3日午後、参院内閣委員会でインフルエンザ特措法等改正案についての審議が行われ、小沼巧議員が質問に立ちました。

 冒頭、小沼議員は、経済産業省の官僚としての自身の経験から、政治の役割は法律やルールの狭間に落ちてしまった国民を助けることではないかと考えていると述べた後、同じ経済産業省出身の西村康稔経済再生担当大臣に対し、官僚をやめコロナ対策に臨むにあたっての自身の心構えについて問いました。「命を守ると同時に暮らしを守り、支援が届きにくいところに手を差し伸べること」と答弁した西村担当大臣に対し小沼議員は、「国民を助けたいという思いは一緒である」と応じました。

 その上で、今回の特措法改正の主眼の一つが医療崩壊を食い止めることにあり、現行特措法の31条(※1)が、医療関係者に対し、新型インフルエンザ患者等の医療を行うことの「要請」ができると定めている点についてただしました。小沼議員は、政府の現行解釈ではこの31条が、今回の新型コロナウイルスの患者については適用されないとされていることについて疑義を提起。同31条では損失補償等が整備されていること、審議中の改正案の施行までにはまだ時間がかかることなどから、思い切って同31条の解釈を変更してみてはどうかと尋ねました。これに対し、こやり隆史厚労大臣政務官は、現行の法体系では、『病原性が非常に高いなど極めて緊急性が高い場合』等に至らないケースでは、現行の感染症法の16条の2項(※2)を活用することになっており、新型コロナウイルスへの現行特措法31条の適用については否定的な答弁に終始しました。

※1 第31条:都道府県知事は、新型インフルエンザ等の患者又は新型インフルエンザ等にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者(以下「患者等」という。)に対する医療の提供を行うため必要があると認めるときは、医師、看護師その他の政令で定める医療関係者(以下「医療関係者」という。)に対し、その場所及び期間その他の必要な事項を示して、当該患者等に対する医療を行うよう要請することができる。(新型インフルエンザ等対策特別措置法)
※2 第16条の2 厚生労働大臣及び都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、感染症の患者の病状、数その他感染症の発生及びまん延の状況を勘案して、当該感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置を定め、医師その他の医療関係者に対し、当該措置の実施に対する必要な協力を求めることができる。(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)

 さらに小沼議員は、今般の改正法案の63条の2にある事業者支援規定について尋ねました(※3)。小沼議員は(1)昨年12月に立憲民主党をはじめとする野党各党が提出した法案にも同様の支援規定があったが、今回の条文との違い(2)支援の対象となる「事業者と労働者」の中に「住民」は含まれるのか――等についてただしました。
 (1)の質問に対し西村担当大臣は、野党提出の法案においては、休業等の要請に応じた事業者に給付金を必ず支給することとし、支援額についても指示に従った時期・期間、その他の事情を考慮して算定した額とすることとしている点を指摘。具体的に給付の内容を法令に規定することには限界があると政府が考えていることや、法律にこのような形で範囲を限定するのではなく、幅広い支援の対象もあるということも含めて今回のような書き方をしていると答弁しました。これに対し小沼議員は、「お互い政策法案を出し合って議論をして、切磋琢磨して、それこそ国民生活、国民経済を守るために良い知恵を出し合っていくことは大事だ」と一定の理解を示しました。

※3 改正法案第63条2第1項 影響を受けた事業者を支援するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を効果的に講ずる

 最後に小沼議員は「さまざまな施策を用意したとしても、どうしても狭間に落ちてしまう方々もやはりいる。現場とか地域の実情に応じて、申請が受けたいのだが受けられないということも生じてくる」と、政府に対しできる限りきめ細かく柔軟な支援を講じていくよう求めました。