枝野幸男代表は30日、定例の記者会見を国会内で開き、党のロゴを発表しました。また、政務調査会に設置される6つの調査会の会長選任(憲法調査会長:山花郁夫、税制調査会長:海江田万里、社会保障調査会長:西村智奈美、経済政策調査会長:江田憲司、環境エネルギー調査会長:田嶋要、外交・安全保障・主権調査会長:篠原豪)を報告しました。

 党の新しいロゴマークに関して、「党のシンボルとしてはこのマーク、あるいはこのマークがない立憲民主党というロゴタイプで早急に徹底をしたい」と述べました。旧立憲民主党が印刷物などに使用していたものについては「資源の保全という観点も含めて、使い続けることは妨げない」として当分の間、新しいロゴマークとの併存を認めると説明しました。

 6つの調査会で進めていく論点に関して、憲法調査会では「有料広告規制について、さらにさまざまな意見、議論などを踏まえて、きちんとしたものを作っていくにはどうしたらいいか議論を深めてもらいたい」と指摘。税制調査会では「直間比率が逆の形になり、直接税の比率が軽くなりすぎている、間接税に対するウェイトが重くなりすぎているといったところを抜本的に見直すことも含めて検討してもらいたい」と説明。社会保障調査会では「支え合う社会の基本になるのが、――ケアサービス、あるいはベーシックサービスと呼んでいますが――医療、介護、保育、学童保育、障害福祉などについての雇用環境や賃金を底上げして、量的にも質的にも十分なものを作っていく、こうしたビジョンをより具体化してもらいたい」と説明しました。

 経済政策調査会では、「これからの日本を、リードしていける産業の育成、あるいは足元の経済対策に加えて、特に菅総理が中小企業を、一歩間違えると淘汰するようなニュアンスのことを言っている。日本の特に雇用の大部分を抱えているのは中小企業であり、日本の競争力の源泉は、中小企業の層の厚さにあると私は思う。厳しい環境にある中小企業をどうやって発展成長させていくのかが求められている状況であり、こうした観点からも具体的な提案をまとめてもらいたい」と述べました。

 環境エネルギー調査会では、「私が申し上げている『自然エネルギー立国』に向け、かなりいろいろなパーツがすでに蓄積されているので、より具体的なビジョン、プログラムという形にまとめてもらいたい」と説明しました。外交・安全保障・主権調査会では、「政調会長の肝いりで若手を抜擢したいということで篠原さんに会長をお引き受けいただくことになった。現実的な外交安全保障政策、同時に沖縄の基地問題や日米地位協定など、主権と主体性を持った外交について議論を深めてもらいたい」との考えを示しました。

記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

記者)新党のマークにどのような意味や願いを込めているのか。また、自民党の杉田議員の「女性はいくらでも嘘をつける」という発言についてどのように捉えるか。彼女に対して自民党に処分を求めるかどうかを伺いたい。

枝野代表)マークについて、デザイナーの方がどういう思いでおられたのか私が代弁する立場ではないのですが、私自身はこれの提起を受けたときに、従来立憲民主党という部分が右肩上がりで躍動感あったわけですが、こちらは逆に政権の選択肢となる政党としての安定感と落ち着きを示し、(シンボル)マークの方で躍動感を示すことで良いバランスのものを作っていただいたと思っております。
 杉田議員の発言ですが、率直に言って論外の発言であると思っております。むしろ杉田議員よりも、杉田水脈さんの名前を書いた有効投票は一票もなく、議員になられている比例単独候補です。この方を公認し、またこうした発言を容認してきている自由民主党のあり方が問われていると思っています。

記者)新党ができてからの第一声がなぜ千葉県の柏だったのか。

枝野代表)今回の遊説は、新しい立憲民主党として新しくなった理念や党の方向性を訴えていきたいと。具体的な遊説の場所については、党の立ち上がった直後ということもあり、受け入れ態勢のできるところから順次回らせていただいている。有意な新人がいるとか、それぞれの地域の特徴としてできるだけ早く行った方がいいところを選定をさせていただいている。

