野田佳彦代表は3月28日、国会内で記者会見を開き、(1)2025年度予算案の審議(2)企業・団体献金の禁止(3)米自動車関税等に関する対策本部の設置――について発言しました。

(1)2025年度予算案の審議

 野田代表は、2025年度予算案の成立を巡り、本日11時に行われる与野党三役会談で審議日程等が協議される旨を報告しました。今後の党の対応については、本日12時から開催する党執行役員会で協議をすると述べました。

(2)企業・団体献金の禁止

 昨年与野党間で年度内に結論を得るとしていた企業・団体献金の禁止について、野田代表は大詰めを迎えているとし、本日の執行役員会で大串政治改革推進本部長から現状報告を受けた上で、党の対応を決めていきたいと述べました。

(3)米自動車関税等に関する対策本部の設置

 トランプ大統領が日本も自動車などへの追加関税の対象となることを発表したことを受けて、野田代表は昨日行われた次の内閣(NC)で重徳和彦政調会長を中心に対策本部を設置し、今後の対応を検討していくことを決定したと報告しました。


野田佳彦代表記者会見

2025年3月28日(金)10時30分~10時52分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○国会審議 年度末に当たっての対応について

【代表】
 年度末になりまして、いろいろなことが大詰めの段階を迎えています。
 令和7年度の予算については、今、参議院で審議中でございますが、きょうの午前中、11時から国対間の会議があると聞いておりますので、参議院でのこれからの審議日程が固まってから衆議院の対応ということになります。その対応のあり方については、きょうの12時から執行役員会を急遽開くことになっていますので、そこで対応を決めていきたいと思います。
 また、企業・団体献金の禁止についても、年度内に決着を得るということが、昨年、与野党間で決定をしておりました。年度内ということは3月31日ということでございまして、これも大詰めを迎えておりますが、大串政治改革推進本部長の現状についてのご報告も、これも執行役員会でお聞きした上で、対応を決めていきたいと考えているところであります。

○日米の通商問題に関する対策本部の設置について

【代表】
 なお、きのうのNC(次の内閣)で、今般のトランプ大統領が未明に発表した自動車に対する追加関税について協議をさせていただき、党内に政調会長を中心として、まだ正式名称は決まっていませんが、日米のこの自動車の関税を含めた通商問題についての対策本部をつくり今後の対応を検討していくことを決めましたことをご報告させていただきたいと思います。


■質疑

○企業・団体献金禁止の実現に向けて(1)

【NHK】
 冒頭にもあった企業・団体献金について伺いたい。公明と国民のいわゆる公国案が示され、受け手を政党本部や県連に絞ったり上限をするという規制の案だが、改めてこの案についてどのように考えているかや、きょう自公国で協議が先ほど始まったが、こうした協議のあり方について、どうお考えになっているか改めてお願いしたい。

【代表】
 我々はあくまで企業・団体献金の禁止をするということで、野党として結束してこれまで対応してまいりましたので、その法案を通すということが基本線であります。
 公国案なるものが、口頭では今、委員会の中でも議論されていますが、紙ベースというか法文ではまだ出てきていないので、それを早く出すようにということを申し上げている段階であって、あくまで我々の禁止法案を通すために、来週の月曜日まで諦めずに、国民民主には野党の戦列に加わるように要請をし続けていくというのが基本線であります。
 現場の状況がどうなっているかについては、この後、大串さんからよく聞いた上で対応していきたいと思いますが、その他の動きについて、今、私がとやかく言う、コメントする立場ではありません。

【NHK】
 3月31日までに結論を得るということだが、新しい案が出てきているのか出てきていないのか、法案としては出てきていないが示されている中で、結論を3月31日までに得るということについてはどうお考えか。

【代表】
 出てこないのだったらね、それはやはり31日の期限を決めていたので、そこで決めていくというのが基本だと思います。
 出してくるのか、出してこないのか。出してくるのであれば、それは待つしかないと思いますよ。法案、考え方が出てくるならば、その前に間に合った案だけ決めてしまうということではない。ちゃんと出してくるというのだったら、どうするかという対応はあるかもしれません。だから、現時点ではそこの確認が大事ではないかと思いますね。

