兆円がいわゆる最大なのか、最低なのか、ウィズオーバー(with over)という言葉が入っているのかどうか、投資インベストメントがアメリカの趣旨という解釈なのか、日本が言っているような融資や融資保障まで入るのかなど、よく分析をしなければいけませんし、コメの問題についてもどういう位置づけになっているかなど、文章をよく見た上で判断をしていきたい」と述べました。さらに野田代表は、「関税から投資へという方向で交渉をしてきたということでありましたが、その投資については日本が得意としていた財投(財政投融資)をアメリカの投資という形で位置づけているのだろうと思うが、事実上、アメリカにとってはソブリンファンドを外国の金で実現できるような話であって、方向性などは全部トランプ大統領が決めていき、四半期ごとにチェックするということになるのではないかなど、文章をよくチェックをしていきたいと思います」と述べました。

 野田代表はまた、赤沢大臣の10回目の訪米からの帰国後には予算委員会理事懇談会での説明、もしくは必要があれば閉会中審査なども視野に入れ、説明を求めていく考えを示しました。


野田佳彦代表記者会見

2025年9月5日(金)10時30分~11時08分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/tIqNuvuf6xg


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○台風15号 情報連絡室を設置

【代表】
 おはようございます。
 今、台風15号が和歌山県に上陸いたしまして、本州を横断中であります。記録的な大雨を記録している地域もございますので、立憲民主党では小川幹事長の下に情報連絡室を設置し、警戒をしています。引き続き状況を注視していきたいと思います。

○日米交渉(1) 自動車関税に関する大統領令について

【代表】
 なお、本日未明に、懸案となっていました自動車の追加関税を引き下げる大統領令にトランプ大統領が署名をされました。これに伴って、現在追加関税25%でありましたが、従来の税率と合わせて15%に引き下げられるということになりますが、これまではいつになるかと心配しておりましたので、時期が明確になったということは一定の前進だとは思います。
 ただ、これまで2.5だったものが15になるわけですので、当然のことながら経済や雇用への影響があると思います。そういうところをよく注視し、よく分析し、対応を取るべきだと思いますので、概算要求の中ではこうした対応も出ているようでありますが、速やかに対応するという意味でも早く補正予算を編成し、審議すべきではないかと思っているところであります。

○日米交渉(2) 対米投資に関する了解覚書について

【代表】
 なお、投資分野について合意文書が交わされたということでありますが、ちょっと中身を仔細によく見てみないとわかりませんが、80兆円がいわゆる最大なのか最低なのか。ウィズ・オーバーという言葉が入っているのかどうか。投資、インベストメントが、アメリカの出資という解釈なのか、日本が言っているような融資や融資保証まで入るのかなど、よく分析をしなければいけませんし、米(コメ)の問題についてもどういう位置づけになっているかなど、文書をよく見た上で判断をしていきたいと思います。
 ただ、言えることは、関税から投資へという方向で交渉をしてきたということでありましたが、その投資について、日本で言うと、いわゆる日本が得意としていた財投をアメリカへの投資という形で位置づけているのだろうと思いますが、事実上アメリカにとってはソブリンファンドを外国のお金で実現できるような話であって、方向性などは全部トランプ大統領が決めていき、四半期ごとにチェックするということになるのではないかなど、よく文書を見ながら、よくチェックをしていきたいと思います。
 いずれにしても、10回目の訪米をされた後、日本に帰ってこられたら、きちっともう一回、予算委員会の理事懇あたりでご説明をいただき、更なる審議が必要ということならば、閉中審査なども視野に入れた、そうした説明を求めていきたいと思います。


■質疑

○自民党内政局による経済対策等の遅れについて(1)

【NHK】
 冒頭あった関税の関係で、今後よく見ないとわからないということだが、補正予算も必要となるという認識だった。一方で、自民党が党内のことに議論が進んでいて、あまり関税対策や物価高対策の議論が見えてこない状況だと思う。そのことについて、どのように受け止めているか。

