立憲、自民、公明、維新の政務調査会長らは11月15日夕、国会内で旧統一教会による高額献金などの被害者救済のため、今国会での法案成立を目指し8回目の協議会を開催しました。

 同日14時の与野党6党による幹事長・書記局長会談で示された政府の救済法案(新法)の概要「被害救済・再発防止のための寄附適正化の仕組み」について政府から示され、立憲・維新からは新法の問題点について指摘を行いました。14時に示された政府新法案に対し、17時の協議会に間に合うよう問題点をまとめたことから、現時点での問題点を指摘し、「この問題点を解消していただきたい」と求めました。

 協議に出席した長妻昭政務調査会長は、協議会後に記者団の取材に応じ、政府の新法について、「予想していたものと全く同じ」「非常にがっかりする内容」だと述べました。また、概要は与党が説明するものだと思っていたものの政府が全て説明し、与党側から「今日初めて見た」との発言があったと述べ、「役所丸投げ的な形になっている。非常に4党協議の実効性が問われる事態だ」と問題視しました。

■そもそもなぜ新法なのか

 一番の問題点として「入り口が狭すぎて入れない」と語り、消費者契約法と新法の要件の条文がほぼ同じだと指摘。「消費者契約法の入り口は狭すぎて現行の法律では救われないという事実がある」「マインドコントロールの定義もないことは、はっきりと認めた」と述べ、「救済の範囲を広げるはずの新法の意味がなくなっている」と指摘しました。

■政府案の寄付の規制

 政府案の寄付の規制は、「禁止行為(により)→困惑(して)→寄付(の意思表示)」という場合に取り消すことができる仕組みですが、問題となっている、いわゆるマインドコントロール下にあり、(困惑もせず)進んでする寄付は対象外となってしまうと指摘しました。

 さらに、契約ごとに禁止行為であるかを認定していくという使い勝手の悪さに加え、「寄付をすることが『必要不可欠』であることを告げる」という要件が厳しすぎると指摘。現行の消費者契約法等よりも旧統一教会の被害者救済は困難になると述べました。

■家族の救済

 政府の新法案が示され報道もありましたが、長妻政調会長は「家族取消権を新設する、できるという報道があったが、間違いだ」と述べ、「今もできることを損害の認定をしやすくするという趣旨に過ぎない」と指摘しました。さらに献金をした本人が無資力でなければ使えないと指摘しました。

 また、取り戻すことができるのは全額ではなく扶養請求権等の範囲内に限定されると指摘しました。

■その他の問題点

 (1)自発的に借り入れや、住居を処分して献金しても規制できない(2)借り入れや住居を売らない範囲の献金は規制の対象外と誤認されかねない(3)個人から法人に対する寄付のみを対象としているが、法人のみでは対象が狭すぎる(4)取消権の行使期間が10年と短い。行使期間を民法にそろえるべき――といった指摘をしました。

政府提示:「被害救済・再発防止のための寄附適正化の仕組み」(概要).pdf
野党提示:20221118新法概要の問題点.pdf

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