立憲民主党衆院東京第16区総支部(水野もとこ総支部長)は19日、江戸川区でタウンミーティングを開催し、元総理で党最高顧問の野田佳彦衆院議員が講演しました。

 野田議員はまず、新党結成について「野党第1党の立憲民主党と第2党の国民民主党と無所属の議員が加わって150人ほどの野党の大きな固まりがようやくできた。野党が弱くてバラバラだったから、調子に乗った勢力がどんどん強くなってしまった。これが1強多弱の原因だと思う。その1強に対して緊張感をもたらしていくためには多弱が固まって、より強き野党になっていかなければ緊張感のある政治は生まれない。そういう思いで大きな固まりになるための努力を2017年10月の総選挙が終わってからずっとおこなってきた」と経緯を報告しました。そのうえで、「新党結成で一つの使命は果たしたなと思う。ただ、旧民主党の復活だというだけではだめ。私のような期数の多い議員が目立つのではなく、2012年以降に当選した衆院議員もたくさんいるし、若手がどんどん目立つ政党になっていってほしい。次の選挙を通じて水野さんを含めて、より新しい血が入ってくる組織にしたい」と語りました。さらに「もう1つ大事なのは、旧民主党、民進党の反省でもあることだ。国民政党になるには多様性は必要で多様な意見があり、多様な角度から政策を練り上げていくのが武器だが、それを活かさずに意見をまとめることができなかった。まとまっても従わなかったというバラバラ感が過去の最大の反省だ。何があっても決める時には決め、決まったらみんな従うという当たり前のことをコツコツ、コツコツと積み重ねてようやく信頼される国民政党になれる。そういう政党をぜひつくっていきたい」と表明しました。

 臨時国会を振り返り、新しく就任した菅総理の国会答弁について「歴代総理の中で、これほど答弁を嫌がっている人は珍しいと思った。自分の言葉で説明しようとする姿勢が全くない。自助、共助、公助が自分の政治哲学だそうだが、答弁については自助努力が全くない。全部メモにお世話になっている。就任して真っ先にあった日本学術会議問題の対応にはがっかりした。なんでこんなことが起こったのかが一言も語られていない。説明といえば『総合的俯瞰的』が出てきたが、意味が全く分からない。分からないまま『お答えは控えさせていただきます』と終わらせてしまった」と厳しく評価しました。

 野田議員は、安倍政権で内閣法制局長官を替えて憲法解釈を閣議決定で変更して安保法制を成立させたこと、検察や日本銀行にも人事介入したことを取り上げ、菅総理は官房長官として安倍総理と一緒に実行し、総理になってからも引き継いでいると批判しました。そのうえで、「野党はなんで『桜を見る会』とか学術会議の追及ばかりやっているのかと言われる。それは、政府があんな説明しかしないからだ。大事な機関の独立性が侵されているからだ。これは何と言われようと、しっかりチェックするのが野党の役割だから、おかしいことがあったらおかしいと言い続けていかなければいけない」と力をこめました。

 COVID-19の感染防止と経済を回すバランスについて「感染状況を見て、感染防止と経済のどちらに軸足を置くか常に敏感でなくてはいけない。今は第3波が来ているのだから、感染防止により軸足を置いて力を注ぐのが基本だ。GoToキャンペーンは人の移動を促し、人の往来を活発化させる政策で、感染防止に全力を注ぐべき時にGoToはそぐわない。国会中はずっと躊躇して停止しなかったのに、国会が終わって世論調査が出てようやく国民がすごく心配していることが分かってやめた。『躊躇なく』という言葉が好きな菅さんが躊躇しまくって、後手後手になって今日に至っている」と批判しました。そして「ぶれない政治は大事だが、間違った判断でぶれないのは国民を不幸にする。ずれた感覚でぶれないというのは一番国民を不幸にする」と断じました。「GoToトラベルは感染が収まってから行うべき事業。観光に行くほど余裕のない人が大半ではないか。そういう人を助けるのが税金の使い方としては優先順位が高いのではないか」と政策転換を求めました。

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 続いて、財務大臣をつとめた見地から国の財政状況を解説し、今はCOVID-19対応の支出が必要だが、借金は必ず返さなければいけないものだとし、COVID-19収束後には、いつまでに財政再建をしていくか国として計画を作る必要があるとの考えを示しました。そのうえで、「これからの国をどうするのか、骨太の方針をきちんと示すことで初めて国民政党としての信頼が出てくる。そういう政党になりたい。そのためには政権構想をつくれる人材が必要になってくる」と語りました。

 超高齢化によって医療、介護、年金の費用が膨大になっていることを解説し、健康寿命を延ばすために予防医療を国策として強化すべきだと主張しました。社会保障費について1人の高齢者を1人の現役世代が支えることになると説明し、支える若い世代については、「子育て支援、教育、若者の就労支援、広い意味で若者たちが自己実現できるためのチャンスをつくっていく国にしなければ、1人を1人が支える状況を乗り越えていけない。そういう転換をしていくための仕事をわれわれはしていかなければいけない」と述べました。

 野田議員は超党派の議員立法「宇宙基本法」の旧民主党側の責任者として起草者となり、それ以来宇宙政策に携わっていると話し、「フロンティアとして無限のチャンスがあるのは宇宙だ。(日本は)人を宇宙に飛ばす力を持っている。有人宇宙ステーションで頑張っている人もいる。ロケットも衛星も飛ばせる。射場もある。十分先進国としてやっていける。宇宙開発を通じて地球の息遣いを一番わかる国になる。そして人間のみならず、生命について詳しい国になる。ビジネスのチャンスがいっぱい出てくる。そういう分野で構想力が必要だ。そのために水野さんのような人に新人として入ってきてほしい」と期待を込めました。

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 続いて党常任幹事会議長の田名部匡代参院議員が登壇し、水野総支部長を「いつも元気で明るく、笑顔がすてきで、そして前向きで、熱い情熱をもって活動されているとつくづく感じる」と紹介しました。田名部議員が20年前に初めて立候補した時には、「女のくせに何ができる、女は引っ込んでいろ、まずは子どもを産め、子どもがいないのに何が分かる、少子化を語るな」と言われたことを打ち明け、女性が政治家を志すことがいかに苛酷かを語りました。そして、「水野さんに会ったらぜひ声をかけてあげてください。一緒にがんばろうよ。応援しているよ。その一言がどれだけ候補者の力になるか」と呼びかけました。また、菅総理が自助、共助、公助を掲げていることについて、「頑張っている人たちが、総理にまずは自助だと言われたら上げたい声をますます上げられなくなるではないか。声を上げられない人たちがいる。学校を辞めざるを得ない人たちがいる。ご飯を満足に食べられない子どもたちがいる。そういう人たちのためにも、ぜひとも水野さんに国会で活躍をしてほしい」と激励しました。

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 その後、水野総支部長、COVID-19の感染状況と地域の医師会の取り組みを講演した田部浩生・江戸川区医師会長、笹本ひさし、滝沢やすこ、よぎ各江戸川区議会らを交え、来年への抱負を語るとともに、来場者との質疑応答をおこないました。

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 水野総支部長は、少子化、高齢化が進む中、子育て、介護の課題、水害からの防災に取り組んでいく考えを示し、「政治に愛と正義を取り戻すということを実現していきたい。地域の皆さまの思いとともに政治を変えて行く必要があると思っている。総支部で一丸となって皆様の思いを区政に、そして国政に届けていくようにいっそうがんばっていく」とあいさつしました。

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