本庄知史政務調査会長は11月19日、国会内で記者会見を行い、(1)官邸への「緊急経済対策」を申入れ(2)政府が検討する巨額補正予算案(3)日中関係と水産物輸入停止報道(4)高市総理の「存立危機事態」発言をめぐる問題――について述べました。
(1)官邸への「緊急経済対策」申入れ
本庄政調会長は、立憲民主党が11月14日にまとめた「くらし・いのちを守り、賃上げを加速する緊急経済対策」を、木原官房長官に直接申し入れたと説明しました。対策は、(1)くらしを守る(2)いのちを守る(3)賃上げ加速――の3本柱で、物価高直撃への緊急支援金、医療・介護現場への支援など即効性のある施策を中心に構成。規模も8.9兆円に抑制し、赤字国債に依存しない財源を示したと述べました。 その上で「経済対策は大幅に遅れている。即効性と適正規模、この2点が極めて重要」と指摘。官房長官からは方向性について「おおむね共有いただけた」と述べ、今後の政府内での検討に期待を示しました。
(2)政府が検討する巨額補正予算案
本庄政調会長は、政府が21日にまとめる総合経済対策の規模について、報道で「17兆円」「20兆円」「25兆円」などが飛び交っていることに強く疑問を呈しました。「債券・株・円が同時に下落するトリプル安、長期金利上昇、円安進行――これらは日本の財政運営への信任低下の表れだ」と指摘し、「昨年を上回るために大きくするという情緒的な議論は無責任。怒りに近いものを感じる」と批判しました。また「骨太方針には『財政構造を平時に戻す』と2年連続で書かれている。それなのに昨年に続き巨額の補正では、政府自身の方針と整合しない」と指摘。必要性が立証されない補正拡大には「到底賛同できない」と述べました。
(3)日中関係と水産物輸入停止報道
中国政府が日本産水産物の輸入停止を通達したとの報道について、本庄政調会長は「もし事実であれば極めて遺憾」と表明。外交・経済でのエスカレーションは双方の利益にならず、日中首脳会談で確認した関係改善にも反すると指摘しました。その上で日本政府には「冷静・大局・中長期の議論で臨むべきだ」と求め、外交当局には多面的チャンネルを活かした危機管理を強く求めました。
(4)高市総理の「存立危機事態」発言をめぐる問題
本庄政調会長は、高市総理が存立危機事態を台湾有事に関連して述べた国会答弁をめぐり、質問した岡田克也議員への批判がSNSのみならずテレビ・新聞でも広がっていることに「極めて問題がある」と強い懸念を示しました。一部論調が「国会で安全保障の核心を追及するのは不適切」としている点について、本庄政調会長は、「憲法との整合性、法解釈、政府運用――これを国会以外のどこでただすのか。国会で問うなというのは、安全保障を政府に白紙委任せよと言うに等しい。三権分立にもシビリアンコントロールにも反する」と述べました。さらに、当日のやり取りについて「岡田議員は、総理となった以上、従来の政府解釈を慎重に確認するために質問しただけ」と説明。「政府は存立危機事態の認定について抑制的・限定的に解釈してきた。その確認をしたに過ぎない」と強調しました。その上で「高市総理が従来の抑制的答弁を認めた上で、突然あのような発言をしたため、聞いていた私も驚いた」と述べ、岡田議員側に責任を転嫁する見方は「全く事実に反する」「事実に基づく報道と論説を強く求めたい」と発言しました。