【代表】
 党内の、いわゆる、あえて言うと党内抗争が続いていて、いつまでたっても決着がつかないことによる政治空白というのは、今、日本にとっては大きなマイナスを生み出していると思います。例えば閉中審査を求めたとして、誰が責任を持って答える状況なのか、それを例えば自民党の国対が認めるような状況なのか、よくわからないではありませんか。
 これは関税の問題だけではなく、私は物価高対策が急務だと思っていまして、8か月連続で消費者物価指数が(前年同月比)3%以上上がっていますよね。3%以上押し上げている一番の要因は、やはり食料品ではありませんか。特に7月は8・何%ですね。生鮮食品を除いて8%台です。生鮮食品を入れるともっとですから、私は食料品インフレが起こっていると思います。デフレではない状況と言って、政府の対策も後手に回るし、日銀の対応も後手に回っていると思いますが、間違いなく食料品インフレが進んでいて、食卓の危機だと思います。その食卓の危機にきちっと対応していないことなど、これは間違いなく政治空白の弊害だと思っています。党内での結論を早く出してほしいと思います。

【NHK】
 一方で、御党でも体制整備が進んでいるが、そういうことに早急に対応するための体制整備ということなのか。

【代表】
 我々の場合は、やはり参議院選挙の総括を踏まえて、きちっとした、その総括を具体的に実施するための体制をつくっていこうということであります。自民党はごたごたしていますが、我々は我々で粛々と体制をつくっていきたいと思います。

【NHK】
 一部報道で、石破総理が解散を考えているのではないかという報道が相次いでいる。事実関係がどうかわからないが、この時期の解散についてはどのように考えるか。

【代表】
 ここでそんな政治空白をつくっていいのか。先ほど言った物価高の問題を含めて。
 解散権はもちろん総理にあるとは言いながらも、ご自身は7条解散をずっと否定してきたのではないですか。今回は何をもって争点とするのかですよね。大義がないのではないですか。党内抗争の決着のために税金を使うなんていうのは、あり得ない話ではないでしょうか。大義のないことだと私は思います。
 そこまでのことはまさかやらないとは思いますが、あるとしたら究極の7条解散になりますから、党利党略よりも個利個略という批判を浴びることになるのではないかと思います。

○ガソリン暫定税率廃止に関する与野党協議について(1)

【NHK】
 最後になるが、今ちょうど物価高対策の関連でガソリン税の与野党協議をやっていると思う。先週の会見の段階では今週が山場というか正念場になるというご認識を示されていたが、打ち切るとか、そういうお考えはいかがか。

【代表】
 先ほども政調会長からご報告がありまして、9時半の時点で野党間でのいわゆる会議、相談がありました。今、10時半から与野党の協議が始まっていると思いますが、野党は自分たちの一致点を見出しているものについては与党にきちっと説明をし続けてまいりました。財源についても、いろいろ幅があると言われていましたが、増税だけでやるというやり方は駄目ですよと、その他の財源の確保もあるではないかということを、例えばインフレ増収分であるとか、いろいろなことを言ってきました。それに対して考え方を示してきたし、いわゆる軽油引取税(の暫定税率廃止)もこれから入れていきましょうなど、提案をし続けています。
 今度は、ボールは間違いなく自民党に今行っていると思いますので、では、自民党が財源についてどう考えるのか。増税論を言っていますが、減税と見合った増税と言っていますが、それは幅がないのかどうか、具体的な中身は何なのかということを明らかにする今回は自民党の番なので、それが出てこないのだったら、いつまでたってもこれはもう議論が進まないと思いますし、だとすると、11月1日から実施しましょうと言っていますが、実現が困難になってくる可能性がありますよね。
 補助金を入れながらというやり方も具体的に我々も説明をしながら提案もしてきましたが、それはあとはもう政府・与党でそこに対して対応を、激変が起こらないように対応をしてもらうしかないと思いますし、国会が開かれたら野党だけで通すということももしかすると覚悟しなければいけないという局面だと思いますので、きょうは分岐点だと思います。与党から具体的な提案があるかないかをよく見極めたいと思います。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(1)

【読売新聞】
 先ほど少しお話があった解散の関係で伺いたい。いつある状況かはわからないが、もし解散となると次の衆院選があることになる。参院選後に2人ほど公認を党として出していると思うが、現在の衆院選への準備状況と、今後の擁立の目標などがあれば教えていただきたい。

【代表】
 もし衆議院選挙があるならば、やはり候補者がそろっていないといけないですから、「もし」ということに備えて、今、大串選対委員長を中心に、可能な選挙区については、これはいきなり出すというと調整が後で困難になりますので、地域の連合などのご理解などもいただきながら進めて、可能なところから公表していくというようなことをやっています。鋭意これは続けていきたいと思います。

