枝野幸男代表記者会見

2020年12月21日(月)14時00分~14時50分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/ONbjOR4UPfk


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○新型コロナ感染拡大の状況と対応について

【代表】
 お疲れさまでございます。ことし最後の定例会見ですが、一方でバックボードはきょうから新しくなりました。蓮舫(国民運動・広報)本部長の肝いりでバックボードを新しくしたところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 私のほうからは、まず残念ながらCOVID-19の状況と対応について申し上げたいと思います。
 既に医療は逼迫状態を超えて崩壊過程に入っているという地域が少なからず出ていると受けとめざるを得ません。きのう、おととい、この週末の人の出も、減っているところがある一方でふえているところがあるという状況であります。感染が減少傾向であるならばともかくとして、この高どまり状態、さらにふえつつあるともいえる状態の中で、これを大幅に減らしませんと重症者の数を減らし医療の逼迫状態を改善させることにはつながりません。年末年始を控えていることもあり、ここはかなり強いブレーキを踏まざるを得ない状況であると考えております。
 金曜日にも申し上げましたが、地域を絞る。それから、この間さまざまな経験を積み重ねてきておりますので、あらゆる社会経済活動全てにブレーキを踏むのではなくて、地域だけではなくそうした活動の自粛等をお願いすることについてもめり張りをつけた形で「緊急事態宣言」を発出すべきであると。この思いはさらに強くなっているということで、強く政府に求めてまいりたいと思っております。
 特に年末年始の医療の逼迫状況が大変心配でございます。いまなお補正予算で組んだ医療機関に対する支援のお金が現場に届いていないという状況であります。これは事務の問題というよりも、医療機関に対する支援金の要件が厳し過ぎて使い勝手が非常に悪い、申請そのものが出せないという状況だと認識をしております。7兆円近くの予備費がいまだ残っております。これの一部も含めて、地方自治体がより自由に裁量的にそれぞれの地域の医療機関あるいは医療従事者の状況を踏まえてこうした支援金を出せるように、それも年末に向けて、それだけで医療の逼迫状況が改善するわけではありませんが、医療従事者に対してブルーインパルスを飛ばすのもランドマークを青く染めるのも結構でありますが、感謝の気持ちを伝えるのであるならば政治・行政としてできることは財政・経済的に支援をすることであります。これが現場に届くように、ただちに予備費等も含めて、そして要件の大幅な緩和を含めて進めるべきであると考えております。
 また、生活困窮に対する、年末年始を超えられるのかという皆さんに対する支援も、ひとり親世帯に対しては若干の支援が出ましたが、なお深刻な状況にあります。昨日、日比谷公園で開催された相談会では、家賃が払えないなどの声が相次いだと聞いております。2008年リーマンショック後の「年越し派遣村」が生じた状況に、あるいはそれ以上に厳しい状況ではないかというふうにも受けとめているところであります。あのときと違って、あのとき「年越し派遣村」は日比谷公園等で炊き出し等を行いましたが、密になることができないという状況、さらに厳しさがあります。これも予備費を使って、今からでも2週間あります、しっかりとこうした困窮者の皆さんが年を越せるような緊急な手当を強く求めていきたいと思っております。
 COVID-19について、最後に、先週から自民党内で新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正する方針というのが出てきているところでございますが、既に野党はこの特措法改正案を国会に提出してきております。ようやく自民党から対案の声が出てきただけで、まだ(法案は)出てきてはおりません。本当に国民のためを考え迅速な対応をするつもりであるならば、今すぐにでも臨時国会を開いて野党案を審議・採決するべきであると思います。今伝えられている改正内容に大きな方向性の違いはないと思っております。我々は合理的な修正であれば柔軟に対応したいと思っております。アメリカ議会では与野党が経済対策で合意をしたと聞いております。ぜひ、責任政党であるならば、自由民主党はこうした野党の声をしっかりと受けとめて与野党一致して進められるところは進めていくという対応をとっていただきたいと思っております。
 それから、年末に向けて、事業者あるいは個人、それぞれ今受けられる支援について、各地域で配れるようにということで機関紙の号外をつくりました。皆さんにもご参考に配付させていただきます。各地方組織、あるいは我々の議員や候補予定者、年末こうしたものを使って、具体的に今使える手段は最大限使っていただいて事業や暮らしを支えていただきたいということで活用したいと思っております。


■質疑

○「本年振り返り」「夫婦別姓制度」について

【NHK・佐久間記者】
 最後の会見ということで、まずことし1年の振り返りをお願いしたい。コロナに始まりコロナに終わった形になるが、コロナを中心に、代表にとって、立憲民主党にとってどのような1年だったか伺いたい。
 2点目だが、来年の衆議院選挙にどう臨んでいくか。他の野党との連携を含めて展望と意気込みを教えていただきたい。
 三つ目、夫婦別姓制度について。第5次男女共同参画基本計画において、自民党の保守層の反対で大幅に後退したと伝えられている。代表のお考えをお聞きしたい。

