参院厚生労働委員会で19日、社会保障及び労働問題等に関する調査(新型コロナウイルス感染症対策等に関する件)について質疑が行われ、立憲民主党から田島麻衣子議員が質問に立ちました。

 田島議員は冒頭、同日昼の東京都で新たに500人超が感染という速報を受けての今後の対応について質問しました。田村厚労大臣は、専門家や有識者の方々からの提言などを踏まえて対応していくと述べ、特に飲食の場での感染防止対策の必要性を強調。田島議員が、専門家などが提唱する飲食の方法を取るのは、現実には難しいのではないかと疑問を呈しました。

 田島議員は、各地で新規感染者の最多更新が相次ぐなか医療体制ひっ迫への懸念があるとして、医療崩壊が起こらないよう全力で対応していただきたいと要請。また、休業支援金の執行率が8.4%であることなど、1次、2次補正予算で措置した事業の執行率が低いことを問題視し、改善を求めました。

 田島議員はまた、全国の児童相談所が2019年度に児童虐待として対応した全体の件数が19万3780件(速報値、前年度比21.2%増。18日に厚労省が公表)と、1990年度の統計開始以来29年連続で最多を更新していることを取り上げ、「新型コロナ感染症の拡大が長期化するなかで5月、7月の児童相談所への児童虐待の相談件数が少なくなっていることをどう読むか」について、田村厚労大臣に見解とその根拠を尋ねました。

 田村大臣は、児童相談所への相談件数が直近3カ月で、5月が2%減、6月が10%増、7月が6%減であるとして、「速報値であり、件数のみで評価するのは難しい。コロナ禍で本来相談されるものが相談されていないことも考えられるので注視していかなければいけない。こうした状況で外からの目も入りづらい。子どもがどういう状況かを把握しながら対策を打っていかなければならない」と答えました。

 児童虐待防止対策強化に向けた、児童福祉司を2017年度の3,240人から2022年度に5,260人と約2,000人を増員するという対策プランの実効性については、処遇改善措置として積算単価を月額で2万円上げるほか、各自治体への支援もしながら5,000人体制の確保を進めていきたいと述べました。

 児童相談所の中核市への設置の義務化については、厚労省は、前回の法改正でさまざまな議論があるなかで設置を希望する中核市や特別区がすべて設置できるよう支援をしていくというスタンスであり、今年6月時点で、設置済みが横須賀市、金沢市、明石市の3つの自治体、来年度は奈良市で設置予定、そのほか7つの自治体で設置の方向で検討中だと説明。支援方法としては、自治体が行う採用活動への支援の拡充や、児童福祉司と職員の処遇改善など、設置にあたって具体的な必要な要望などを聞きながら支援をしていくと述べました。

 田島議員は「国家予算をかけるとしたら、こういうところにかけなければいけない。子どもの命を虐待によって失わせてはいけない。2019年の児童虐待防止法の検討規定にある中核市への設置の義務化を検討してほしい」と求めました。

 最後に、児童相談所に寄せられた相談件数のうち、性的虐待の報告が1.1%であることに、「氷山の一角ではないか。子どもたちが相談できるようプライバシーが確保できるよう、場所の設置も含めて性的虐待への対応をとってもらいたい」と指摘。田村厚労大臣は、「私も少ないなというイメージ。主たる事由のみ計上いただいている可能性があるので、身体的虐待と性的虐待のうち、身体的虐待の方が外形的に症状が分かるので、そちらをカウントしている可能性もあるのではないか。よく分析していかなければいけない」などと答えました。

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