立憲民主党の子ども・子育てプロジェクトチーム(PT)は9日、国会内で会議を開き、政府内で検討されている児童手当の見直しについて連合からヒアリングをおこなうとともに、低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金、出産一時金について政府からヒアリングをおこないました。
冒頭、PT座長の大西健介衆院議員は「国会が閉会したが予算編成に向けていろいろな動きがあると思う。ひとり親世帯への臨時の給付金については第3次補正ではなく予備費でしっかりやるべきだということをわれわれも言ってきた。それがどういう形にしろ実現したことを私たちは歓迎したい。私たちは、児童手当(の見直し)についても子育て世代、とくに共働き世帯、中間層に対して非常に負担がかかり、コロナ禍にあって給料、所得が減っている中で今やるべきことではないと強く言っている。ぜひわれわれの意見をしっかり受けとめていただいて、そういう方向になることを望んでいる」とあいさつしました。
連合の佐保昌一総合政策推進局長は、子育て支援について「子どもを育成する基本的な責任はすべて保護者にあるが、子どもは育ちの場を選ぶことはできず、与えられた環境で育成するしかない。子どもの最善の利益を重視する観点から、子どもに関する社会手当や現物給付は子ども自身に対する給付と位置付けることにより、子ども・子育て支援については所得制限を無くし、すべての子どもを平等に取り扱うべきだ」と説明しました。その考え方に立ち、児童手当については義務教育終了までの子どもを保育する保護者に対し、所得制限なしで支給する考えを示しました。
また、政府の財政制度等審議会財政制度分科会で児童手当について(1)所得制限を超えている者について月額5000円支払われている特例給付を廃止する(2)世帯の主たる生計者の所得に基づき支給対象を判断する仕組みから世帯合算の所得に基づき判断する仕組みへの変更――ことが提案されたことに対し、連合が(1)子どもへの給付という趣旨からすれば、保護者の就労状況や経済状況にかかわらずすべての児童に対して給付されるべきものであり、特例給付を廃止すべきではない(2)世帯合算の収入により判断する仕組みとすることについては、配偶者の就労意欲を抑制するという負の効果や、中間所得層の経済的負担への影響も考えられるため、慎重に検討すべきである――と明確に意見を表明したにもかかわらず、財政審議会の建議に反映されず、「非常に残念でおかしいと思っている」との説明がありました。議員からは、せめて両論併記されるべきではなかったかとの意見があがりました。
議員からの「幼児教育の無償化が始まったものの、子育て支援、給付については足りているのか、組合員の受け止めはどうか」との質問に対し、連合からは「企業によっても手当が違い、正規・非正規の違いがあるが、非正規の方から『大変だ』という声が多いように思う。(乳幼児期だけでなく)小中学生にも子育ての費用がかかり、児童手当をきちんと支給していくことは必要」との回答がありました。
次に、政府がようやく決定した低所得のひとり親世帯への臨時特別給付(児童扶養手当特別臨時交付金)について厚生労働省から説明を受けました。
政府の決定が遅かったために、地方自治体の事務処理が年内給付に間に合うのか懸念されていることについては、議員から「困窮世帯には一刻を争うことだ。地方任せにせずに、国が率先して何としても年内に給付してください」と強く要請しました。
また、出産育児一時金について、出産費用の状況、直接支払い制度の概要、社会保障審議会医療保険部会での検討状況について厚生労働省から説明を受けました。