【代表】
 最後の点ですが、総理ご自身が前向きとも受け取れることを国会で答弁されています。あるいは担当大臣を初めとして前向きのことをおっしゃってきて、それから、この間さまざまな政府の男女共同参画の基本方針はさまざまな有識者とヒアリング等を行ってきた積み重ねの上で最後にひっくり返しています。つまり、選択的夫婦別姓に対して自民党内の一部からさまざまな声があっても、しょせんはポーズに過ぎないということが今回明確になったと思っています。自民党内でこれをやるべきだと本当に思っている方が、今、問われていると思っております。本気ならば、離党しろとまでは言いませんから、せめて党議拘束を外して採決をさせろということぐらいは自民党内で大きな声を上げていただきたいし、何しろ総理ご自身、総裁ご自身が推進の姿勢を示してきたわけでありますから、総理がみずから主導して党議拘束を外して採決かけろということを強く求めるべきだと思っております。
 1点目と2点目をあわせてお答えさせていただきますが、ことしは本当に新型感染症COVID-19によって、国民生活、そして命、暮らし、大変厳しい1年だったと言わざるを得ません。これは新型感染症がきっかけではありますが、私はこの間、本会議の演説等でも申し上げたとおり、安倍政権8年間、あるいは平成、少なくともバブル崩壊以降の30年近くの我が国の経済社会構造の矛盾が一気に噴き出したものだと受けとめております。何とか今、足元の危機を乗り越えて、そして今回明らかになった、いわゆる新自由主義的と言われる競争とか自助とか自己責任とかを強調し過ぎた政治を変えていく。その始まりのさらに始まりの1年だったという年にしなければならない。そうした状況をつくっていくためには、来年ある総選挙で我々がしっかりと政権の選択肢となる。そのさらに強い決意を持って新しい年を迎えたいと思っています。

○「安倍前首相の国会招致(1)」「特措法改正」について

【フリーランス・宮崎記者】
 安倍総理の「桜を見る会」前夜祭に関しての説明に関して伺いたい。自民党内にもちょっと言っていることが違う人がいるが、年内にも衆参議院運営委員会の理事会で安倍総理が出席する意向があるということが官邸から出ている。一部にはひょっとしてその場で単に議事録の一括修正を申し出るのではないかという観測を言う人もいるが、これに関して、年内にぜひやるべきか。通常国会は1月18日に始まることが既に決まっているので来年になってもいいから予算委員会で証人喚問をすべきとお考えか。
 そして、新型インフル特措法の改正に関して、既に自民党の政調会長や都知事などからも改正をしてほしいという案がある。1月18日から補正予算と当初予算の審議をするとなると、与党としても日程は苦しいところだと思うが、1月18日に通常国会が始まるとしたら予算よりも先にインフル特措法の審議をするといった日程もあり得るか。

【代表】
 後者については、先ほど申しましたとおり、今すぐにでも臨時国会を開いて我が党の提出してある法案を審議・採決していただきたいというのが我が党の姿勢です。
 前者について申し上げますと、理想を言えばいろいろなことが言えますが、まず最低限、公開の場で、国民の皆さんに見える場で話をしていただかなければならないだろうと思っています。時期については、捜査中なのでという言いわけがなされない局面のほうがベターかなとは思っていますが、これらは相手もあることですので国対に任せています。

○世論調査の結果について

【朝日新聞・山下記者】
 内閣支持率が急落している件について伺いたい。弊社・朝日新聞の世論調査で内閣支持率が39%と急落していることがわかった。この間さまざまな政権の対応に問題があると思うが、この支持率急落についてどう見ておられるか。一方、立憲の支持率、各種世論調査で横ばいで、自民党もそれほど落ちているとは言えない状況だ。この点についてどうごらんになっているか。

【代表】
 すみません、いつも申し上げているとおり、個別の世論調査についてはコメントしないということで、もうこの10年来一貫しております。

【朝日新聞・山下記者】
 菅政権のこの間の対応が、世論、有権者はどう見ているのかについてはどうお考えか。

【代表】
 とにかく医療の現場は大変な状況になっている。そして現実に医療崩壊といえる状況で、救急車のたらい回しを初めとして大変厳しい影響を受けている方がいらっしゃる。また、「Go To」キャンペーンについて、政府の右往左往によってかえって大きな経済的な影響を受けていらっしゃる方からも悲鳴の声が上がっている。こうした状況にしっかりと我々真摯に応えていかなければならないと思っています。