【NHK】
 最後になるが、そもそも3月31日という期限が12月ぐらいから決まっていたわけで、理解していると思うが、この段階になってからこういう動きが出てきていることについて、何かご見解はあるか。

【代表】
 元々去年の臨時国会で、いわゆる裏金の問題については、解明と、それに対応するための制度改正については、それこそ臨時国会で結論を出すべきということだったと思うのですね。それで、例えば政策活動費などは、これは結果が出たではないですか。幾つかの政治資金規正法に関わる部分でも結論を出すことができましたが、自民党の案が全くなかった企業・団体献金の禁止については、案も出さないのだったら決められないということで、3月末までにと、年度内に決着をつけましょうと、期限を延長してというのが経緯でありますので、せっかくお尻を決めたわけですので、その中でやはりきちっと結論を出すというのが原則だと思います。
 自民党案がようやく出てきた結果、禁止ではなく公開という、ちょっと前提条件が違うものでありますが、今、そのどちらがいいかという議論をしているときなので、この終盤になって公国案が出てきましたので、案が、案としていいかどうか含めて、法文が出てくるならばこれは案となりますので、その動向を見極めるしかないということであります。

○「自動車関税25%上乗せ」米大統領布告について

【産経新聞】
 冒頭の発言の中でもあった、アメリカの関税について伺いたい。26日にアメリカのトランプ大統領が、日本車を含む自動車に対して関税の25%の上乗せを発表した。まず、この関税に対する所感と、今まで日本は武藤経産大臣を派遣して交渉したりしてきたが、今までの日本政府の交渉と、今後どのようにすべきとお考えか。

【代表】
 これまでの交渉では、日本の態度というのがよく見えないんですね、ほかの国に比べて。
 そもそも2月7日の日米首脳会談って一体何だったのかなと。当時は非常にうまくいった感がありましたが、考えてみれば、関税については突っ込んだ議論が全くなされていなかったということでありますし、あの間では日米の関係がこれからうまくいくかもしれないという予感がありましたが、これほど敵対国も同盟国も関係なく厳しい対応になってくるとはたぶん政府も予想していなかったと思うのですけれども、でも、それにしても、例えば鉄鋼・アルミの追加関税について日本が何をしてきたかというと、カナダもEUもすぐに対抗措置を取りましたが、日本は取りませんでした。
 それは一つには、国内法の整備が十分なされていないから即時対抗措置が取れないということがあるかもしれません。だとすると、外為法とか関税法を含め、そういう検討ももう必要になってきたのではないか。で、法的に対応できないとすると、日本はルールに基づく通商政策ですので、ルールということはやはりWTOへの提訴。それもしていないということによって、今、足下を見られているのではないか。何もしない日本だということですね。
 しかも、2.5から25%(上乗せ)といって、10倍ですからね。日本の場合はやはり自動車産業のいわゆる日本経済に占める比率は極めて高いですし、対米輸出の3割は車です。雇用でいうと550万人、関連産業を含めると。甚大な影響だと思います。
 これは手をこまねいている場合ではないと思いますので、手をこまねかない一つの方法は、例外扱いでお願いベースではないと思います。武藤経産大臣が行ったけれども、何の成果もなく帰ってきています。今もまだお願いベースのところでやっているような気がしますね、例外扱いを。そう簡単ではないと思いますと、やはり厳しい交渉をしなければいけません。
 厳しい交渉というのは、2019年の夏に行われた日米自動車協定(日米貿易協定)であって、このときに、要は(米国側が)高い関税を車に課そうとしていたときに、これは厳しい交渉だったと思うのですが、あのときも第一次トランプ政権ですからね、トランプ政権のときにやった交渉で、TPPの加盟国と同じように(米国産農畜産物の)関税は低くするという、あめを与えたのです、アメリカ(に)。それによって日米自動車協定が成立した、締結されたわけなので、与えたあめを返しなさいというところから交渉を始めなければいけないのではないでしょうか。特にアメリカ産の牛肉とか豚肉はアメリカにとってはとても満足できる結果だと思います。それを与えたまま、今回はまた自動車で高い関税をと。それは日米貿易協定違反ではないかというところの、停止を含めて、じゃあ再交渉というのが、私は基本的な、タフな交渉をしていく時期が来ているのではないかと思います。