【読売新聞】
 他の野党との調整については、参院選と同様な形でやっていくというお考えか。

【代表】
 可能な限り、小選挙区できちっと勝つためには、やはり野党間で調整をした上で、自民党・公明党が組んだ候補者に勝たなければいけないわけですから、なるべく一本化していくということが望ましいと思いますので、その努力は参議院選挙と同様にやっていきたいと思います。

○参院選総括を受けた対応について

【朝日新聞】
 執行部の人事について伺いたい。先日の党会合で野田さんは、来週という表現をされていた。報道ベースでも11日の両院議員総会に合わせてということも出ているが、現状として11日に執行部人事を決めて発表されるという方向でいいのかどうか伺いたい。

【代表】
 執行部人事というのは両院総会の承認事項でございますので、両院総会を規約改正などでも開くわけですから、そのタイミングで人事については決めていきたいと思っています。

【朝日新聞】
 あわせて、タイミングの狙いについて伺いたい。先ほどの質問でも一部出ていたが、自民党の政局が続いている中で、立憲民主党が先んじて党の体制を決める狙い。あわせて、秋の臨時国会に合わせて常任委員長人事もあるが、それに先んじてこのタイミングで行う狙いについて、改めて伺いたい。

【代表】
 例えば、この間の総括で、広報をきちっと委員会として位置づけてというのは、これは規約改正が必要ではないですか。規約改正のための両院総会が必要ならば、やはり体制整備という意味においての人事も着手できるところは着手していきたいと思います。
 国会の直前に委員会の配置とか何かあるかもしれませんし、それに伴う委員長(人事)とかありますが、党務のほうは別に国会の前に決めていっても、これはむしろ体制は早くやったほうが、もしかすると総選挙もあるかもしれないなどということを考えると、政局的には可能な限り早く体制整備をするということが必要だと思っていますので、その意味での対応であります。

【朝日新聞】
 現在検討中だと思うが、主要幹部の顔ぶれをどうするのかという点において、さきの参院選総括を踏まえ、野田さんとしては、若手登用などの刷新感を重視されるのか、経験やベテラン性を重視されるのか。その辺りはいかがか。

【代表】
 今、そのプロセスにありますので、これ以上コメントすることはできません。11日までお待ちください。

【朝日新聞】
 関連で。先日は骨格という言葉を使われていた。野田さんにとっての骨格というのは、どこのポストを指すか。

【代表】
 執行役員会が骨格人事ではありませんか。

【朝日新聞】
 執行部が大幅に替わるということか。

【代表】
 今、最中ですので、これ以上コメントできません。11日に明らかにしたいと思います。

○自民党内政局による経済対策等の遅れについて(2)

【時事通信】
 冒頭で補正予算について言及があったが、石破総理は2日、公明党の斉藤代表と会談し、経済対策を策定する方針を確認した。自民党内では、政局が不安定化し石破政権が続くかどうかも不透明となっている中で、こうした動きについて戸惑いの声も出ているが、この点について代表はどう評価されるか。また、具体的に政府・与党に求めることがあれば伺いたい。

【代表】
 私は経済対策をやはり急がなければいけないと思っているのは、先ほど、今、食料品インフレだと。食卓の危機ですから、それに対しての対応というのは早いほどいいと思っています。我々だったら食卓おうえん給付金とか具体的に、あるいは食料品の消費税のゼロ税率とか言ってきましたが、こうした対策というのは急いだほうがいいと思うし、トランプ関税に関わる経済への影響も、これはよく分析した上で、それもきちっと経済対策として講ずるべきだと思いますので、これは早く本当はやったほうがいいと思うのです。
 ただ、政調会長も辞意を表明している中で、自民党がそういう政策をつくれるかどうかというのは、今、極めて疑問な状況になってきてしまったのではないでしょうか。

○ガソリン暫定税率廃止に関する与野党協議について(2)

【時事通信】
 もう一点。NHKさんの質問とも少し重複するが、ガソリン税の暫定税率廃止に向けた与野党協議で、ことし中のできるだけ早い時期に実施するよう合意したものの、財源に関しては平行線が続いている状況だ。この状況をどう受け止めているか、改めて伺いたい。

