立憲民主党は、11月19日午後、水産政策WT(座長・徳永エリ参院議員)・農林水産部門(部門長・神谷裕ネクスト農林水産大臣・衆院議員)合同会議を国会内で開催、(1)スルメイカに関する漁獲可能量、(2)日ロサケ・マス漁業交渉における漁獲枠、(3)水産物輸出の動向及び中国の輸入規制の状況、(4)広島県等における養殖カキのへい死被害について、水産庁及び農林水産省よりヒアリングを行いました。(司会:川原田英世水産政策WT事務局長・衆院議員)
冒頭、徳永エリ座長より「水産政策WTは今国会初の開催。農林水産委員会で農業の議論は盛んであるが、水産の質疑の時間をそんなにとっている方はおられない。海水温が上がるなど海洋環境の変化の中、水産の現場ではいろんな問題が起きている。地域の課題をしっかり受け止めながら、皆さんとともにWTの中で議論を進めていきたい。今日の内容は盛りだくさんである。また、今日になって、中国政府が日本産の水産物輸入を停止することを日本政府に通達したことが明らかになった。本件に関しても、どういう状況なのか確認できればと思う」との挨拶がありました。
神谷裕部門長より「今週、北海道旭川に畜産・酪農政策WTで視察にお邪魔した。水産もそうだが、現場をみることは非常に大事。幅広く皆さんからご提言いただければと思う。忌憚のないご意見をいただいた上でやり取りができたらと思う」との挨拶がありました。
■スルメイカに関する漁獲可能量等についての水産庁の説明
水産庁より、概略、以下の説明がありました。
令和7管理年度するめいかTACに係る当初配分は12,500トン、留保(当初)の6,700トンを足して19,200トン。スルメイカは1年で死んでしまう魚種なので資源評価が難しいということで、管理年度の途中で資源や漁獲の状況を見て、増枠できる規定が設けられている。それにより、9月19日に留保の6,600トン、追加配分数量1,800トン。この増枠分を含め、現在のTAC数量の合計は27,600トンとなっている。今般、小型するめいか釣り漁業の採捕停止が話題になっている。小型するめいか漁業については、11月13日時点の配分数量5,757トンに対し、同日時点の漁獲量が7,796トンと約2,000トン、35%程度超過している状況。10月下旬時点で超過していたので、11月1日~来年3月31日まで採捕停止となっている。
今般、小型するめいか釣り漁業の超過分が多く、増枠等があったが採捕停止命令の解除には至っていない。
今漁期における今後の対応の方向性として、他の漁業種類ごとの消化状況を確認した上で、(1)国の留保からの振替えを調整、(2)他の漁業種類に配分されている数量から融通できるものがないかどうかの調整をしたいと考えている。
来漁期に向けた数量管理体制の整備のための論点整理として、(1)小型するめいか釣り漁業について、現場からの漁獲状況の報告にタイムラグがあったことが超過の原因となっていることから、迅速かつ的確な数量管理を行う体制の整備をしてきたい、(2)特定の地域における漁獲の集中による先獲りなど、地域間の不公平感が生じているとの指摘があることから、小型するめいか釣り漁業の配分数量について、海域別や期間別の管理ができないか、検討してまいりたい。
■日ロサケ・マス漁業交渉における漁獲枠についての水産庁の説明
水産庁より、概略、以下の説明がありました。
サケ・マスは遡河性魚種であり、母川を有する国が資源に関して責任を有している。
「日本200海里水域」及び「ロシア200海里水域」における我が国漁業者によるロシアの河川を母川とするサケ・マスの操業を確保するため、交渉を行っている。 毎年2月から4月に開催する日ロ漁業合同委員会において日本200海里水域における操業条件を、日ロ政府間協議においてロシア200海里水域における操業条件を決定することとされている。
その結果、日本200海里水域の漁獲枠は2,050トン、機材の供与として日本側からロシア側に支払う金額は1億8,000万円~約3億13万円の範囲で漁獲実績に応じて決定することとされている。
ロシア200海里水域の漁獲割当量は125万トン、入漁料2,500万円となっている。こちらは、2016年1月にロシア国内法によりロシア水域での流し網漁業が禁止されたことに伴い、2017年以降、日本漁船1隻が曳き網による試験操業を実施している。