【産経新聞】
 冒頭の中で、NCで党としての対策本部を立ち上げたということだが、具体的に立憲民主党としてどういったことができるというふうにお考えか。

【代表】
 今申し上げたことを含めてどうするかということで、例えば税調(会長)の大西さんからこういうご発言があったのは、タックスとタリフはちょっと違うので、税調で扱うだけでは対応できませんと。そうすると、先ほど言った外為法とか関税法というところは財務金融部門になりますよね。あるいは、経済財政部門、外交部門、関係するところをちょっと全部集まってやはり知恵を出そうということが大事だと。
 先ほど言ったように、550万人の雇用に関わるという問題なども含め、どんな影響があるのか、どういう対策ができるのかということを皆で知恵を出していきたいと思うし、政府の動きが余りにも腰が重いと同時に、切りもないので、むしろ野党外交としてしっかりとした対応をどんどん打ち出し、むしろ政府のお尻をたたくような役割を果たしていきたいと思います。

○石破政権半年間の評価について

【東京新聞】
 石破政権が間もなく発足から半年になるが、この半年を振り返って評価をお願いしたい。

【代表】
 評価ですね。何といいますか、総理ご自身が本当に何をやりたいのかが、今もってよく見えないのです。総裁選挙5回目でようやく勝利して自民党総裁となり総理大臣になられたわけですから、やりたいことがいっぱいあったはずだと思っていたのです。そのやりたいことを、なりふり構わずやろうとしている感がないということを、なぜなんだろうと思いますね。
 加えて、やはり、何だろう、こんなときに商品券かと。3月4日の衆議院の予算の採決の前日に商品券でしょう。で、参議院の予算の大詰めの段階で、強力な経済対策(物価高対策)でしょう。こんなときにというタイミングで何となく空気のわかっていない動きをされるということは、我々は対峙する野党としても驚いていますが、支えている側の自民党でも相当衝撃が広がっているような気がいたしますね。など、半年間を振り返って、何なんだろうなこれはと、この政権はと、思わざるを得ません。
 厳しく詰めるとすぐ謝るし、謝られてしまうと、下げた頭を上からコツコツたたくなんていうことはできませんしね。非常に逆にやりにくいタイプになりましたね。

【東京新聞】
 少数与党となったことで、個別の政党と協議を進め、一部政策をのむような形で予算案への賛成を取りつけたり、そういう政権運営をされているが、この点についてはいかがか。

【代表】
 少数与党の政権になると、そうならざるを得ないのかもしれないというところはわかります。予算の成立を考えたときには、何かを相手側がメリットを感じないと応じてくれないことなどがあるので。
 でも、余りにも鼻面を引きずり回され過ぎていて、逆に政党間協議って、どうしてもこれをやりたいからということがあって、逆に積極的に与党から求めるというのがあってしかるべきだけれども、やむを得ずやっていることばかりなのではないでしょうか、という印象を持たざるを得ませんね。何となく自分を見失っていくような、今、状況になっていると思います。

○参院通常選挙に向けた取組について

【共同通信】
 蓮舫さんの擁立の検討状況について伺いたい。蓮舫さんは、皆さんご存じのように、国会審議でもすごく質問力もあり定評のある方だが、国政復帰について代表はどのようにお考えか。それから、国政復帰された場合に期待されることを伺いたい。

【代表】
 まだ国政復帰のご意思があるかどうかを含めて確認をしているところですし、もしそういうことになった場合には例えばそれぞれのほかの選挙への影響はどうなのかなど、関係者の皆さんのお話も聞いているという段階なので、そのプロセスにありますので、確たることは今は申し上げられる段階ではありません。

【共同通信】
 やはり蓮舫さんの質問力とか、そこに期待される面は大きいか。

【代表】
 という人もいますね、もちろんね。特に衆議院の人の場合は多くの皆さんが(蓮舫氏に)応援に来てもらっていただいたことがありますので、そういうことなど、党へのこれまでの貢献は大きかったということは間違いありませんし、突破力のある人だと思います。

○企業・団体献金禁止の実現に向けて(2)