○「アビガン」承認判断見送りについて

【朝日新聞・山下記者】
 アビガンについて、弊社の取材で、けさの朝刊に載せているが、有効性について判断困難とする審査報告書がきょうの厚生省の部会に出される見通しとなっている。承認が難航する可能性もあると思うが、アビガンは安倍前総理が肝いりで進めてきた案件だ。これについても考えをお願いしたい。

【代表】
 安倍総理(当時)がアビガンについて踏み込んだ発言をされているときから思っているのですが、こうした薬の有効性などについて、あるいはワクチンの有効性などについては、我々政治家は素人でありますので、専門家の専門的な見解が出される前にポジティブ方向であれネガティブ方向であれ余計なことを言うこと自体が無責任であると思っておりますので、その認識だけ申し上げて具体的には触れないのが賢明というか適切な対応だと思っています。

○首長選挙の結果について

【フリーランス・堀田記者】
 ことしは枝野さんもいろいろと頑張ったが、都知事選を初めとした選挙、ほとんど負けている。例えば昭島、荒川、宇都宮、柏崎などはダブルスコアやトリプルスコアで負けている。勝ったのは、豊中、それからへんてこな勝ち方をした栃木県小山などがあるが、圧倒的に立憲が主導したのは負けている。このことを、地方選とは言いながら、やはりその地方選が重なって来年の衆議院だが、とにかく惨敗に次ぐ惨敗だ。これをどう受けとめているか。

【代表】
 まず、主導しているとか惨敗とかということについて、客観的な認識が食い違っています。以上です。

【フリーランス・堀田記者】
 客観的に食い違っていると。惨敗しているのですよ。

【代表】
 主導しているのはほとんどありません。

【フリーランス・堀田記者】
 都知事選で。

【代表】
 主導しておりません。

【フリーランス・堀田記者】
 では、トリプルスコアで負けたのは惨敗とは。

【代表】
 主導しておりませんので。

【フリーランス・堀田記者】
 その結果です。立・共・社としてやって、その惨敗したのをどう思うか。

【代表】
 これは、地方選挙については、しかも地方の首長選挙については国政における政治構造とは違う次元で各地域の特徴があります。何度も申し上げているとおりです。

○党首討論制度について

【時事通信・中司記者】
 党首討論について伺いたい。さきの臨時国会でも党首討論は開かれず、昨年6月以来、長きにわたって開かれていない状況がある。これについての受けとめと、来年の通常国会以降の開催への意欲を教えていただきたい。また、制度面に関して、例えば一人当たりの持ち時間が短いなど、思うところや改善の必要性について考えがあったらお願いしたい。

【代表】
 当初の意図は正しかったと私は思うのですが、現状実態に合っていない仕組みになってしまっていると思っています。今、特にこのCOVID-19の問題がある中では、その短い時間で見識をぶつけ合うというよりも、今、現に足元で緊急を要している、その命と暮らしを守るためのさまざまな対策、そこを実務的に相当詰めることのほうが国民の皆さんからも期待されることでありますので、今のように党首討論をやった週は予算委員会に総理が出てこないとか、こういう縛りがある中では予算委員会を優先せざるを得ないというのが正直なところですし、私も平成5年の選挙制度改正のときには小選挙区を軸とする選挙制度で二大政党になると勘違いをしていましたが、それは幻想であったことはもう確定しています。二大政党にはならない、二大政治勢力にしかならないということの中では、二大政党制を前提とした今の仕組みは抜本的に改めない限りは機能しないと思っています。

○安倍前首相の国会招致について(2)

【共同通信・玉井記者】
 「桜を見る会」前夜祭の費用補填について追加で伺いたい。野党がふさわしいと考えている証人喚問だが、予算委の議運のほうの理事懇に関しては、与党は(証人喚問は)全くなじまないという考えを示している。証人喚問を野党側は要求している形になるが、どういう場がふさわしいかについて代表のお考えをお聞きしたい。

【代表】
 それについては先週の金曜日に申し上げたとおりでありますし、国対にあとは任せています。

○2021年度予算案について

【共同通信・玉井記者】
 21年度の予算案が本日閣議決定された。新型コロナ対策の予算費を5兆円積んだことや、防衛費が9年連続過去最高額を更新している点等が注目点となっているが、代表として受けとめをお聞きしたい。

