枝野幸男代表は15日、福島県を訪れ南相馬市の原ノ町駅前で街頭演説を行い、その後、浜通り被災地の再生・将来像について若者と意見交換、相馬双葉漁業協同組合との意見交換、会津若松市で党福島県第4区総支部の設立大会に出席しました(写真上は、若者と意見交換をする枝野代表)。

■原ノ町駅で街頭演説
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 枝野代表と共に街頭演説をした金子恵美衆院議員(福島1区)は、菅政権になり内閣の基本方針から「震災復興」の記述が消えたことを指摘、「極めて残念だ」と語りました。さらに、東京電力・福島第1原発事故によりたまり続けている放射性物質を含んだ処理水について、政府が海洋放出する方針を近く決定するとの報道があることについて、福島県内の団体の呼びかけで経産省に提出された反対署名が42万人を超えていることなどを挙げ、「国民的議論もなしに海洋放出しては駄目だという声が上がっている」「みなさんの丁寧な声を聴くことが私たち(政治)の役目。大切なことを勝手に政府が決めて良いのか」と疑問を投げかけました。

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 枝野代表は、東日本大震災と原発事故へ対応した経験から、「自分の力だけではどうにもならない困難や危機が誰の人生にも必ずある、そのことのために政治がある」との思いに至ったと語りました。
 さらに今回の新型コロナウイルス感染症により日本中の多くの人たちが大変な困難のなかにいると述べ「暮らしや、それまでの生業が壊されてしまい、なんとか立て直そうと歯を食いしばり、前を向いて頑張ってこられた皆さんお一人おひとりの声に耳を傾けようという姿勢が足りないから、競争、自己責任、自助努力だと堂々と総理がいう政治になってしまっているのではないか。こういう政治に変わる『あなたのための政治』を作っていく」と訴えました。

■若者との意見交換
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 南相馬市出身者を中心に、19歳から27歳の学生や働く若者と浜通り被災地の再生・将来像についての意見交換。立憲民主党からは枝野代表の他、金子衆院議員、高野光二、高橋英樹両県議会議員、小川尚一、渡部一夫、鈴木貞正、田中京子各南相馬市議会議員が参加しました。

 現在の再生状況について若者からは、

○復興を目指して作っていたイノベーション・コースト構想が一般の人に馴染みがない
○地域課題も解決しているような気がしない
○この10年で光の部分と影の部分で差が生まれている。影の部分を取り上げていく必要がある
○ニュースと実情が違う。実際に見ないとわからない
○忘れてはいけない。小中高生などあとの世代に学べる機会を作る必要がある
○高齢者向けの事業はあるが、子育てを世代など若い人が集まれる施設はそうでもない。平日は外で働き、休日はここで生活するという人のためのものが必要
○復興という言葉は誰の目線に立つかで変わる。設備は整ってきたが、精神的な部分は分かってもらえていないと言う人が多い

 浜通りの将来像については、

○南相馬には地域課題が多くある。社会に求められているのは答えのないものへの対応。能動的な行動ができるための教育が必要
○前の姿に戻すのは難しい。再生可能エネルギーなどを活用することと、暮らしやすさや住心地のいい街に
○世界史に残るようなことなので、多くの人に知ってもらうようにしていく
○南相馬には悪いイメージのタグがついている。負のタグを塗り替えるような浜通りや南相馬に

といった意見がありました。

 これを受けて枝野代表は、「復興のゴールは人によって違う、浜通りの人や、それを報道で見ている人、大人や子どもでも。その中でお互いに理解ができるようすることが必要」との旨を語りました。また、「地域コミュニティや高齢化、産業の問題など全国でこれから起きる問題が、震災や原発事故で一気に襲ってきた。これらを短時間で解決しなければいけない。その先端を行っているという点も注目してもらうと良いと思う」と語り、この地域での取り組みが全国の参考になることを示唆しました。
 また、マイナスイメージで差別や偏見があることについて、自身の子どもの頃には広島や長崎出身の人への差別も残っていたが、今では原爆の被害を乗り越えて街を作ったという印象のほうが多いのではないかと語り、負の面を乗り越えて頑張っている姿を見ている人、待っている人もいることを知っておいて欲しいと伝えました。

■相馬双葉漁業協同組合との意見交換
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 立谷寛治代表理事組合長らと、地元でとれた水産物を中心に作られた弁当を食べながら意見交換を行いました。『アルプス(多核種除去設備=ALPS)処理水の取扱いに係る要望書』を手交、その後、漁業復興への取り組みの現状と今後の展望について説明を受け、意見交換をしました。

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■福島県第4区総支部の設立大会
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 小熊慎司衆院議員が代表を務める福島県第4区総支部の設立大会では、新しい立憲民主党で目指す姿について話をしました。