■水産物輸出の動向及び中国の輸入規制の状況についての農林水産省及び水産庁の説明
<水産物輸出の動向>
水産庁より、水産物輸出の動向について、概略、以下の説明がありました。
令和6(2024)年の水産物輸出量(製品重量ベース)は、前年比5.5%減の4.5万トン。輸出額は、前年比7.5%減の3,609億円。
主な輸出先国・地域は、香港、米国、台湾。令和4(2022)年には、中国への輸出額が輸出額総額の22%を占めていたが、令和5(2023)年のALPS処理水海洋放出開始以降の同国の輸入規制により、令和6(2024)年の割合は2%に減少した。品目別では、ホタテガイ、ブリ、真珠が輸出額の上位。
「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」(令和2(2020)年決定)に基づき、令和6(2024)年度末時点で、水産物の輸出重点品目として、ブリ、タイ、ホタテガイ、真珠及び錦鯉を選定。農林水産物・食品の輸出を拡大するため、輸出を意欲的に取り組もうとする生産者・事業者等の育成・支援を行う「農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)」を推進している。
<中国の輸入規制の状況>
次いで、農林水産省より、中国の輸入規制の状況について、以下の説明がありました。
中国が日本産水産物の輸入を停止するとの報道がなされているところであるが、経緯について説明する。
APLS処理水の放出に伴い、日本産水産物の輸入が中国側から全面停止された。以降、当局間で技術的な協議を重ねてきた結果、本年6月に、中国側から一定の要件を課された上で、輸出再開に至ったところ。10都県産の水産物は引き続き輸入停止の状況にあるが、その他の37道県の水産物は輸入再開となった。中国向け輸出には、加工・保管・包装施設及び養殖場の再登録の手続きが必要となり、順次、700近い施設について、中国側に再登録を要請しているところ。今のところ、再登録は、北海道の1施設、青森の2施設。
今月2日には北海道からホタテの第一便の輸出が日本を発った。
報道もされたが、中国側と技術的なやり取りを行っているところ。詳細を明らかにすることは差し控えるが、結論から申し上げると、報道にあるような輸入を停止すると中国側から言われている事実はない。当初合意した技術要件について、中国側から質問等を受けており、やり取りを継続している状況。
引き続き、中国側に対して、施設の再登録を要請しているが、速やかに登録がなされ、輸出が行われる状況になるように働きかけをしていくとともに、残された10都県の輸入停止の撤廃を求めていくこととしている。
■広島県等におけるカキのへい死被害についての水産庁の説明
水産庁より、概略、以下の説明がありました。
カキの操業は10月下旬から11月にかけて収穫が始まるところ、今年は若干遅れている。一番早く始まっているのが広島県の東部海域、呉市、東広島市辺り。この海域でカキのへい死がみられたことを受け、調査を行っているところ。
広島県東部で6割~9割へい死がみられる。カキは平時でも3割~5割はへい死すると言われているが、6割~9割というのはかなり高いというのが事業者の感覚。岡山、兵庫は水揚げ開始前であるが、例年よりへい死が多い状況。原因については分析中であるが、高水温だけでなく、雨が少なく台風もなかったことから海水が攪拌されなかったこともあり、高塩分であったと言われている。高水温と高塩分が重なり、へい死したのではないか。9月くらいまでは順調に育っていたが、その後、こうした状況。他の要因として、えさ不足、貧酸素が挙げられている。
各県、操業が本格化していくので、引き続き、状況をみながら原因の分析、収拾に努めていきたい。広島以外の主産地について、宮城で若干多いが、三重、岩手については、特段のへい死は確認されなかった。
■参加議員からの質問と農林水産省の回答等
(1)スルメイカに関する漁獲可能量関係
<スルメイカの資源管理がしっかり運用されていなかった理由>
