衆院予算委員会で15日、2021年度予算案の集中審議があり、近藤和也議員が質問に立ちました。近藤議員は (1)13日に発生した福島県・宮城県等の地震被害への対応(2)日本政府のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンへの対応(3)菅総理長男による総務省幹部の不適切接待――等のテーマを取り上げました。

■東北地方を襲った東日本大震災の余震へのグループ補助金の活用

 冒頭、近藤議員は国会災害対策特別委員会の筆頭理事としての立場から、一昨日に東北を中心に被害のあった震災への政府対応についてただしました。東日本大震災から10年を迎える中での今回の地震について、現地では東日本大震災、新型コロナウイルスにつぐ「トリプル災害」との声も出ていることを紹介。民主党政権時代に導入されたグループ補助金(※)の活用を訴えました。近藤議員はこの補助金の利用に必要となる「激甚災害指定」を政府が行うか、特例として使うことができるようにすることを求めました。

※グループ補助金:被災企業を支援するための国の補助金制度。被災した企業が複数集まって復興事業計画を作成し、生産機械等の設備の復旧費用の4分の3を国や県が補助する。

■新型コロナウイルス・ワクチンについて 

 新型コロナウイルス・ワクチンについて近藤議員は(1)日本でワクチン接種の開始が遅れている理由(2)ワクチンについての政府内での適切な情報共有(3)国産ワクチンの開発(4)貧困国にも公平に分配するための国際的な枠組み(COVAX)等について取り上げました。

  1. 日本でワクチン接種が遅れている理由

     すでに世界74か国でワクチン接種が開始されているのに、なぜ遅れているのかを尋ねた近藤議員。けた違いに低い日本の患者数や薬事行政に敏感な国民性等を理由に挙げる田村憲久厚労大臣に対し、近藤議員は、「揚げ足をとるつもりはない。なんとか感染症を抑え込もうという気持ちは一緒だ」と述べた上で、「ただし、ワクチンを打たない人に対し圧力をかけない、副反応について正確な情報を国民に知らしめる、デマを規制する――等の点については、しっかりと対応してほしい」と要望しました。

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  2. 政府内での情報共有の不備

     今後、導入が予定されている3種のワクチンの総接種回数について、1瓶あたりの接種回数を6回から5回に見直すことから、田村厚労大臣の発言が、当初の3億1400万回から2億9000万回に変更。厚労省ホームページの数字も変えられていたことについて、河野太郎ワクチン担当大臣が知らず以前の回数で答弁をしていたのではないかと指摘。近藤議員は、外との契約内容が変わることはよくあること。入ってきた新しい情報をどう共有するかは、政府内の問題。トップがしっかりしてほしいと、情報共有のあり方の是正を菅総理に強く求めました。

  3. 国産ワクチンの開発

     今後、日本政府が3種のワクチン購入のために約7000億円ちかく支払う見込みであることについて触れ、「米トランプ政権は一つよいことをした。政府が1兆円近くを支出し、約1年半でワクチンを開発する『ワープスピード作戦』だ。ひるがえって日本政府がワクチン開発に投じたのは、第1、2次補正あわせても約600億円とけた違いに少ない」と指摘。「日本は、エネルギーで約17兆円、食糧で約7兆円、医療で約3兆円、毎年海外から輸入している。安全保障という観点からエネルギー、食糧、医療、それぞれの政策を見直してはどうか」と提案しました。

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 さらに近藤議員は、世界で「ワクチン・ナショナリズム」と呼ばれる、新たに開発されたワクチンを巡る争奪戦が起きつつあることに関連して、公平にワクチンを分配するための国際的な枠組みであるコバックス(COVAX)に日本がもっと関与するよう求め、この項目に関する質問を終えました。

■菅総理長男による総務省幹部に対する不適切接待疑惑

 近藤議員は、菅総理長男が勤務する企業の事業内容や、その企業が総務省側から見て利害関係者にあたるか、さらには総務省幹部が長男と職務上知り合ったのか等についてただしましたが、政府側は公務員倫理審査会の指導で調査中であることを盾に、明確な回答を避け続けました。

 近藤議員は最後に「李下に冠を正さず。どうか身ぎれいにして頂き、今の国難を乗り切ってほしい」と政府に要望し質問を終えました。

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