参院本会議は30日、「令和元年度決算」を議題として質問をおこない、参院会派立憲民主・社民からは古賀之士議員が登壇しました。
令和元年度一般会計の決算については、歳入が109兆1623億円、歳出が101兆3664億円、差引き7兆7959億円の剰余を生じており、この剰余金は令和二年度の一般会計の歳入に繰り入れていることが報告されました。また、会計検査院から248件の不当事項等について指摘があったことが麻生財務大臣から報告されました。
古賀議員は、(1)「退位特例法」付帯決議の検討状況及び国会報告時期のめど並びに皇族の減少に伴う公務負担軽減策(2)「自助・共助・公助」のあり方(3)憲法第63条の政府解釈における「誠実に答弁する責任」(4)「桜を見る会」招待者名簿の、廃棄日時が分かった理由及び廃棄日時の審議(5)GoToトラベル再検討の可否(6)航空産業や鉄道産業への支援策(7)沖縄県尖閣諸島周辺の領海への侵入事案、チベットやウイグル地域における人権侵害及び国家安全維持法による香港住民への過激な弾圧への所見(8)習近平総書記を現段階で国賓として日本に招くことへの是非(9)公共放送の位置づけ及び今後のあり方並びに民間放送との関係(10)アベノマスクの予算及び効果(11)接触確認アプリの最新の普及率及び今後の見込み、アクティブ率、使用頻度、陽性登録者の累計及び直近2週間の1日あたり平均、感染防止にどれほど役立っているか(12)会計健診の検査報告における指摘についての受け止めと今後の対処方針――について質問しました。
古賀議員は、総理主催の「桜を見る会」について、予算を大幅に上回る支出が何年も続いていることが問題になったにもかかわらず、会計検査院の検査ではどこにも指摘されていないことを問題視。「『たかが桜』と軽く見てはいけません。財務省の予算査定、内閣府の行政事業レビュー、そして今回の会計検査院の検査報告のいずれも何年もすりぬけてきたわけで、政策の検証に大きな穴があることを意味している」と指摘しました。
「『桜を見る会』自体にも問題がある」と指摘する古賀議員は、「桜を見る会」の招待者名簿を「あらかじめ定められた手続きにのっとって廃棄した」と安倍前総理が答弁したことについて、「実際には、ガイドラインに定められた廃棄簿への記載を行っていないなど、虚偽答弁であったことが明らか」と述べました。この点について、廃棄簿に載っていないにもかかわらず、文書と電子ファイルの廃棄日時だけが明らかになっていることについて、なぜ廃棄日時がわかったのか、その日時は間違いがないのか菅総理に迫りました。菅総理は、「ルール上その廃棄にあたって廃棄日の記載が必要となるものではありません。また廃棄の時期については、担当の内閣において確認をおこないそれに基づいてお答えをしてきた」と答えにならない答弁をしました。
また古賀議員は、会計検査院の今回の指摘金額が297億円にすぎないと述べ「昨年の1,002億円の3割以下です。コロナ禍の影響もあり、金額が多ければいいというものでもありませんが、憲法上の強い権限を持っている機関として、国民の期待に応えているといえるでしょうか」と疑問を投げかけました。そのうえで、「こうした事態が続けば、われわれは国会に独自の検証機関を設けることを考えなければならない」と表明しました。
さらに、「1つだけ、重要な問題を指摘する」と述べた古賀議員は、会計検査院の検査報告で、地方自治体において、マイナンバー利用事務ネットワークにおける認証が不十分であった事例、マイナンバー利用事務ネットワークとインターネットの間で通信経路の限定がなく住民情報の流失につながりかねない事例、そしてインシデント発生時の事業者との役割確認がおこなわれていない事例が見つかったことをあげました。菅内閣が「行政のデジタル化」を掲げているにもかかわらず、こうした問題が発生していることに「その実現に支障を来すことになりかねません」と指摘。会計検査院の指摘をどのように受け止めているのか武田総務大臣に答弁を求めました。武田大臣は「行政のデジタル化を進めるにあたり、セキュリティ対策の徹底が極めて重要であると認識しており、サイバー攻撃の急速な多様化高度化などを踏まえつつ引き続き地方公共団体の情報セキュリティ対策をしっかりと支援する」と答弁しました。