【NHK】
 企業・団体献金をめぐり自公国が協議をしているが、玉木代表はきのう、立民にも協議に加わってほしいという話をしていた。状況によると思うが、協議に応じる考えは、どのようにお考えか。

【代表】
 企業・団体献金禁止に向けて、まだ足りない部分があるならば、ぜひ野党の協議に玉木さんに加わってほしいと私は思います。

【NHK】
 公国より前に、やはり野党の協議をと。

【代表】
 去年の12月では、野党がまとまれば我々もというお話をされていましたので、3か月前のお話なので、何で今度は自公国なのか、よくわかりません。

【読売新聞】
 同じく企業・団体献金の関係で、3月末までに結論を得るということは国会での与野党の取決めだったかと思う。これがもし果たされない場合は内閣不信任の考慮要素になるのかという辺りをお願いしたい。

【代表】
 これはまだプロセスにあるので、まだ31日まで、一応お尻を切っていますが、どうなるのか。あるいは、国民民主がぎりぎりの段階までどうなのか。あるいは、法案で出てくるのかどうかなど、流動的な要素がありますので、これをもってすぐに不信任云々という今の段階ではないと思います。

○後半国会での法案審議について

【読売新聞】
 話題変わり、まだ企業・団体献金は結論が出ておらず、予算審議も採決にまだ至っていないが、後半国会がこれからまた始まると思う。この中で党としてどのようなことに注力されるか、テーマなどあれば教えていただきたい。

【代表】
 17の常任委員会のうち、15の委員会では野党の委員の数が多いので、議員立法をきちっと議論の俎上にのせれば、野党がまとまればその議員立法が、特に我々もたくさんの議員立法を出しておりますので、こういうものが衆議院の段階では可決される可能性が大きい。委員会でそうなれば、本会議でも可決される可能性が大きい。で、参議院でどうするかということになりますので、去年の補正予算で28年ぶりの修正、今回の当初予算もこの通常国会で間違いなくこれは修正ですので29年ぶりの修正、30年に1回の大きな変化が起こっていますが、法案審議でも、もっともっと、これから想像できなかったようなことが起こり得ると。
 ただ、これは野党が一致して対応した場合なので、丁寧に野党の連携を図っていくことがこれは基本だと思っていますが、そのチャンスは、4月以降、6月22日までチャンスはあると思っています。

○予算審議について

【産経新聞】
 令和7年度予算について伺いたい。本日、参院次第だが、参院で可決されれば成立の見込みが立ってくると思う。今回の令和7年度予算をめぐっては、野党が個別交渉し、例えば維新だったら高校無償化、国民民主は部分的に年収の壁の引上げを勝ち取ることができたが、野党が対立した結果によって、ばらばらだったがために大きい成果を勝ち取ることができなかったと思う。もっと一致団結すれば、先ほどおっしゃったように、より大きな成果を得られたと思うが、今回の令和7年度予算の審議を振り返ってみて、どのようにお考えか。

【代表】
 去年の臨時国会のさなかから、例えば「103万円の壁」についての自公国の協議が始まり、ことしの通常国会の冒頭まで続くと。そして、維新の(高校)授業料無償化の拡充についての協議も去年から始まり、これも予算審議の前半まで関わってきましたので、その間、それぞれの政党が、やはり自分たちの達成目標があったので、実現に懸命に動いたと思うのです。ある意味、夏の参議院選挙がありますので、比例票もあるので、党としてのアピールがあると思いますけれども。
 でも、やはり基本は、去年、政策活動費(廃止)が7党派で共同提案して自民党を動かしたように、野党がまとまったほうが物事は通りやすかったと思いますし、個別協議ではなく、野党がまとまって要求する予算修正項目がいっぱいあるならば、それはもっと実現できたと思うのです。一部の政府修正で終わったではないですか、3000億ぐらいでしょうかね。そのレベルではない、もっと規模の大きい予算修正が、野党が力を合わせればできたはずだったと思います。暫定税率の廃止なども含めて。
 我々は3.8兆円の財源を提示していましたが、最大3.8兆円までは可能性があったと思いますので、その意味では、やはり野党の連携が鉄則であるということを、今、お互いに確認し合うべきではないかと思います。

(以上)