記者)岡田(常任顧問)に頼まれたということなのか。

枝野代表)まったく違います。党の方として、あるいは私や私のサポートチームの党の情報収集の判断の中で、千葉は受け入れが早い段階でできると。なおかつ私の日程の関係上、あの日はあまり遠隔地までは行けない中で、千葉で、なおかつ長浜さんの地盤中の地盤のところでありますので、そうしたことでも受け入れがやりやすいということで、あの場所が選ばれた。もちろん本庄さんが、期待をする有力な新人であるということも当然含まれていますが、どなたかから頼まれたとかということはありません。

記者)1点目は、臨時国会10月23日召集という見通しについてどのように受けとめているか。どういう論戦にしていきたいのか。2点目は、所得税とか消費税については税制調査会でやるのかということ、それから所得税、消費税について海江田税制調査会長に期待すること、また消費税の減免についてどのように期待しているか、どういう議論を求めていきたいかということ、低所得者への定額給付はどこでやるのか伺いたい。

枝野代表)臨時国会の召集、結果的に所信表明が過去にないぐらい遅くなることは大変残念に思っています。特にご指摘の通り新型コロナウイルス感染症によるさまざまな状況があります。東京がGoToトラべルの範囲に含まれるなど、この間もいろいろな変化があるわけです。また、倒産件数が急激に増えている経済状況などを踏まえれば、一時も早くこの問題についての議論が必要ですし、同時に新政権としてはむしろ積極的にいち早く所信をお述べになりたいと推察をするのですが、それが遅くなるのは大変残念に思っています。新内閣として当然の所信に対する十分な質疑とこの間先送りされてきた新型コロナウイルス対策、経済も含めた議論が同時に行われるわけですので、特に所信に対して通常よりも2倍3倍の質疑時間を予算委員会などで確保していただきたい。それぐらい議論しなければならないテーマが溜まっていると思っています。
 中期的な税体系全体の見直しは税制調査会が中心になり、短期的な足元の緊急経済対策としての一時的な対応策は経済政策調査会が軸になり、給付については社会保障調査会が軸になると思いつつも、政調会長のところで党一体で議論をするなど、いろいろな工夫をしながら、齟齬のないようにやっていきたいと政調会長から聞いております。

記者)臨戦モードの中、発足する調査会の議論は選挙公約にどうつながるのか。

枝野代表)それぞれの調査会での議論は、選挙のときの訴えに繋がっていきますが、選挙を見据えた場ではそもそもありません。選挙公約等については、政調会長を軸に、現場からのさまざまな積み重ねを集約した上で、幹部の間で議論をしていくということになります。

記者)1点目は森友、加計、桜を見る会の疑惑について菅内閣は幕引きを狙っているが、今後野党はどのように追及していくか。2点目は、れいわ新選組の山本太郎代表が枝野代表と直接会談をして、(候補者)調整をしたいという旨、各地で発言している。山本代表と会談する考えがあるのか。3点目が、欅坂46が櫻坂46に名前を変えるが、それについての受け止めを伺いたい。

枝野代表)1点目は、従来と何ら方針は変わりません。2点目は、われわれは組織政党としての組織がありますので、例えば選挙については選対委員長や幹事長という司つかさの担当者おります。そうしたところでの積み重ねなしに、トップ同士で何かやるというのは、それはすみません、はっきり申し上げてちょっと違うと思っています。それぞれの担当者は、それがどなたとの関係、どの党との関係、どの勢力との関係であっても、責任を持って党を代表して、いろいろと必要であれば協議をしております。
 欅坂の持ち味は、一種アウトサイダー的な曲調歌詞というところが売りものであった。そこが櫻坂という名前ではなかなか、たぶん従来と曲調が変わるのだろうなと。それが発表されてみないとトータルでの受け止めは難しいなと。名前が変わることで曲調、その他中身も変わるのかどうか、待ちたいと思います。