参加議員から「対馬でこれからイカを釣るという状況の中、深刻な懸念の声を聴いている。そもそも、この資源管理の在り方に最大の問題があるのではないか。今の方式はオリンピック方式で獲ったもん勝ち。そうではなく、ちゃんと地域で漁獲の割り当てをする、地域で割り当てを決めるということが当然あるべき制度であった。なぜ、制度がしっかり運用されていなかったのか」(山田勝彦衆院議員)との質問がありました。
水産庁より「小型するめいか漁業については、全国1本の管理区分になっている。おっしゃるとおり、日本海側、特に、これから漁期を迎えようとされている方は採捕停止に非常に困っているというご意見を伺っている。今回どうしてこうなったのか。他の漁業種類、例えば、沖合底びき網漁業であれば、業界の中で漁獲量をしっかりモニタリングし、把握し、枠がひっ迫してきたら、操業を抑える、地区別に配分をするなどの調整をしながら、TACを守るために頑張っていただいている。一方、小型するめいか漁業については、漁獲報告のタイムラグがあり、きめ細かな漁獲量の把握、全体の枠の管理が十分できていなかったということに尽きるのではないか。普通のTACの報告は、例えば10月分であれば翌月10日までに報告することとなっているが、今回、11月10日の締めのときに、10月分だけでなく、4月から9月の未報告分がかなり上がってきている。特に多かったのが青森県。管理、報告体制がしっかりできていなかったのが一番の原因であると思っている」との回答がありました。
これに対し、参加議員から「地域別、地区別に管理できていなかった理由は何か」(山田勝彦衆院議員)との質問があり、水産庁から「枠ギリギリまで漁獲するような状況がなかったことだと思う。枠の消化率が高くなかったので、それぞれのところで厳しい管理をしなくても枠を超えていなかったことがあったのではないか」との回答がありました。「前兆はなかったのか」(山田勝彦衆院議員)との質問に対して、水産庁から「去年は18,000トン程度しか獲れていなかった。今年、特に、沿岸の方から、イカの資源が非常に悪いので漁獲枠を絞るべきだとの意見が出ていた」との説明がありました。
<スルメイカの資源管理の在り方>
参加議員から、「スルメイカについて、昨年と比べ、今年の資源量は大幅に増加したと言えるのか」(神谷裕部門長・衆院議員)との質問がありました。
水産庁より「水産研究教育機構のアドバイスによれば、昨年に比べて大幅に増加したということはない」との説明がありました。
「1年魚なので、従来よりもかなり多いのであれば、どう考えるのか。既存の資源量の枠の中で判断するのが妥当なのか」(神谷裕部門長・衆院議員)との質問に対して、水産庁より「1年魚なので、資源評価が難しい。スルメイカについてのみ期中改訂のルールが設けられており、今般、9月19日に6,600トン、11月6日に1,800トン、科学的助言に基づいて増枠している」との回答がありました。
「卓越年級群(他の年に比べて特に多い加入量を持つ年級群。年級群とは、ある年に生まれた資源)は読めない。漁師に待ったをかけるだけはなかなか厳しいので、新たに考える必要があるのではないか」(神谷裕部門長・衆院議員)との質問がありました。
水産庁から「今年の海について、卓越とまでは言えないと考えている。一方、卓越年級群が来た時、普通の資源であれば、うまく残して、来年、再来年につなげていくが、スルメイカは1年魚。親魚はしっかり残していかなければならない。今、資源が非常に下がった状態。かつては20万トン、30万トン漁獲があった資源。そうした中で資源管理をどうしていくか、資源評価と合わせてやっていかなければならない」との回答がありました。
(2)日ロ漁業交渉関係
<ロシア国内法によりサケ・マス流し網漁業が禁止された理由と対応>
参加議員から「(1)2016年にロシア国内法によりロシア水域でのサケ・マス流し網漁業が禁止された理由は何か。(2)これに伴い、2017年以降、日本漁船が曳き網による試験操業を実施したが、2022年、2023年は交渉・操業を見送ったとされている。その理由は何か」(篠原孝衆院議員)との質問がありました。