【代表】
 平行線という解釈は私はちょっと違うと思っていまして、我々は野党で一致できる考え方は全部提示をしています。野党間の細かいところは違いがあるかもしれませんが、単なる増税だけでは駄目ですよと。一時的に使えるお金があるならば、それはいろいろあるではないかと。そういうことも含めて提案をしていますよね。
 逆に言うと、では、与党の案はどういうことなんですかと。これはお互いに当事者として責任を持たなければいけませんが、与党の案が示されていない。我々が出すことについての批評はするけれども、自分たちはどうするのですかということを出してきていないので、だから、平行線ではないんです。一方通行で今終わっているというところが現状認識だと思っています。

○結党5年 政権交代に向けて

【共同通信】
 今の立憲民主党が結党して間もなく5年となる。この5年間を振り返っての所感を伺いたいのと、今後政権交代実現に向けて代表として党をどのように導いていくお考えかお聞きしたい。

【代表】
 枝野代表の下で結党されて、そして泉さんに引き継がれて、私は3代目の党首でありますが、結党の理念をしっかりと受け継ぎながら党勢拡大をしていくというのが私の役割だと思います。
 5年。私は途中から入った立場でありますが、その理念はしっかり大事にしていくべきときだろうと思っていますし、今はどちらかというと中道が頑張らなければいけないときだと思いますので、その中道の軸になる政治勢力として、しっかりとリアルパワーを確保していきたいと思っています。

【共同通信】
 もう一点。国民民主党も同じ時期に結党しているが、今回の参院選で、立憲民主の総括で位置づけられたように、有権者から既存政党の枠内とみなされたという総括もあった。国民民主党は新しい政党として受け入れられながら、立憲民主党のほうは既存政治の枠内と見られた、その原因をどういうふうに分析されているかお聞きしたい。

【代表】
 私はその切り方に心から賛同するわけではありません。誕生日も同じです。理念も元々同じだったはずですので、違いがあるとは思いません。メッセージや発信の仕方などに我々は学ぶ点があるかもしれませんが、基本的な考え方で新と旧と分かれるようなところはない。誕生日も同じだと思っています。

【共同通信】
 有権者に受け入れられるための打開策として、SNSの。

【代表】
 今回の総括で出てくるようなことを、きちっと強化をしていきたいと思います。

○自民党内政局による経済対策等の遅れについて(3)

【毎日新聞】
 先ほども代表は触れていた、物価高対策の議論などが自民党の状況で進んでいないところがある。参院選から1か月半ほどたつが、そういう意味では物価高対策の議論が全体では進んでいない状況が続いていると思う。こういった状況が広く国民の政治不信の原因にもなっているのではないかと推察するが、こういった状況をつくり出している自民党に対して、改めてお考えをお聞きしたい。

【代表】
 物価高対策も急務ですし、その物価高対策のところには、我々が3段構えで提案をした、食卓おうえん給付金、(食料品)消費税の減税、給付付き税額控除、この協議もありますし、今協議しているガソリン税の暫定税率廃止の問題もこれは物価高対策の一環ですよね。これらが、少しは協議をしてきたけれども一向に実質的には進んでいないものと、ほとんど議論もされていないこと。それから、物価高対策だけではなく、企業・団体献金の廃止、政治と金をめぐる問題も、今回の自民党の総括の中ではその問題がやはり大きな敗因として取り上げられていましたが、この協議も進んでいないということは極めて遺憾だと思っています。
 しかも、8月4日に協議は約束をしたんですよね、予算(委員会)の集中審議を通じて。ちょうど1か月たって、事実上ナシのつぶてでありますので、これは幾ら何でも、約束した当事者の自覚も求めたいと思いますし、それは自分たちが担いだトップが約束したことなので、党としても猛省をしてもらいたいと思います。いずれにしても早く決着をつけてほしいと思っています。

○地方議会での統一会派について

【毎日新聞】
 話題変わり、地方議会における他党との統一会派について伺いたい。毎日新聞の調査で、参政党は全国30の議会で他党と統一会派を組んでおり、立憲民主党とも群馬県高崎市や大阪府高槻市など八つの地方議会で統一会派を組んでいる。これから今の勢いを参政党が維持した場合には地方議会で議席を増やすことも予想される中で、こういった統一会派を立憲民主党と組むことがこれから増加するというふうに代表としては考えているかどうかお聞きしたい。