【代表】
 予備費も、今残っている7兆円近いお金を今すぐ使えと言っているのに使わないでおいて、来年度予算にまた5兆円積むって、何をやろうとしているのかさっぱり意味不明であるし、このCOVID-19にかかわる、医療もそうだし検査もそうだし、あるいはこれの影響を受けて売り上げが大幅に減っている事業の下支えもそうだし、生活困窮者の下支えもそうだし、緊急にやらなければならないことは明確であるのに、そのめり張りが全く感じられない、平時と変わらない予算になっている。つまり、危機感の欠如が予算案に示されていると思っています。

【共同通信・玉井記者】
 防衛費が9年連続過去最多額を更新している点についてはどうか。

【代表】
 防衛費どうこうではなく、COVID-19に対する対応について全く平時の感覚と変わっていないということの一要素に過ぎない。そのことに注目すること自体が現状の社会状況ではピントがずれていると思っています。

○次期総選挙に向けて(1)

【共同通信・玉井記者】
 次期衆院選に向けて伺いたい。野党共闘の状況と、年内に社民党の議員の方がこちらに合流するのではないかという見通しもあるが、来年どのように野党共闘をなさっていくか。そして擁立の目標に変更はないか、見通しをお聞ききしたい。その上で、国民がどの点に関して注目して関心を寄せているか、政治の責任について野党第1党の代表としてどのようにお考えになっているかお聞きしたい。

【代表】
 擁立の目標といいますか、とにかく公認またはそれに準ずる方で総定数の過半数を小選挙区で立てたいという目標は変わりません。
 それから国民の皆さんの関心は、今の足元でいえば医療の崩壊であり生活困窮であり、まさにCOVID-19の関連であると。これは国民の皆さんの関心ですので、今、圧倒的にここだということはわかっていますが、例えば何カ月後かの選挙のときにどうなっているかということは予断を持つべきではないと逆に思っています。
 野党共闘を目的としたことは一度もありませんので、どうやって今の政治状況を変えて多くの国民の皆さんの期待に応えられる政治状況をつくっていくのかということについては、さまざまなことを総合的に判断しながら、時間の関数をしっかりと推しはかり、一番効果的なことを、そして国民の皆さんに理解をいただけることを進めていきたいと思っています。

【北海道新聞・文記者】
 ことし新たな立憲民主党となり、来年は衆院選を控え、さらに立憲を社会に浸透させていくことを踏まえて2点お聞きしたい。
 1点目だが、旧立憲と旧国民が同じ党になり、これまでを振り返って、党の政策とか国会運営に関して旧立憲からの変化やプラスになったことはどのようなことだと考えているか。
 2点目だが、衆参151人となり、来年の衆院選でさらに党勢拡大を狙う情勢だと思うが、代表として党内の人材育成をどのように考えているか。党の顔になれるような後輩をどのように育てていくか、考えをお聞きしたい。

【代表】
 1点目ですが、個別にどこかということよりも、層が厚くなって、それぞれ一人ひとりの担当する分野が少なくなった。それでも幾つもの仕事をかけ持ちしていただいているわけですが、10抱えていたのが5に減れば、それはそれぞれの項目について2倍の力が発揮できる。こういったことが各分野に生じてきて、明らかに国会での論戦力・戦闘力は大幅に、たぶん乗数効果ぐらいの効果が出ていると受けとめているところであります。
 後者について、これは私も代表という立場に立った以上はそういったことを意識しなければいけないと思いつつも、私自身がまだ56なものですから、次の世代を育てるということの年齢差があまりないものですから、むしろ諸先輩方にさらなる人材の育成についてはいろいろと、こういうのは経験に基づいた年齢キャリアの長い方が主導していただかないと説得力がありませんので、そうしたことを中村先生とか小沢先生とか菅先生とか、ご勇退を発表されましたが赤松先生とかがいらっしゃいますので、そうした先輩方にぜひ力を発揮していただきたいと思っています。

○大深度地下工事について

【フリーランス・横田記者】
 外環道のトンネル工事現場の調布市の住宅地の陥没を受け、住民からは、憲法違反、財産権の侵害だという声も出ているが、地上に影響を与えないという前提の大深度法の見直し、改正、あるいは廃止等に取り組むお考えはあるか。その前段階として、現地視察や住民ヒアリングをされる考えがあるかが一点。
 リニアでも来年度から田園調布で大深度トンネル工事が始まり、同じような被害のおそれがあると思うが、今回の法律の前提が崩れたという事態を受けて、工事着工には、あるいは調布の工事再開においても、地元同意が必要だとか、今の法律のままで大深度法によるトンネル工事を進めることの妥当性についてどうお考えになるか。