記者)昨日、衆院の総支部長167人が決められたが、過半数233人以上の擁立、見通しはどうか。立憲単独で233人擁立することは可能なのか、もしくは目指されているのかが1つ目。2つ目は、以前の立憲民主党には外交・安全保障・主権調査会がなかったが、改めてこのタイミングでこうした調査会を設立された狙いや期待は何か。

枝野代表)まず後者について言えば、経済政策調査会もありませんでしたし、新しい党ですから基本的に部会横断的な問題を取り扱うには、例えば農業政策・一次産業政策、大変重要ですが、基本的には農水部会でかなりの部分が完結することで調査会にしませんでした。外交・安全保障・主権問題は、省庁横断的、部会横断的なものなので、それは必要だろうと相談をしました。
 233の小選挙区に擁立はしたいとすでに従来から公言していますが、わが党の公認にはこだわらないと。会派を共にする非常に近い関係のある皆さんで233人を、小選挙区233以上は埋めたいという考え方です。
 それから、それぞれ総支部を選挙管理委員会に届け出るには政党支部として支部証明を本部から発行しなければならない。昨日発表された総支部長は、その事務手続きが昨日の時点までで間に合ったところをお出ししているので、事務手続きが間に合わず昨日は含まれていないところもたくさんあります。現状、200を超えるぐらいの状況にはなっており、若干の調整がいるところを含めるとそれを大幅に超える状況ですので、選対委員長は苦労していますが、233に近い仲間を擁立することは十分にできると思っています。

記者)次期衆院選の候補者調整で、立憲と共産、立憲とれいわ、重なる部分もあるが、そうした部分の候補者調整を今後どのようにやっていくのか?

枝野代表)まだその前段階です。

記者)大阪都構想の是非を問う住民投票まで残り約1カ月。党としての賛否とその理由、残り1カ月間どのような訴えをしていきたいか。

枝野代表)大阪都構想は存在しません。大阪市廃止構想です。これは地方自治問題ですので、大阪府連としては反対する市民の皆さんを総力を挙げて支援する方針を決めておりますので、党本部としても、それを全力でバックアップしたい。

記者)消費税ゼロについてどう考えるか。そして何年間という期間で考えているのか。2点目が、先週市民連合から受け取られた政策要望の中身をどう評価しているか。これを昨年の参院選のように国民民主や共産を含めた候補者の一本化に活用すべきと考えているか。3点目は共産党が選挙協力とセットで求めている野党連合政権について、どういった懸念が残っているか。

枝野代表)1点目ですが、所得税1000万円以下ぐらいを基準に所得税の時限的免除の話と、定額給付をさらに行うべきであるという話と、あくまでパッケージとして話をしてきたのですが、パッケージから切り出しをされるので単独でお答えをしないことにしました。2つ目ですが、市民連合からいただいたご要望については概ね方向性は一致をしていますが、細かいところを見るといろいろとこれから議論が必要な部分が残っていると思っています。3点目については共産党さんのさまざまなご主張については十分認識をしておりますが、違いのあることを前提にしながら、どこまで連携できるのかは今後の課題だと思っています。

記者)首相指名選挙で共産党の志位委員長に代表自ら協力要請した理由は何か。共産党以外でどの党の代表に依頼したのか。志位委員長は野党連合政権を作っていく意思表示として投票したと述べているが、次期衆院選までに党首会談を開く考えはあるか。市民連合の要望の中には、憲法改正の発議を阻止する項目があるが、安倍政権ではなくなったが、菅政権のもとでも憲法改正の発議は阻止すべきと考えるか。

枝野代表)3点目については先ほど申しました通り、大きな方向性については共有できていると思っています。細かい具体的な部分については今後議論が必要な部分があると申し上げた通りです。その1つひとつに現時点でこれは一致している、していないと申し上げる段階だと思っていません。それから首班指名に先立って、新しい立憲民主党の結党を、すべての政党にご挨拶に回った際に、自公政権を倒すために最大限連携をして、自公政権を倒すために協力をしていきたいとお願いを致しました。これは他の野党について同じように、同じような言葉でお願いをしています。それから共産党さんのさまざまなご主張については十分承知をしています。一方で、天皇制や日米安保など、将来の社会像について明確な違いもありますので、その違いを前提としながら、どこまでの連携が可能であるのかは今後の課題だと思っています。