【代表】
 これはやはり地域の事情によって、大抵地方議会はやはり自民党系の人が圧倒的に多いときに、野党が一定程度連携をして主張をしていくということは、これはよくあることなので。今のガソリン税の暫定税率の廃止についても参政党の皆さんにも加わっていただいて自民党と戦っているわけでありますので、その意味では、場合によってはいろいろなケースがあるだろうと。その中の流れだと思いますが、それは増えるかとか加速するかというのは、これは何とも言えないと思います。

【毎日新聞】
 外国人政策だったり憲法観では主張が大きく異なっているかと思うが、一般論で構わないが、この会派を組むということは問題とは捉えてはいらっしゃらないということか。

【代表】
 憲法観が違う政党とおつき合いをしています、いっぱい。今、国会の中でも。
 地域における事情というのがいろいろあるだろうと思うので、それは全て否定するわけにはいかないと思います。

○安保法制について

【東京新聞】
 話題変わり、今月19日で成立から10年を迎える安全保障関連法について、改めて、この安保法への御党のスタンス、ご認識についてお聞きしたい。また、政権交代を実現された後に具体的に安保法をどのようにされるのかもお尋ねしたい。

【代表】
 政権を取らせていただいた暁には違憲部分については廃止をすべく検討するということを、これまで過去のいろいろな公約などにも掲げてきましたので、その方針は変わっておりません。

【東京新聞】
 安保法については、いわゆる存立危機事態の定義が曖昧で、集団的自衛権を行使できるのは一体どういう状況なのかわからないなど、多くの課題があると言われているが、違憲部分というのはおおむねどの辺りに問題意識を持っておられるのか、あわせて伺いたい。

【代表】
 政権を預かったときに、いわゆる防衛省、自衛隊、あるいはアメリカなど、関わりのあったところからのヒアリングを通じて検証していくということであります。

【東京新聞】
 もう一点。今、野党の多党化が進んでいるが、安保法の違憲部分の廃止というのは野党が連携結集していく中で旗印となる政策の一つとなり得るものか。この辺りのご見解もお願いしたい。

【代表】
 いろいろな政策が全部、全ての野党が共通とするということではないと思いますので、この部分についてはご賛同いただけるところもあるだろうし、ご賛同いただけないところもあると思います。

【東京新聞】
 今後の国政選挙でも、安保法の違憲部分の廃止というのは、ほかの党と共通項を見出していく上で一つの政策にはなり得るとお考えか。

【代表】
 共通項を見出せるところもあるでしょうし、見出せないところもあると思います。これはもう自分の党の考え方でありますので、他党との関連でそれを調整するということではありませんが、全てが一致するとは思いません。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(2)

【産経新聞】
 先ほど質問あった次期衆院選での他党との候補者調整について伺いたい。野田代表は先ほど、候補者調整については一本化することが望ましいと述べられたが、一方で、国民民主党は参院選の総括の中で、選挙結果を踏まえた見直しが必要と、見直す方針を示している。他党と候補者調整するに当たって国民民主党が一番最初の相手になるかと思うが、このように認識にそごがある状態について、どのようにお考えか。

【代表】
 参議院のときも、認識が完全に一致したかというと、いろいろありましたが、でも、乗り越えて調整できたところもありましたので、同じだと思っています。

【産経新聞】
 今後どのように国民民主党側に働きかけていきたいとお考えか。

【代表】
 個別の選挙区事情など、お互いによく情報交換をしながら、誠意ある対話をしていきたいと思います。

【産経新聞】
 関連で。他党との候補者調整をめぐっては、枝野幸男最高顧問が31日の講演で、野党共闘の時代は終わったと、候補者一本化を見直すことを求めた。党内からもそういった見直しを求める声が上がっている状況についてはどのようにお考えか。

【代表】
 急に上がってきたわけではなく、去年の代表選のときにも枝野さんはそうおっしゃっていましたので、単独で政権を目指すというお立場の中でのご発言だと思います。
 そういう声が今、一気に広がっているかというと、そうではないのではないかと思いますし、現に暫定税率の廃止などを含めて、今、野党で共闘しているさなかでありますので、私自身はやはり基本的には野党とどれだけ連携できるかということは、国会内でも、あるいは選挙区の調整でも、可能な限りそれは探っていきたいと思っています。

