立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党の4党は8日、昨年4月にさかのぼって大企業の労働者を休業支援金・給付金の対象とすることを柱とする「コロナ非正規労働者救済法案」を衆院に提出しました。

 立憲民主党からは、早稲田夕季議員(法案筆頭提出者)、長妻昭厚生労働部会長、川内博史政務調査会長代行、西村智奈美社会保障調査会長、逢坂誠二新型コロナウイルス対策本部長、大西健介政務調査会長代理、山井和則、尾辻かな子、山川百合子各衆院議員が参加しました。

 シフト制等で働く非正規労働者の方々は、新型コロナウイルス感染症の影響により休業させられたにもかかわらず、休業手当を受けることができていないという実態があります。そのうち、大企業で働く非正規労働者については、休業手当を受けることができない労働者に支払われる休業支援金・給付金の対象外であったため、休業手当も休業支援金・給付金も受給できないという問題が生じています。こうした状況を踏まえ、立憲民主党は、昨年の臨時国会に提出した「休業支援金拡充法案」や申し入れ、質疑を通じて、大企業の労働者も休業支援金・給付金の対象にするよう、政府に求め続けてきました。それにもかかわらず、政府が対象拡大を拒み続けてきたため、立憲民主党は対象拡大を実現すべく、新たな議員立法を提出することを決定しました。当事者の強い要望や立憲民主党の提案などを受けて、政府もようやく大企業の非正規労働者に対象を拡大することを決めましたが、今年1月8日以降の休業に限るとしています。政府の対応では、昨年の緊急事態宣言の際に休業で収入が減った分は対象になりません。一方で、今回提出した法案では、昨年4月にさかのぼって大企業の労働者を休業支援金・給付金の対象にすることとしています。

 法案のポイントは、以下の通りです。

(1)休業手当の支払を促進するため、令和3年1月8日以降労働者を解雇せず休業させた事業主に対する「雇用調整助成金」の助成率を、政令で定める日(令和3年6月末を想定)まで10/10とする。

(2)休業手当が支給されない大企業の労働者について、令和2年4月にさかのぼって休業支援金・給付金の対象とする。

(3)失業された方を支援するため、失業手当の給付日数の延長と給付額の支給割合の引き上げ、臨時職業訓練受講給付金の支給、生活保護法上の要保護者の生活支援のための措置を行う。

 提出後、法案提出者が記者団の取材に応じました。筆頭提出者の早稲田議員は「大企業の非正規の方に休業支援金の対象が拡げられたにもかかわらず、昨年の一番大変な第1回目の休業要請の時に無給だった4月、5月、6月がカバーされない。1月8日ではなく、昨年4月に遡及をして休業手当が支払われていない皆さんを救済することができるようにというのが法案の一番の趣旨」と法案の意義を説明しました。

 川内議員は、午前中の予算委員会の質疑での総理等とのやり取りを紹介した上で、「(政府には)われわれの法案を重く受け止めていただいて、大企業の非正規の皆さんも、中小企業で働く皆さんと同様に、昨年4月分からの休業支援金を申請できるようにすることを実現していきたい」と実現に向けた意気込みを語りました。

 長妻部会長は、1月8日から拡大するという政府の対応について、「菅政権はちゃんとやっているというイメージを与えながら、はしごを外すという非常に悪質なもの」と批判した上で、「こういうことには法律を通すことで国会の役割を果たしていきたい」と述べました。

 記者会見には、休業支援金・給付金を受け取ることができていない当事者の方が同席し、1月8日からという政府の対応では救われないことや制度改善が必要であることを強く訴えました。

【概要】コロナ非正規労働者救済法案.pdf
【要綱】コロナ非正規労働者救済法案.pdf
【法案】コロナ非正規労働者救済法案.pdf
【新旧対照表】コロナ非正規労働者救済法案.pdf

20210208 122139_01.JPG
法案提出後に記者団に説明する早稲田議員(中央)
20210208 122829.JPG
大企業にシフト制で勤めていた当事者の方