立憲民主党つながる本部(本部長:枝野幸男代表)と障がい・難病プロジェクトチーム(座長:山花郁夫衆院議員)は共同で30日、「新型コロナウイルス感染症第3波―政治には私たちが見えていますか?」と題しヒアリングを実施しました。会議には、DPI日本会議、日本障害者協議会(JD)、DPI女性障害者ネットワーク、日本アビリティーズ協会、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、日本視覚障害者団体連合、きょうされん、発達障害当事者協会、全国「精神病」者集団、日本難病・疾病団体協議会、難病の子ども支援全国ネットワーク、日本失語症協議会の13団体から具体的な要望が挙げられたほか、他にも多くの関係者団体が参加。障がいや難病をかかえる当事者の皆さんや支援者から日常生活での困りごとや、社会への要望などについて話を聞きました。

 今回のヒアリングは、12月3日から9日まで「障害者週間」が始まるのに先立ち企画されたもの。当初は、関係者団体などが一堂に会し、展示ブースなどを設けるなどフェス形式を予定していましたが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大に伴いオンラインでの開催となりました。

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福祉3法案について説明する山花郁夫PT座長
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改正バリアフリー法について説明する横沢高徳PT副座長

 会議では国政報告として、立憲民主党など野党が今年の通常国会に提出した福祉3法案(食事加算等存続法案、重度訪問介護就労支援法案、介護・障害福祉従事者処遇改善法案)の趣旨と概要について障がい・難病PT座長の山花衆院議員が、改正バリアフリー法の概要と付帯決議に込めた課題等ついて同PT事務局次長の横沢高徳参院議員がそれぞれ説明しました。

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 冒頭、つながる本部長代行の辻元清美副代表は、当事者の皆さんからの課題を聞き、これからの政策づくりに生かしていきたいとあいさつ。

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 同本部長の枝野幸男代表は、東京都内で29日、白杖(はくじょう)を持った男性がホームから転落し電車にはねられ死亡した事故にも触れ、こうした悲惨な事故を防止し、誰もが安全に暮らせる環境の整備が必要だと述べ、「経済状況が厳しくなっていることを踏まえた目の前の対策と、中長期的な対策と、両面で受け止めて進めていきたい」と力を込めました。

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 福山幹事長は、コロナ禍で障がい者らにより情報格差が生じていることや、雇止めにあっていることなどに言及。当事者がかかえる課題を受け止め、しっかりと改善策を講じていきたいと述べました。

 関係者団体からはコロナ禍での課題として特に、障がい者、難病者が必要な情報を得られず疎外されていると訴え、具体的には「オンライン教育が進むなか情報保障がない。聴覚障がいのある子どもの授業を受ける権利が守られるようにしてほしい」「視覚障がい者が新しい生活様式で直面している大きな問題の1つにソーシャルディスタンスの確保がある。間隔の線が見えずレジに並べない」「相談窓口は電話のみならずFAXでの対応を徹底してほしい」などさまざまな暮らしの場での課題を挙げ、対策を求めました。

 日本難病・疾病団体協議会常務理事の辻邦夫さんは、重症化リスクが非常に高いとして感染対策の強化とともに、指定難病、小児慢性疾病、長期慢性疾患の患者を含めすべての患者が必要な時に必要な医療が必ず受けられる体制の維持や、経済的影響を受ける人への救済策の拡充の検討・実施などを求めました。

 日本アビリティーズ協会会長の伊東弘泰さんは、「非常事態だけでなく対応できないことに遭遇しているのが心身に障がいのある人たちの毎日の生活だ。本気に考えるのであれば、障がいのある人もない人も、どうしたら日常生活を守れるかということ、障がい福祉、社会保障のことを議論する場をつくってほしい」と提起。障がい者や難病者が活躍できない原因の1つは教育の問題だとして、特別支援学校を卒業した人が大学に進学する人はわずか2%しかいない現状の改善を求めました。

 中長期的な課題としては、きょうされんから、現下の定期的なPCR検査の実施を含めた介護・障がい福祉従事者らの処遇改善、発達障害当事者協会からは、新しい問題であり医療機関や医師不足により診断がなかなかおりないとして、「精神保健福祉手帳が取得できず、適切な支援につながっていない。グレーゾーンの人たちへの就労支援、生活支援を考えてもらいたい」、)日本失語症協議会からは、見えない障がいであり対策が遅れてきたとして「コミュニケーション能力全般に支障がある失語症者の当たり前の生活の確保を」との要請がありました。

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 当事者団体などからの声を受け、小宮山泰子衆院議員は、「バリアフリー法は成立したが、現実社会において有効に動いていないと実感した。誰もが取り残されることなく、人間の尊厳が保たれる豊かな国にしていきたい」と発言。

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 金子恵美衆院議員は、(障害者権利条約作成時の合言葉でもある)「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」という声が大きいと感じると話し、民主党政権時代に設置した「障がい者制度改革推進本部会議」のように、当事者の声を政策に反映する仕組みが必要だとの認識をあらためて示しました。

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 国土交通委員の道下大樹衆院議員は、いただいた意見を踏まえたバリアフリー法の改正に向けて一緒に取り組んでいくと約束しました。

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 つながる本部事務総長の逢坂誠二衆院議員は、当事者からの声のなかで「災害は弱いところにしわ寄せがくる」との指摘と合わせて「(そのことが)より強い存在になるチャンスだ」と前向きな発言があったことに感銘を受け、「よりよい社会を作っていくきっかけにしたい」と表明。単発ではなく、継続して体系的に話を聞くことの重要さをあらためて感じたと述べ、共生社会の実現に向け共に取り組んでいくと力を込めました。

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 最後にあいさつに立った障がい・難病PT顧問の原口一博副代表は、「素晴らしいお話、さまざまなご提言をいただき本当にありがとうございます」と感謝の意を表明。障害者権利条約の基本理念「合理的配慮」に触れ、「合理的配慮のないものは差別であるということ。障がい者は権利の主体であって保護の対象ではない。障がいはその人のなかにあるのではなく、社会の側にあり、そのバリアを取り除くのが私たちの活動の1つの大きな目標」と語りました。

 同日のヒアリングには宮沢由佳事務局長も参加、司会進行は同PT事務局長の早稲田夕季衆院議員が務めました。

 立憲民主党は、同日の声を踏まえ、今後政策に反映すべく取り組みを進めます。

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司会進行を務めた早稲田夕季事務局長
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