【プロフィール】
選挙区=品川区
地元の魅力=多様性と意外性があり、都市部なのに商店街が多く人情も厚いところ
好きな本=原田マハ氏のアート小説
人生初の仕事=新聞社での社会部記者
尊敬する人=赤松良子氏
長所=好奇心旺盛で、さまざまな課題を自分事としてとらえる 
短所=片付けが苦手。熱しやすく冷めやすい
https://www.abeyumiko.com/
https://twitter.com/abe_shinagawa


――記者から政治家へと転身した理由はなんですか?

 一番大きなスイッチは「怒り」です。記者時代、国の少子化対策の審議会で「子育て支援なんかするから、母親が子育てしなくなる。子育て支援は子捨て支援だ」という男性委員の発言を聞いた時のショックと怒りといったら…。これでは、日本の子育て支援は進まない、当事者が発言しないと動かない、と思ったんですよね。
 職業柄、議員に取材する機会はありましたが、自分が立候補するとは思いもよりませんでした。地盤も看板もカバンもなく、区内の知り合いと言えば、ママ友5人くらい。今思うと「ふつう出ないでしょ」と思います(笑)。でも、それから5期を務め、取り組んでいない分野はないくらいです。

 記者時代にアメリカの企業の方から「うちの部長は、市長もやっているんだよ」と聞いた時は衝撃を受けました。朝から会社で働いて夕方から登庁するそうで、小さい町だとけっこうあるそうです。
 どんどん進化する民間の現場を知っている人が行政のトップになれば、組織にとっても良いでしょうし、民間と行ったり来たりできるなら、政治の世界にチャレンジしやすくなりますよね。
 政治の世界が「片道切符」では参入のハードルが高すぎます。議会は、多様な社会の縮図であるべきだし、いろいろな人がその代弁者として入っていける場所であってほしいと思います。


――コロナ禍でどんな声を聴いてこられましたか?

 もともと非正規で働いている女性が多い飲食店やサービス業が大きな打撃を受けています。シフトが減らされ、収入が激減している女性がたくさんいます。一人暮らしで途端に家賃が払えなくなった女性や、自分のパート収入で食べ物や日用品をまかなっていた女性がコロナ禍になっても夫から生活費をもらえず、子どもの食べるものも買えないという「家庭内貧困」の相談は1件や2件ではありません。
 収入が減って一番最初に削るのは交際費です。いったん疎遠になると、「助けて」とは言えなくなります。子育てでもそうですが、安定している時にはサークルに参加したりお茶をしたりして人とつながっていられるのですが、なにかつまずくことが起きて追い詰められていくうちに、周りに助けを求めにくくなってしまうのです。

 介護の現場も本当に大変です。ヘルパーさんが来られなくなったことで認知症が進んでしまった方、働きに出られなくなったご家族、経営的に立ち行かなくなる事業所…。玉突きでいろいろな問題が噴出しています。新型コロナがおさまっても、ここは政策的に相当介入しないと、介護の基盤が崩壊してしまうと思います。

5B123C5E-C190-4BFA-A774-4A53E1150B8F.jpeg

――区政から都政への挑戦ですが、生かしていきたい視点は?

 私はよく「水道の蛇口」のたとえ話をするんです。家の蛇口が「区」だとして、その奥には元栓である「都」があります。元栓が閉まっていたら蛇口から水は出てきません。
 5月末に品川区で11億8000万円の補正予算が成立しました。そのうち、半分は都からの補助金です。東京都がどのような予算をどんなスキームで組むかが、実は区の事業を大きく左右しているのです。
 区議会議員として都と区のミスマッチがあることを感じてきたからこそ、都民であり区民である一人ひとりの暮らしやニーズにこたえる仕事ができると思っています。

 コロナ禍で、女性の自殺率が急増しています。女性の生きづらさの背景にはさまざまな問題が複合的に絡んでいますが、その中でも特に政治が取り組むべき課題として、若い世代の望まない妊娠や性暴力など、「性」の問題があると思います。
 必ず進めていきたいのが「包括的な性教育」です。東京都は性教育バッシングによって20年以上もこの分野が遅れてしまいました。子どもの頃から、互いに思いやる気持ち、コミュニケーションスキルを育てていく教育が求められているし、そうしたプロセスの先に身体的な触れ合いがあるんだというアプローチが大切だと思います。
 私は、女性が人生の主役になれる社会を作っていきたい、と思っています。


D20CC551-385F-4799-B36F-4628EABF4334.jpeg