○日米交渉 自動車関税に関する大統領令等について

【TBS】
 冒頭も発言があった関税交渉について伺いたい。先ほど石破総理は、アメリカのトランプ大統領が自動車などの追加関税を引き下げる大統領令に署名したことをめぐり、アメリカ側の1日も早い関税の引下げを実現することを最優先として調整した結果だ、日米双方が今度の合意を誠実かつ速やかに実施することが大事だという考えを示した上で、赤澤大臣を通じてトランプ大統領に対して、日米関係の黄金時代を共に築いていきたい、トランプ大統領をぜひ日本に招待したいとの新書を送ったことを明らかにした。こちらの受け止めをお願いしたい。

【代表】
 いつから15%に引き下げるのかということは、ずっと、国民も、そして関連する業界も注目をしていたと思うので、いつまでも先行き不透明だときちっとした事業計画もつくれませんから、その意味では、時期が見えてきて、きちっと大統領令で示されたということは前進だと思いますが、ただ、これは2.5から15に増えることは間違いないので、それに耐えられる会社もあるだろうし、そうではない厳しいところもあるだろうし、地域によってもいろいろな影響があるでしょうから、そこはよく分析をした上での経済対策をきめ細やかに講じるべきだと思います。
 大統領の訪問の要請については今初めて聞きましたが、それはなるべく緊密に、いろいろな意味での意見交換をするということは大事だと思っています。

【TBS】
 もう一点伺いたい。同じ場で、この関税交渉、大統領令の署名を受けて、続投方針に変わりはないかどうか問われ、総理は、関わりがあることではないと話した。こちらについての受け止めもお願いしたい。

【代表】
 それはもうご本人が言ったとおりで、私がコメントする話ではないと思います。

○自民党内政局による経済対策等の遅れについて(3)

【北海道新聞】
 改めて自民党との向き合い方についてお聞きしたい。先ほど来お話があるとおり、物価高対策など重要課題が山積している状況で、その政策を進めるためにも協議できるところは協議して進めるという視点も非常に重要かと感じる。一方で、自民党自体が不安定な状況ということがあると思うが、野党第1党の立憲民主党の役割として、今のこの不安定な自民党とどのような姿勢で向き合うことが大切だと代表はお考えか。

【代表】
 少なくとも、党内でそういう混乱が生じていても、やはり国政が何かストップするような状況は避けなければいけないという気持ちを、石破さんの側に立つ側の人たちも、そうでない人達も、持たなければいけないと思うんですね。そこでやはり少なくとも党のマネージメントとして何らかのアイデアを出してもらわないと。
 この間、もし8日から前倒しが決まって総裁選挙になるというと、フルスペックでやるという話でしょう。10月まで入っちゃうんですよ、投開票日。そうすると、この1か月にわたって何も決まらない状況ですよ。党内はそれで何か決着がつくかもしれないが、その間、何も決まらない。私が提案したいろいろな協議事項は、8月4日ですからね。この1か月も動かなかったけれども、更に1か月以上止まってしまうでしょう。それはものすごく私は国としてマイナスだと思うのです。
 だとすると、その間の総理がどこまで何ができるかぐらいのことは示してほしいですよね。でないと、今の暫定税率の協議だって、事実上これは止まってしまうのではないですか。あらゆることが、もう政治空白で止まってしまう。2か月以上止まるということが許されるかどうかだと私は思います。もし空白をつくるのだったら、その間、今の総理が何までできるかとかは、よく整理した上で入ってほしいと思います。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(3)

【「FACTA」】
 立憲民主党のアイデンティティはやはり政権交代ということだと思う。枝野さんが言っている、野党共闘の時代は終わった、野党と組んだら3日で壊れちゃうとか、創業者というのか、どういう意図で言っているのか、元々野田さんも岡田さんもやはり大きな固まりということで立憲に合流したと思うが、枝野さんが全く逆噴射みたいに聞こえてしまう。その辺は率直に枝野さんとしっかり調整されたほうがいいのではないか。もし政権交代を目指しているのだったら、本当にそういう言い方はないだろうと思うが、そこはどうなのか。

【代表】
 枝野さん独特のバランス感覚というか、リアリストで、一つの意見があれば、もう一つの意見もありますよということを、あえて自分が演じることもあるので。もちろんよく緊密にコミュニケーションを取っていきたいと思いますし、必ず一致して動ける同士だと思っています。

