菅総理の「2050年温室効果ガス排出実質ゼロ」表明について(コメント)

2020年10月29日

立憲民主党環境エネルギー調査会長 田嶋要


 10月26日に行われた203臨時国会での所信表明演説において、菅総理大臣は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すこと」を宣言した。既に国内人口の過半に達する自治体が国に先がけて2050年排出ゼロを目標として掲げ、また、多くの先進国が既に2050年カーボンニュートラルを宣言しており、遅きに失した感はあるが、この決断を評価したい。
 一方で、どのように2050年にカーボンニュートラルを実現するかについての具体策は示されていない。まずは、2030年温室効果ガス排出目標について、2050年目標と整合する形で早急に見直しを行うべきである。具体的には、十分に実現可能である再生可能エネルギー導入目標、省エネルギー目標を上積みし、石炭火力発電所についても大幅な縮減を図るべきである。
 加えて、政府はこれまでの2050年80%以上削減目標について、技術革新に過度に期待し、具体策を示してこなかった。しかし、2050年カーボンニュートラルを掲げた以上、電力については、原発に頼ることなく、2050年再生可能エネルギー100%を掲げ、熱や動力についても再生可能エネルギーの電力から生産される水素などを用いるなど、具体的な施策と行程表を示すべきである。
 立憲民主党は、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現するとともに、地域の資源を活かした再生可能エネルギーの活用と省エネルギーによって地域を豊かにしつつ速やかに脱炭素社会を実現できるよう、早急に中長期目標とそれを実現するための具体策をとりまとめ、その実現をめざす。