【代表】
 1点目については、まずは現に生じている被害損害の拡大をまず食いとめるということ。それから、実際に被害影響を受けていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいますので、そうした皆さんに対する補償をしっかりと高速道路会社がやっていくということが第一。そして原因究明を真摯に客観的に進めていくということ。ご指摘のあったような疑いは濃厚ではありますが、まだ断定をするような段階ではないと思っています。被害の拡大をさせずに賠償を進めていくということの中で、丁寧に検証をした上で、その結果に基づいて次のプロセスの判断をしていくべきだろうと思っています。

【フリーランス・横田記者】
 次の通常国会で、田園調布でのリニア工事も迫っていることもあり、立法、廃止、見直し等を並行して検討を進めるお考えはないか。

【代表】
 関係議員はさまざま情報収集その他を進めていますので、今後、例えばあと1カ月、通常国会までにどう変化するかはわかりませんが、きょうの時点では時期尚早だと思っています。

○消費税について

【フリーランス・横田記者】
 来年の次期総選挙に向けて、消費減税についての現在のお考えを伺いたい。

【代表】
 従来申し上げているとおりです。

【フリーランス・横田記者】
 今の事態、コロナ第3派の拡大を受けて。

【代表】
 まさに「Go To」キャンペーンを感染がおさまらない状況で進めたことがやはり感染を広げただろうという、かなり濃厚な疑いを立てています。消費を拡大する政策を感染がおさまっていない状況で進めれば同じことになると思っています。

【フリーランス・横田記者】
 総選挙の時期にもよるが、来年、春、秋の間で。

【代表】
 感染がおさまる時期がいつになるのかが見通しが立ちませんので、これによって全ては変わります。

○次期総選挙に向けて(2)

【西日本新聞・川口記者】
 先ほどの共同通信さんの次期衆院選の擁立の目標についての質問の回答について、確認をさせていただきたい。小選挙区の過半数を立てたいというのは変わっていないという回答だったが、これは従来おっしゃっていた立憲民主党と社民党・国民民主党を合わせての数字という理解でよろしいか。

【代表】
 立憲民主党の公認またはそれに準ずる皆さんというのが正確な言い方だと思っています。

【西日本新聞・川口記者】
 立憲民主党単独で小選挙区の過半数を立てたいと。

【代表】
 いや、立憲民主党またはそれに準ずる皆さん、公認に準ずる皆さん。

【西日本新聞・川口記者】
 その「公認に準ずる皆さん」には他党の方も入っているか。

【代表】
 入り得ますが、相手のあることですので。

【西日本新聞・川口記者】
 それをもとに改めて質問させていただきたいが、次期衆院選で政権交代を目指すということになると。

【代表】
 私は、次の総選挙の公示日までに政権の選択肢として認めていただく、このことを目標としています。選挙の目標はまだ申し上げていないつもりです。

【西日本新聞・川口記者】
 政権交代は目指していないということか。

【代表】
 一般的に、最大野党が政権交代を目指さなければ今の民主主義の制度はこの国の制度では機能しない。その責任はわかっています。ただ、今、当面の目標として何をしているのかといえば、公示日に政権の選択肢として認めていただくこと、これが今の目標です。

【西日本新聞・川口記者】
 その上でお聞きしたいが、次の首班指名ではどの党に「枝野幸男」と書いてもらうことを想定されているか。

【代表】
 全ての党に書いていただければ、全ての衆議院議員に書いていただければありがたいと思います。

【西日本新聞・川口記者】
 国民民主党は前回「枝野幸男」と書かれたわけだが、代表選挙に伴う12月8日の会見で玉木雄一郎氏は、今回の代表選で勝利した国民民主党の代表の名前を書くとおっしゃった。また18日には、局面がわからないので現時点では具体的なことを申し上げる段階にはないとしつつ、私の名前を書きたいというのが多くの思いだと思うし私自身もそうしたいと述べられている。共同会派でなくなった以上、国民民主党が「枝野幸男」と書かれる可能性が変わってくると思う。全ての党にということだが、国民民主党には具体的にどのように働きかけていきたいと思っているか。

【代表】
 選挙にどういう状況でなっていくのか、選挙がどういう戦いになるのか、選挙後の構造がどうなっていくのかわかりませんので、私は、それは全ての国会議員の皆さんが「枝野幸男」と書いていただければ大変うれしい、そういう立場でありますが、それ以上のことを何か、相手もあることですので申し上げる段階でも立場でもありません。

【西日本新聞・川口記者】
 総括すると、次期衆院選で、今の時点で枝野代表は政権交代を目指すとは言い切れないという理解でよろしいか。

【代表】
 政権交代を、一般的には目指しています。でも、まず当面の目標は、政権の選択肢として認めていただくことです。政権交代を掲げるのは公示後の話です。具体的に当面の目標として(政権交代を)掲げるのは公示後の話です。今は、まず政権の選択肢として認めていただかないと政権交代ができませんので、今の時点では政権の選択肢に公示の時点で認めていただけるように頑張るというのが当面の目標です。