○「企業・団体献金」「選挙制度改革」等について

【フリーランス】
 先ほど来お話が出ている、8月4日の国会でいろいろ約束したと。そのうちの一つの企業・団体献金については、トップ同士で、党首同士で議論するということを石破さんが明言された。ちょうど1か月たったが、それについてはナシのつぶてなのか、何かコンタクトがあったのか伺いたいのと、現状について、ナシのつぶてであるとすれば、こういった呼びかけをしたのは意味があったのかどうか。その点についての受け止めをお聞きしたい。

【代表】
 8月4日の質疑が終わった、その日の夜に、総理が幹事長と政調会長に、対象となる7800ある(自民党の)政党支部について実態をよく調べるようにという指示をされたということは、その気があったんだと思うんですよね、その瞬間は。具体的な中身の協議をする前に、その実態調査の結果がどうなったのかについての少なくとも中間報告があってもいいと思うのですが、それは全くないまま。
 7800、そもそも実態調査しなければわからないということ自体が、政党の支部って何なんだろうと。普通はやはり本社があって支社があって、本部があって支部があってと、大体支社や支部のことはわかっているではないですか。そんな時間かかりませんよね。時間をかけなければいけないぐらい実態がわからないような存在ならば、それが企業・団体献金の受け皿になってはいけないと私は思うのですが、その中間報告ですらまだない。いわゆるナシのつぶてでありますので、極めて遺憾に思っています。
 本人はその気があったと思うのですが、その後のフォローが全然足りないと思います。

【フリーランス】
 そういったナシのつぶてで遺憾であるという現状。また、今、党内も混乱している、政治空白が長引いているということについて、それでも野田代表としてはあくまで石破総理続投を事実上支持するというか、退陣は求めないというお立場は、この8月4日から1か月様子を見て現在でも変わらない、基本的に続投してほしいというお考えなのか。

【代表】
 続投を支持とか、してほしいとか、言ったことはありませんよ。総理であって、トップであるがゆえに、その現時点で我々は政策実現しなければいけないという意味から提起をしました。続投の意思が強いというならば、それは従来の政策を変えないで居残りをするということは民意を踏みにじることなので、君子豹変をするならば続投というのはあり得るのかもしれないという意味で質問しているわけであって、続投の支持をしているわけではありません。

【フリーランス】
 退陣を求めているわけでもないという理解でよろしいか。

【代表】
 退陣を求めるかどうかというのは、やはり国会を開いたときに不信任を出すかどうかという判断はありますが、現時点では、その我々との政策実現(に向けた協議)を受けるのか受けないのかをよく見ていこうというのが判断だったんですね。

【フリーランス】
 もう一点。ちょっと話が変わるが、先ほど立憲民主党5年という話もあった。党名変更の議論があるという一部報道もあった。そのことが本題ではないが、国民民主党と名前が近いので略称「民主党」が毎回選挙で同じになる問題というか現象が起き、按分されるということがある。ただ、この問題の本質は、政党名や候補者名を手書きで記入するという世界でも稀に見る投票方式をいまだ日本が維持しているために、「民主党」と書けばそれが有効になるようにするというような、そういう略称というものをつくっている。記号式、マークシートであれ何でもいいが、それであればこういった略称という問題は起きないと思う。この今の投票方式をそのまま維持していくのがいいとお考えなのか。この略称問題がずっと長引くと思うが、その点についてはいかが代表はお考えか。

【代表】
 インターネットで投票していこうというようなことも含めて、制度の改正は必要ではないかという議論は当然うちの党でもありますし、例えばネット投票をいきなりやるのではなく在外投票から実験的にやっていったらどうかとか、そういうことなども含めて、選挙制度の改革は不断の見直しが必要だと思っています。その中で、お話があったようなことが解消できるとは思います。

【フリーランス】
 ネット投票はまた違う大きな変更になると思うが、今の投票方式、あくまで手書きで名前を一個一個記入して、開票作業もそれを一つ一つ読んでいかないといけない。人手を使って、ものすごくマンパワーもかかると思う。こういうことをやっているのは世界でも日本だけであると指摘する学者の方もいる。そのことについてはどう思われるか。

【代表】
 そういうご意見も参考にしながら考えていきたいと思いますが、当面は、略称(問題)解消に向けて、国民民主と略称について整理をするべき、早い時期に結論づけましょうということがこの間の総括で決まりましたので、その対応をしていきたいと思います。

(以上)