水産庁より「(1)ロシア水域でのサケ・マス流し網漁業が禁止された理由は、鳥類が絡まって混獲されてしまうため。日本漁船だけでなく、ロシアを含め、禁止された。(2)禁止された流し網漁業に代わるものとして、曳き網漁業の試験操業を国が補助しながら実施してきた。2022年、2023年はウクライナの問題があり、ロシアの200海里水域に行くことへのリスクが高いことから見送ったもの。その後、2024年以降再開している」との回答がありました。
<日ロ両国の資源管理の取組姿勢>
参加議員から「ロシアは、世界の趨勢に合わせて資源管理に協力しているのか。資源にダメージを与えない獲り方はやめようという取組はロシアの方がきちんとやっているのか。日本の方か」(篠原孝衆院議員)との質問がありました。
水産庁より「一概に、どちらがちゃんとやっているかというのは難しい。我々としてはロシア水域において流し網漁業を継続したかったが、ロシア国内法であり、ロシアの漁業者も含めて禁止なので受け入れざるを得ない。資源管理というよりも海鳥に係るリスクということでのロシアの判断。日本も海鳥に配慮しながら流し網漁業を実施している」との回答がありました。
(3)水産物輸出関係
<水産物の輸出拡大戦略>
参加議員から「水産物の輸出拡大の戦略について伺いたい」(神谷裕部門長・衆院議員)との質問がありました。
水産庁より「中国の日本産水産物輸入停止を受け、ホタテなどを中心に影響がでていたところ、国内の加工業者の強化、輸出先の転換を進めてきている。台湾、ベトナムなど、2022年にはなかった輸出先が増えている。日本の水産物の強みが生かせる輸出重点品目として、ブリ、タイ、ホタテガイ、真珠、錦鯉に加え、新たにホタテガイの加工品、カキ、カキの加工品を追加した。『農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略』に基づき、輸出先のニーズに合わせた設備投資、農林水産物・食品輸出促進団体による輸出拡大支援、新たに認定されたフラッグシップ輸出産地などの供給力向上を図るなど、できるかぎりの施策を推進してまいる」との回答がありました。
<輸出重点品目のホタテガイのへい死と対応策>
「高水温、海洋環境の変化が指摘される中、輸出重点品目に指定されているホタテガイのへい死があった。かなり大きな問題と思う。調査をしていくとの話も聞いているが、根本的な解決になりうるのか。時間もかかるであろう。カキについても同様。輸出は応援したいが、輸出するものがないということになるとどうか。考えなければならない」(神谷裕部門長・衆院議員)との指摘がありました。
水産庁から「海洋環境については限界もあり、これに合わせたものを考えていくのも一つ。原因の分析しながら、ホタテが難しくなってきているところであれば、カキは比較的高水温に強いので、カキに取り組むなど、その地に合ったものを研究していくことも必要と思っている」との回答がありました。
<海洋環境の変化への対応としての魚種転換の困難性>
関連して、参加議員から「魚種の転換は極めて難しい。深い所に入れれば多少水温が下がると聞いているが、深くても高温という話もある。かなり難しいというのが実感」(神谷裕部門長・衆院議員)との指摘がありました。
水産庁から「魚種転換は大変だと思っている。深いところで、というのも一つの方策であるが、できないところもある。深くしても餌がないなどの問題がある。貝類にはいろいろな課題がある。地域地域によって違うので、都道府県と連携しながら、丁寧にやっていく必要がある。何ができるか検証しながら当たっていきたい」との回答がありました。
(4)中国の水産物輸入停止報道関係
<「中国が水産物輸入停止」との報道に係る具体的な状況>
参加議員から「『中国が水産物輸入停止を伝達』という報道があった。これは『政府関係者によりますと』とされており、政府関係者とは誰なのか、正確なのか分からないが、複数のメディアで報道されているので、何らかの通知があったと思う。実際、中国側からどのような伝達があったのか。報道では『ALPS処理水のモニタリングが必要との理由から』とある。11月に輸入再開されたが、また、以前の理由を持ち出して輸入停止、と聞こえる。何があったのか。事実をお伺いしたい。先ほどの説明ではよく分からなかった。詳しく、よく分かるように説明願いたい」(小山展弘衆院議員)との質問がありました。