【読売新聞・田村記者】
 結党以来、新潟6区以外の党内で候補者がバッティングしている選挙区の調整が終わったかと思うが、この3カ月での候補者調整の評価をお願いしたいのと、新潟6区はいつぐらいに調整できそうなめどか。

【代表】
 実は当初合流の時点での想定よりも順調に進んでいると思っています。遅いとおっしゃる方もいらっしゃいますが、決めるだけなら簡単なのですが、決めるのが目的ではなくて、ぶつかっている候補予定者、さらにはその支援者の皆さんも含めて一体となって選挙に立ち向かう構造が必要ですので、もちろん選挙の時期をにらみながらの話ではありますが、大変順調に進んできたと思っています。
 そうした意味では新潟6区についてもできるだけ一体となる(ように)。一本化するのが目的ではありませんので。選挙に勝つことが目的ですので、一本化が目的ではありませんから。一本化だけならいつでもできますが、勝利に向けて一番いいプロセスを踏みたいということで今進めていますので、今、具体的な時期を申し上げる段階ではありません。選挙までには一本化します。

【読売新聞・田村記者】
 共産党の志位委員長が先日、五つの政策提案を発表した。例えば新自由主義からの転換や立憲主義の回復といった5項目だ。志位委員長は、その五つの提案を他党に協議というか話をして野党共通政策を目指す考えを示しているが、現時点でそういった提案がもう来ているのかどうかと、来た場合、政策協定締結など、どう対応されるかお考えを伺いたい。

【代表】
 報道は承知しております。それだけです。あとコメントすることはありません。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 12月12日に東京9区、菅原さんのところでも野党が1本になったりして、150人というのが今非常にうまくいっているというお話があった。その後、やはり今現在、菅内閣自体がエンジントラブル続出で、どうもこれは風向きが変わったのではないかと。来年は選挙もあり野党にとって大きなチャンスが来るのではないかという感じがするが、この3カ月、最大の問題は野党が150人の大きな固まりになったことだが、この評価と、進捗具合と、来年大きなチャンスがあるというか、それについての抱負を伺いたい。

【代表】
 いろいろなところで申し上げていますが、私自身が合流をちょうど1年ほど前に呼びかけたわけでありますが、合流の効果は想像以上、想像の何倍でもあったというのが私自身の今の認識であります。一つは、先ほども若干申し上げましたが、国会内外での政策の積み上げとか国会論戦の力とかが、役割分担が機能することによって何倍にも効果を上げているということ。それからもう一つは、全国各地かなり面で戦える状況になってきたということ。ある地域には旗が立っているけれども隣の地域とかその周辺は何の旗も立っていない、違う旗が立っているという状況がほとんどなくなってきましたので、やはりこの効果は地域で広がっていく。草の根を張っていく上では大変大きい。その効果は想像以上だったと思っています。
 それから、いわゆる風向きみたいな話なのですが、確かに現状の足元を見ればとかいろいろな話はあるかもしれませんが、政治は一寸先は闇でありますし、時間の関数であります。皆さんが悲観的におっしゃるときには私はどちらかというと楽観的なことを申し上げるのですが、皆さんから楽観的なことを言われても、そんな楽観的な話には乗りません。そんなに簡単なものではないと思っております。厳しい状況であるのは例えば結党の9月15日と何ら変わっていないと思っていますが、同じように厳しい状況だけれどもしっかり戦っていけば十分チャンスはある。そこに向けて、まずは公示日までに政権の選択肢として認めていただけるように頑張っていきたいと思っています。

○安定的な皇位継承策について

【「フランス10」・及川記者】
 皇室のことで伺いたい。菅政権は女性皇族が皇籍離脱した後も公務にかかわれるような「皇女」制度というものを検討していると伺っている。このことについてどう思うのかということと、眞子内親王殿下も29歳になられ、ご結婚がもうすぐかもしれないが、女性宮家についてのご見解もあわせて伺いたい。

【代表】
 まず第1点目についてありますが、いろいろな報道は出ているのですが、政府内で検討を具体的にしている話については、その後、全く聞こえてきておりませんので、コメントは控えたい。
 というよりも、今大事なことは皇位の安定的な継承に向けて本当にこれは議論を急がなければならない状況であり、法律をつくったとき、皇室典範特例法のとき、ちゃんと書いてあるのですから、まず政府において責任を持って皇位の安定的な継承について真剣な議論を始める。その他はそこに付随して出てくる論点なのであって、それだけを単独で議論することよりも、安定的な継承に向けた議論をちゃんと進めるべきだと思っています。