記者)臨時国会前の10月中旬に総理が東南アジアへの外遊を調整していると一部で報道されているが、所信表明演説、代表質問などを通して国民に新政権のさまざまな方針の説明がないままに外遊に行くことは国会軽視ともいえそうだが、どう考えるか。

枝野代表)1つ目は過去にも国連総会など国際会議が先行して日程が組まれ、それに先行して出席したことはあります。今回事情が違うと思います。本来はきちんと主権者、その代表の集まりである国会に対して所信をお述べになっていただいてから各国を訪問されるのが本来の筋だと思っています。

記者)自民党の細田憲法審査会長、衛藤憲法改正推進本部長という布陣をどう評価し、どう対峙するのか。

枝野代表)新しい立憲民主党の綱領でも一番最初に立憲主義を守ると書いていますので、基本的に大きな何か変化があると思っておりません。自民党側の人事ですが、顔ぶれが決まっただけで何をどうしようとしてるのか何の情報もない段階でコメントするのは時期尚早だと思います。

記者)「自然エネルギー立国」についてどういう形で打ち出していくのか。

枝野代表)いつも申し上げていますが、選挙に向けてどう目玉にして訴えていくのかは相手のあることですので、何か見通しを話すのは、敵に塩を送ることになると思います。

記者)今後、代表代行や政調会長が記者会見を開く考えはあるのか。

枝野代表)3人の代表代行、それから幹事長代行の4人で1週ごとで会見をする方針を決めました。幹事長は常任幹事会の報告等であわせて会見させていただいています。政調会長は政調審議会の報告を兼ねてメディア対応させていただいてます。

記者)首班指名の時に立憲民主党だけではなく、日本共産党、社民党、国民民主党、碧水会、沖縄の風、れいわ新選組が枝野幸男と書いたわけですが、その受け止めについて。欅坂の「不協和音」が心の支えだった香港の周庭さんがコメントしているが、代表は同曲をどう考えるか。

枝野代表)首班指名について、幅広い皆さんが私の名前を書いていただいたのは大変光栄ですし、大変ありがたく思っております。それだけ自公政権は良くないと、枝野の方がよりましだというご判断をいただいたと受けとめておりますので、そうした期待に応えていけるよう、さらに精進をしてまいりたいと思っています。
 後者ですが、3年前に周庭さんと知り合ったのは、日本に、欅坂が好きで「不協和音」をよく歌う政治家がいると周庭さんに関心を持っていただいたところからお付き合いが始まってるので、厳しい局面のところで口ずさんでおられたのだろうなと思っていました。

記者)菅政権のもとでの憲法改正に反対していくのか。野党共闘を訴えてきた共産党の過去5年間にどういう印象を有するか。

枝野代表)菅内閣が直接憲法をやるわけではないと思っていますが、菅総裁の下で自民党がどういう対応されるのか、まだまったく見えない状況ですので、なんとも答えようがありません。従来から申し上げている通り、立憲主義を強化する。つまり権力をより縛る、国民、有権者の視点からという方向の議論は積極的にやるべきだと。その縛りを緩める方向の議論はあり得ないと申し上げている。その姿勢、どういう方向でどういうやり方をしようとしているのか、やり方も政権を競い合う土俵作りですから。どの政権であってもこの枠の中で仕事をするんだという土俵作りですから。その土俵作りを今の政権の数の力で進めることはあり得ないと。そうしたことにどういう姿勢で臨まれるのか、まずは向こうの出方を見たいと思っています。
 後者については、いろいろと、特に足元での立憲主義の破壊であるとか、国民生活が厳しい状況にあることなどを踏まえられて、大変努力をされておられると前向きに受け止めております。一方で日米安保や天皇制などに違いがあることをしっかりと踏まえながら、どうすれば国民の多くの皆さんにも理解をしていただける連携、どういう範囲でどういうことができるのかをわれわれも努力したいと思っています。