6月4日の参院憲法審査会では、国民投票法をめぐる偽情報対策をテーマに意見聴取が行われ、立憲民主党の小沢雅仁、田島麻衣子両議員が質問に立ち、課題を掘り下げました。参考人として、山本健人・北九州市立大学准教授、古田大輔・日本ファクトチェックセンター編集長、工藤郁子・大阪大学特任准教授が出席しました。

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 小沢議員は、国民投票広報協議会と民間ファクトチェック団体との連携の必要性を指摘し、「偽情報に対抗していくのは非常に難しい。だからこそ『国民投票広報協議会とファクトチェックを行う民間団体との連携が重要になるのではないか』」と問いかけました。これに対し山本参考人は「連携の在り方が透明であることがポイントだ」と答え、裏取引の疑念を生じさせない仕組みの重要性を強調しました。さらに小沢議員は、ディープフェイク技術をめぐる懸念について工藤参考人に質し、AIによる「作る側」と「見抜く側」のいたちごっこが続いている現状に警鐘を鳴らしました。 

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 一方、田島議員は、偽情報拡散の動機の1つである経済的利益に着目し「国民投票では、アテンションエコノミーを利用した収益化を規制すべきではないか」と古田参考人に問いかけました。古田参考人は「投票期間中だけ収益を停止しても大きな打撃にはならない可能性がある」と指摘し、規制対象の特定や実効性の難しさを述べました。田島議員はさらに山本参考人にも見解を求め、山本参考人は「収益化停止は経済的動機への一定の効果はあるが、イデオロギー的な発信には限界がある」と応じ、表現の自由とのバランスを踏まえた慎重な検討が必要であると述べました。