○新型コロナ感染拡大の状況と対応について(1)

【IWJ・浜本記者】
 新型コロナウイルス関連で二つ伺いたい。コロナ禍で今、非正規・非婚・女性などの社会的に立場の弱い人たちほど失業など経済的な危機にさらされ、年末を迎え早急な救済措置が必要と思われるが、立憲民主党のほうでこうした方々の実態調査のようなものは行っているか。また、菅政権はまず自助と言うが、そうしたメッセージが生活保護受給などに対する罪悪感を植えつけていると仄聞している。こうした人たちには自助と共助と公助を同時に行うことが必要なのではないかと考えるが、このポイントについて枝野代表のご意見を伺いたい。

【代表】
 まず前段についてなのですが、我々が網羅的な実態調査をする力は正直言ってありません。そうした状況ではありますが、そうした調査をするまでもなく、年を越せないような大変厳しい状況に陥っている方が、もう去年の今ごろとは比べ物にならない、桁違いにふえているというのは、別に改めて実態調査をするまでのこともない。むしろそこに対して何を支援するべきなのかということだと思っています。
 私は従来から、この春先から、災害救助法を使えば住まいも食べるものも全部供給・提供できるのですから、生活困窮者に対して。このコロナを災害として受けとめれば、その影響を受けているわけですから。こうした形で、まずは年を越せるようにするという状況をつくることが、まず政治の、政府の役割だと思っています。別に災害救助法を適用しなくても予算措置でできますから、そういったことをしっかりと進めていかなければならないと思っています。
 後者については従来から申し上げているとおりで、そもそも自助だけで通用しないときのために政治があるのであって、自助を強調する政治は政治ではないと思っています。

【IWJ・浜本記者】
 中部大学の武田邦彦教授や京都大学大学院の藤井聡教授ら著名な6名の大学教授がネット上で「新型のコロナ感染症予防対策についての共同宣言」と称して、私たちの生活様式が変更されなければならないほどの死の脅威は存在しないとか、厚生労働省は自粛の必要性についてその科学的根拠を示すべきである、新型コロナウイルスの存在を示す根拠となる科学論文を示すべきであるなどと訴え、政府にマスク着用の推奨停止やPCR検査による陽性者認定の停止、感染症数発表の停止などを要求している。このような動きについて何かご意見があればお聞きしたい。

【代表】
 専門家や専門家と称する方がいろいろな意見があるということに対して、その一つ一つについてコメントする立場ではないと思っています。政府がどういう認識に基づいてどういう対応をしていくのか。我々がどういう認識に基づいてどういう対応をしていくのか。その参考意見の一つ一つにコメントする立場ではないと思っています。

○連合との共通する「理念」について

【フリーランス・宮崎記者】
 最大野党系の党首としては土井たか子さん以来最も長い在任期間になっているようで、おめでとうございます。
 連合との関係になるが、アフターコロナの社会像というものを、連合と枝野さんと玉木さん、そのときの肩書は別として、文書をまとめられたが、これは次の選挙の公約に入るような趣旨のものなのかそうでないのか。それから、連合主催のメーデー、代々木公園のほうでやる中央メーデーには過去3年間枝野さんは一度も出席されていないが、来年の代々木公園のメーデーは招待が仮にあれば行きたいとお考えか。

【代表】
 まず、最大野党の党首というのは、年明けになってからだと思います。つまり結党から40日間は最大野党ではありませんでしたので、40日間のずれが生じます。
 アフターコロナ、共通の「理念」は、これは次の選挙に向けた連合の皆さんと私たちとの、選挙に当たっての政策合意のたたき台というよりもほぼ実態を成していると。これに手を入れれば政策合意になりますねという前提で話を進めてきて、その前提で私と神津会長との間で署名をしております。その認識は変わっていないと認識をしておりますので、我が党の公約の全体像とは違いますが、立憲民主党と連合の皆さんとの政策合意・政策協定の基本的には土台といいますか、これに若干手が入るというものだと認識をしております。
 中央メーデーについては、かつて幹事長時代に岡田代表が出られなくて私が出たことがあったりしますが、この間は連合のほうのご意向で政党代表を呼ばないということでありましたので、私は埼玉中央メーデーに出ていたと。今後も東京のほうの全国の中央メーデーにお招きいただければ当然出席するつもりでありますが、これは連合のほうの事情、たぶん組合員の皆さんも何か政治家とかが出てきてだらだらしゃべるよりは違う形のメーデーを希望されているという方向への転換が徐々に進んでいるというふうに承知をしています。

