参院厚生労働委員会で19日、社会保障及び労働問題等に関する調査(新型コロナウイルス感染症対策等に関する件)について質疑が行われました。
立憲民主党の2番手として質問に立った打越さく良議員は、(1)大臣所信で男女の格差解消、不平等の是正に言及がないこと(2)女性の自殺者が急増した背景・対策(3)世帯単位の問題(4)生活保護の受給の抑制――等について取り上げました。
7月以降急増している全国の自殺者数は、警察庁のまとめで、2020年10月は速報値で2,153人と対前年同月比で約4割増、そのうち851人が女性で、対前年同月比約8割増となっています。打越議員は、コロナ禍で女性の自殺者が急増した問題をめぐり、厚生労働大臣指定法人「いのち支える自殺対策推進センター」の緊急レポートでは「経済・生活問題」を自殺増の背景の筆頭に挙げていることに言及。厚労省は、同センターの調査に触れ、女性の自殺急増の原因、背景について「経済生活問題やDV被害、育児の悩みなどさまざまな問題がコロナ禍で深刻化し、自殺の増加に影響を与えている可能性を指摘している」と答えました。
打越議員は、原因を特定できた8月の女性の自殺者445人中、1番はうつ病などの健康問題が380人、次いで家庭問題が84人で、経済・生活問題は29人であるとした上で、DV被害者の代理人などを務めてきた経験から、「危機に遭ってDVがいつにも増してひどくなったり、お金を渡してもらえないと追い詰められ、うつのような健康問題を抱えてしまう女性がリアルに思い浮かべられる。特に経済的DVが影響している可能性がある」と指摘。実際に、自殺に関する相談として配偶者と暮らす女性から、「コロナでパートの仕事がなくなり夫から毎日怒鳴られる。こんな生活がずっと続くなら消えてしまいたい」といった声が寄せられていると紹介しました。
厚労省は、内閣府の調査によると、DVを受けた女性のうち、「相手と別れた」との回答は1割程度で、「別れたい、別れようと思ったが別れなかった」が45%、別れなかった理由として最も多いのが「子どもがいる、あるいは妊娠したので子どものことを考えたから」が約7割、次いで「経済的な不安があったから」が約5割となっていると説明。打越議員は「経済的な不安」のなかにも「養育しながら生活していく自信がない」という回答が女性の場合は5割を超えており、経済的不安と重なっていると指摘し、「自分一人で子どもを食べさせていけないという不安からDVを受けても我慢する被害者からの相談を多数受けてきた。DVを我慢しなければならないような政治ではなく、離婚しても子どもを抱えてしっかり暮らしていけるというメッセージを発することができる政治であってほしい」と主張しました。
打越議員はまた、世帯単位の問題について、世帯内での収入格差の是正、世帯のなかに隠れた貧困について対策をとるべきではないかと提起。児童手当を「生計を維持する程度が高い人」(父母のうち所得が高い人)に支給することの妥当性についても問い、「別居中などについては手当をしてもらっていることは承知しているが、自治体によっては頑なに変更してもらえないことも多々あった。離婚などしていなくても、どちらが子どもに関心を持ち、子どものために使うのかに着目してもいいのではないか」と求めました。