農林水産省より「中国側から輸入停止をするということで通告を受けた事実はない。輸出再開に当たって、施設の再登録、日本側で水産物の放射性物質のモニタリングを行い、データを中国側に提出するなど、いろいろな条件があるが、技術的な要件に関して、中国側から質問があったという状況」との回答がありました。
これに対し、参加議員から「(1)報道では『水産業者が落胆の声』とある。輸入再開となった水産物が再び輸入停止ということでなければ、ちゃんと政府もプレスリリースする必要があるのではないか。(2)再開に当たっての再登録が3カ所しか認められていない。技術的なことについての通達とはどういうことか」との質問がありました。
農林水産省より「(1)対外的な説明ぶりについては検討してまいる。本日報道が出て、急きょ来ている状況。すぐにこの場で、いつ、どのようにと、説明しかねるところがあり、ご了承願いたい。(2)技術的協議の詳細については、現時点で対外的説明は差し控えさせていただきたい。ご了承いただければ幸い」との回答がありました。
参加議員から「今後の登録、モニタリングについて、何か技術的なことについて、中国側から新たな通知があり、それは、再開が順次行われていくことについて、ハードルが上がるような内容なのかなと我々は推測する。そういうことでよいか」(小山展弘衆院議員)との質問があり、農林水産省より「我々も想定していなかった宿題が出て、あまりハッピーな状況ではないということではある」との回答がありました。
「どこから話があったのか」との質問には、「中国の海関総署から外務省に外交ルートで、と聞いている」との回答がありました。
「今後の影響についてはどう考えるか」(徳永エリ座長・参院議員)との質問に対しては、農林水産省より「我々も、早期に中国の要求に応えるように対応していく。私の立場で申し上げるのもあれだが、いろいろ、政治状況等もあるので、なかなか、いつ進展するのか、見通せない状況」との回答がありました。
「認められている3施設からは輸出できるのか。3施設についても通知に従って止められるのか」(神谷裕部門長・衆院議員)との質問に対しては、農林水産省より「すでに日本を出ている貨物があるが、通関が認められていない。それがいつ、どの状況をもって通関が認められるのか、分からない」との回答がありました。
「想定外のことが起こって、農水省も困惑して、様子を見ているという状態なのか」(佐藤公治衆院議員)との質問に対しては、農林水産省から「当初、言われていなかったことを言われている状況」との回答がありました。
(5)広島県における養殖カキのへい死被害関係
<広島における養殖カキのへい死への対応策>
参加議員から「今日(11月19日)、大臣には広島に来ていただいた。迅速な対応に感謝する。視察を受け、どう大臣がコメントしているのか。広島県・呉市・東広島市により、(1)財政的支援、(2)原因の究明による対応、(3)養殖技術の確立に向けた研究について要望があったが、これについて大臣はどう答えたのか。それ以上のお話があったのか」(佐藤公治衆院議員)との質問がありました。
水産庁より「大臣は本日午前中に東広島市に伺い、被害状況を確認させていただいている。大臣の方から、瀬戸内海全体の把握に努めていく、原因について環境要因が疑われるところで、各県と連携し、被害状況を把握しながら、原因究明、対策、支援を検討、取り組んでいくと申し上げたところ。我々も大臣の指示を受け、今後対応していくところ。要望は伺っているが、現段階で一つ一つ、こうする、というところまでは至っておらず、全体を把握しながら、対応を検討させていただきたい」の回答がありました。参加議員から「財政的支援については前向きと捉えてよいか」(佐藤公治衆院議員)との質問があり、水産庁から「これも含め、検討させていただきたい」との回答がありました。
<広島における養殖カキに係るモニタリングの状況>
参加議員から「北海道では赤潮が発生し、へい死被害があった。その後、モニタリングが充実したが、広島では日常的にモニタリングが行われているのか」(篠田奈保子衆院議員)との質問がありました。