○財政政策について

【フリーランス・宮崎記者】
 特例公債法案を来年5年ぶりに審議しなければいけなくなる。1カ月に1回なので次は1月下旬になるので伺いたいが、現在の特例公債法は立憲民主党の重鎮にとってはもう名前も聞きたくない法律だと思うが、今の法律の第4条でプライマリーバランスを配慮して公債発行額の抑制に努めるものとするという努力義務を政府に対して課している。単純にこれを5年間延ばすという形で仮に政府が国会に提出した場合は、向こう5年間、プライマリーバランスに配慮して抑制した上で特例公債の発行は認めますということになるかと思うが、これについて大枠で方針を示していただきたい。

【代表】
 時期尚早だと思いますし、これは判断難しいと思います。今の経済状況、ましてこのコロナがあって、当面本格的な回復状況になるとは残念ながらとても思えない状況でありますので、財政規律にばかりウエートを置く財政運営は不可能だと明確に認識しています。一方で、目標そのものまで消してしまうと、これは積極財政ではなくて放漫財政になりかねないリスクを常に抱えています。積極財政で財政規律よりも足元の財政需要ということを重視すべきであるとは思いつつも、放漫財政にしないためにどういう歯どめなり姿勢を法律に書くべきなのかというのは、かなり丁寧な検討と議論が必要なことだと思っています。

○後期高齢者医療費負担引き上げについて

【「フランス10」・及川記者】
 後期高齢者の医療窓口負担が1割から2割に再来年上がることになるそうだが、これは安倍政権のころから一貫して、消費税を5%から10%に上げて全額社会保障に回すと言っておきながら社会保障費負担が高くなってきた。このことについてはどのようにお考えか。

【代表】
 世代間の均等を図るということはあまり好きではないのですが、そうは言っても高齢者の中にも資産や収入のある方がいらっしゃいますので、そこのバランスはとっていかなければならないと思うのですが、今、診療抑制などが本当に深刻な問題になっている足元でこうした決定をするということは明らかにタイミングとして間違っていると思っています。
 それから、資力のある高齢者の皆さんに負担をお願いする場合も、この診療抑制などにつながる、サービスを受けること自体をためらうことにつながるような、いわゆる窓口負担で調整をするのがいいのか、それとも収入・資産に応じて保険料や税で相応に納めていただくことがいいのか。大きな方向としては後者であると私は思っていますので、その全体のバランス、議論の見直しの中で検討していかなければならないことなのに、その窓口負担のごく一部だけを取り上げてやっている、このやり方自体も間違っていると思っています。

○新型コロナ感染拡大の状況と対応について(2)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 冒頭の「緊急事態宣言」、確かに今週末に向けて東京で例えば1日1000人というのは十分あり得る数字だと思う。しかし「緊急事態宣言」は非常に副作用も大きい。尾身座長もおっしゃっているのは、やはり飲食店の時間を例えば10時から8時にするような、より具体的で即効性のある措置が求められているのではないかと思う。お気持ちはわかるが、「緊急事態宣言」の副作用と、数がふえた場合、野党としてどういう形で、「緊急事態宣言」自体にもともと強制力はないわけで、そこは先ほどご指摘いただいたところだが、それについて枝野さんが考えている緊急事態というのはどういう事態で具体的に何を真っ先にやるべきだとお考えになっているのか伺いたい。

【代表】
 先ほどもちらっと申しましたとおり、「緊急事態宣言」だからといって春の第1弾のときと同じようにあらゆる社会活動・経済活動にブレーキをかけるということは必要ない状況になっている。それはさまざまな経験値が高まっている。十分にソーシャルディスタンスをとり、大きな声を出さず、飲食などもせず、マスクをつけて対応するということであれば、劇場とかスポーツ観戦とかはかなり感染はしないんだというような実績が積み重ねられています。そうすると、本当にネガティブリストでという意味では今と基本的にはあまり変わらない。こことここは我慢をしてください、そのかわり十分な保障をしますということの基本は変わらないと思っています。ただ、やはりアナウンス効果が今一番求められているのではないだろうか。医療崩壊が各地順番に来ていますので、なかなか危機感というものが全国的に共有されていない中で、特に人口の多い東京近辺などではまだまだ危機感が共有されていないという現実があります。やはり政治はそのメッセージを通じて、この危機感を共有してご協力をいただくということを、本当は協力を国民にお願いしないでこういったことに対応できなければいけないのですが、今、現実には国民の皆さんのご協力が必要な状況であるのは、これは否定できません。そうすると、そこに向けたメッセージ効果というものを考えると、やはりこの「緊急事態宣言」に値するような状況なんだという政府の認識、特に政府が極端な根拠だけ楽観論でずっと言ってきていただけに、それを転換するためにはこうしたことも必要だという、そういう問題意識での発言です。