福山哲郎幹事長は2日、日本学術会議の会員の一部候補の任命を菅総理が見送ったことを受け、記者団からの取材に応じました。

 福山幹事長はこの問題について、「学問の自由に対する国家権力の介入であり、到底看過できるものではない」と強調しました。日本学術会議の会員の任命について昭和58年の国会答弁では、「実質的に総理の任命で会員の任命を左右することを考えていない」と総理は形式的な任命権者であるという解釈をあげ、この解釈を変更したのかどうか、なぜ変更したのか、なぜ任命拒否の理由を明確にできないのか疑問を述べました。そのうえで、どういった行政手続きで当該候補を除外したのかの説明、決裁文書があるならばその文書の提出、菅総理や加藤官房長官がどのように指示をしたのか、あるいは命令や指示はあったのか、意見を述べているのかを明確にする必要があると主張しました。

 さらに福山幹事長は「学問の自由は社会の発展を促し、自由な発展に新たな発見や人類の進歩が生まれる」との考えを示し、「このことにふたをするような菅内閣の行為は、この内閣が極めて閉鎖的で学問の自由に理解がなく、立憲主義に理解がないことを如実に表している。強く抗議をし文書での理由の明確化を求めていきたい」と述べました。

 会員任命拒否の理由の明確化をどのように求めていくのか記者団から問われると、来週おこなわれる予定の野党ヒアリングで明確な回答がなければ、衆参の予算委員会集中審議の開催や、国会対策委員会と相談して実質的な回答を得られる場面を作っていくと説明しました。

 この問題が、検察庁法改正案で黒川氏の定年延長問題が出た際に当時の森法務大臣が明確な説明をできなかったことに酷似しているのではないかとの指摘に対しては、「検察庁法改正案と同根ではないかと言わざるを得ない」と述べ、「学者の皆さんや市民の皆さんとともにおかしいと声をあげないと、学問の自由が奪われ学問の自由に対する萎縮行為があちこちに広がり、結果としてこの国の発展を阻害する行為になる」と懸念しました。