水産庁より「海水温については主要養殖場ごとに観測機を設置し、調査を行っている」との回答がありました。
<広島における養殖カキの共済加入状況等>
参加議員から「養殖カキの共済加入率はどういう状況なのか。被害が出たら何年か出荷できない。その間経営を繋げていけるか」(神谷裕部門長・衆院議員)との質問がありました。
水産庁から「カキは共済加入率が高い。広島の場合、養殖共済の種類が違い、物損方式の特定養殖共済。直接販売をする人が多く、保険の算定となる基礎収入が分かりにくいことなどもあり、物損方式でやっている。養殖共済と比べると落ちるということもある。加入されていない方もある。保険の仕組みの中でできるだけのことをやっていく。海洋環境が変化する中、養殖共済の方が安定、安心の部分がある。他の地区と同じようにできないか、考えていかなければならない」との回答がありました。
<海水温上昇などに対応した新たな養殖技術の研究開発の実施状況>
参加議員から「広島からの要望の中に『海水温上昇などの環境変化に対応した新たな養殖技術の確立に向け、中長期的な研究・支援体制を構築すること』とある。農業では、温暖化に対応した高温耐性品種の開発などがあるが、水産の場合、新たな技術の研究開発は水産研究・教育機構などで行っているのか」(徳永エリ座長・参院議員)との質問がありました。
水産庁より「水産研究・教育機構において貝の研究は少ない。ホタテなら北海道、青森、カキなら広島と主産地の道県が中心。病気関係では水研にも研究者がいる。カキについては3倍体カキが作られている。特殊の刺激を与えることで3つの遺伝子を持つカキで、早く大きくなるが、生殖機能がないので、種苗が作れないという課題もある。貝の養殖の仕方について、密植するとストレスがあるので、県と連携しながらどういう飼育方法がいいのか、可能性を考えていかなければと思っている」との回答がありました。
■報告・協議事項
<NC報告-緊急経済対策、税制改正重点要望項目>
神谷裕部門長より「皆様にご議論いただいた経済対策は、政調で『緊急経済対策』と言う形で取りまとめられた。我々としてお米券の提案をさせていただいたが、最終的には、「『くらし』を守る」という項目の『物価高・食卓緊急支援金』の中で引き取った。一次産業における生産コスト高騰対策は「『くらし』を守る」という項目の中、クマ対策については、「『いのち』を守る」という項目の中に入れさせていただいた。政調会長一任となっていたので、報告する。税制改正について重点要望項目として出させていただいた。お気づきの点があれば事務局までお知らせいただきたい」旨の発言がありました。
<衆参農林水産委員会報告>
小山展弘衆院農林水産委員会次席理事より「衆院農林水産委員会は、本日理事懇があり、明20日大臣所信聴取、25日に4時間15分のコースで所信に対する質疑の委員会。金子恵美筆頭理事が頑張って35分野党の時間を獲得した。この後、閉会中審査になるかもしれないが、酪農・畜産の委員会。まだ決まっていないが、理事懇で一般質疑を求めていくことを申し入れた」との報告がありました。
徳永エリ参院農林水産委員より「参院農林水産委員会は、明20日、大臣所信に対する質疑。所要4時間30分。立憲民主党の持ち時間は70分で、私(徳永エリ委員)と石垣のりこ委員とで35分ずつ質疑をする」との報告がありました。
<畜産・酪農政策WT報告>
西川将人畜産・政策WT事務局長より「11月16日、17日の2日間の日程で北海道旭川市、鷹栖町を視察した。神谷裕部門長、田名匡代農林漁業再生本部長、徳永エリ同本部事務局長、渡辺創畜産・酪農政策WT座長と私の5名が参加した。視察先は、酪農牧場、交雑種の肉牛肥育販売牧場、JA、採卵鶏農場。いろんな意見をいただいたが、輸入飼料の価格高騰について各所で話が出た。『子実用トウモロコシを含めた国産飼料をぜひ推奨して自給率を高めてほしい』『後継者対策は深刻』『加工原料乳生産者補給金、集送乳調整金の交付対象総量をできれば360万トン確保してほしい』『鳥インフルエンザの埋却地確保に苦労した。焼却処理ができるような環境を整備してほしい』とのお話があった。国会閉会後に決議があるので、生かしていければと思う」との報告がありました。
