【プロフィール】
選挙区=大田区
好きな映画や本=『ハリーポッター』シリーズ
人生初の仕事=青森市内の洋服屋
尊敬する人=両親
長所=耳が聞こえないからこそ、常にいろいろな想像力を働かせて行動する習慣が身についていること
短所=心配性、頑固なところ
https://saitorie.com/
https://twitter.com/riesaito2019


――コロナ禍で、どんな声が届いていますか?

 新型コロナが拡大して1年以上が経ちますが、困っている人や身体的ハンディを持つ人がますます置き去りにされています。私のような、耳の聞こえない人は電話が使えません。役所に相談したくて出向いてもたらい回しにされたり、病院にかかりたくてもメールでの連絡を断られて、予約すらできないこともあります。ワクチン接種予約で問題になりましたが、高齢者に限らず、アクセス方法が多様ではないために命に直結する格差が生じています。
 例えば、耳が聞こえない人がコロナに感染してしまった場合、入院ができたとしても手話通訳の方がいなければ、医師や看護師と意思疎通ができません。保健所と連絡を取るにも一苦労なのに、高熱の状態で手話通訳の派遣をお願いするのは本当に大変なことです。
 一人で10歳の娘を育てているので、私がコロナにかかってしまったら娘はどうなるのか…と不安です。これはひとり親でなくても、子どもを持つ人みんなが同じ不安を抱えていると思います。


――障がい者として、働く女性として、シングルマザーとして、政治に関わる思いとは?

 私は2019年まで、北区議会議員として活動してきました。耳の聞こえない私が議員になったことで、情報保障の進んだ議会になりました。音声同時翻訳ソフトが入ったタブレットを貸してもらえるので、聴覚障がい者も気軽に傍聴できる全国初の議会となりました。
 こうした情報保障は、障害者権利条約や障害者差別解消法で定義されている「合理的配慮」の1つです。必要な情報にアクセスしたり発信したりすることは、生きるために必要なこと。当事者が入っていくことで、ちょっとした工夫や配慮が進んでいき、すべての人に優しい社会に変えていけるんだ、と確信が持てたんです。

 耳の聞こえない私が、議会できちんと仕事ができるのか、と心配されることもあります。
 都内の特別支援学級の先生が授業で私のことを取り上げてくださったそうです。先生は、「障がいを持っていても、社会の片隅で生きるんじゃない。表舞台に立って、社会を変えていこう」と生徒に話してくれたそうです。
 本当に、胸が熱くなりました。これまでずっと、障がいのある人、特に子どもたちにとってロールモデルになれるように努力していきたい、と思ってきました。どんな可能性も否定されることなく、互いに尊重しあえる社会を作るには、政治の世界で当事者が声を上げることが必要だと思います。

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――どんな東京都にしていきたいですか?

 障がい者、働く女性、子育てする親の立場として、取り組みたいことがたくさんあります。
 障がいを持つ人だけでなく、高齢になっていろいろな不自由を感じている方、異なる言語や文化的背景を持つ方、幼い発達段階の子どもたち、東京で生きる人々は一律ではありません。さまざまなことが障壁やバリアになっていると思います。その一つひとつを政治課題にしていきたいし、それが「誰ひとり取り残さない社会」の実現につながるのだと思います。
 私のような非婚のシングルマザーも安心して子育てができるよう、それぞれが選択した生き方や家族のあり方のまま、平等にサポートを得られるようにしていきたい。

 また、区議時代には手話言語条例の制定に向けて質問を重ねてきたので、2020年4月に施行されたときは感無量、でした。この条例は、手話は言語の1つであるという認識を広めて、多様なコミュニケーション手段を選べるように取り組みを進めよう、というものです。これを東京全体に広げていきたいですし、世界に誇れるようなノーマライゼーション都市にしていきたいと思います。


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