衆院予算委員会で2日、衆院会派「立憲民主党・無所属」と共産党は共同で政府提出の2021(令和3)年度予算案を撤回の上、編成替えを求める動議を提出しました。村上史好議員が組み替え動議の趣旨説明、及び政府案への反対討論ををおこないました。採決の結果、動議は否決され、与党等の賛成多数で政府案が可決されました。
動議の趣旨説明の冒頭、村上議員は「令和3年度予算は新型コロナウイルス感染症により被害や影響を被った国民生活と社会経済活動を力強く再生へと導く予算に編成し直すことが不可欠」と訴えました。そして、「政府が進めてきた『withコロナ(社会経済と感染対策の両立)』では、感染抑制と感染拡大の波が何度となく繰り返され、社会経済活動の制約は長期にわたり、国民生活や社会経済活動に深刻な影響を与えています。私たちは、感染防止対策と医療支援、そして生活者・事業者支援を集中的に展開し、感染拡大の波を十分に収束させ、その状態を継続させることで感染を封じ込め、早期に通常に近い生活・経済活動を取り戻す『zeroコロナ』の道を選択すべき」との考えを示しました。そのために、特別定額給付金を生活困窮者や生活急変者を対象に再度支給するとともに、持続化給付金を改善し、支給要件の緩和と事業規模に応じた支給を実施するための予算を組み替え案に盛り込んだことを説明しました。さらに、新型コロナウイルス感染症対策関連以外では、子育て支援や、持続可能な社会の実現など、先行投資のための予算は増額する一方、必要性に乏しい事業や効率性の低い予算については大胆にカットし、メリハリの利いた予算編成を提案しました。
次に組み替え案の項目について具体的に説明しました。新型コロナウイルス感染症の拡大防止、国民の命と暮らしを守るための予算として(1)病床の確保・医療機関支援に3兆円(2)再燃防止策(封じ込め)の徹底に2兆円(3)生活困窮者への支援等暮らしを守る施策に7兆円(4)持続化給付金・家賃支援給付金の再給付、要件緩和など事業を守る施策に22兆円――をあてることを説明し、賛同を求めました。
村上議員は、採決を前に会派を代表し、2021年度予算3案について反対、立憲民主党・無所属、共産党提出の動議に賛成する立場から討論をおこないました。
3年連続で歳出が100兆円の大台を超え、106兆6097億円となった政府の予算案について(1)2021年度予算案のうち、新型コロナウイルス感染拡大防止のための予算は、極めて少ない(2)政府は、新型コロナウイルス対策のための予算については、あたかも2020年度第3次補正予算で措置済みのような対応であり、極めて無責任(3)2020年度第3次補正予算にしても、この2021年度予算にしても、編成されたのは昨年12月のことであり、その後に生じた感染第3波のピークや、緊急事態の発令のことなどを、十分に織り込んでおらず、きわめて不十分な内容(4)2021年度予算案では、コロナ対策とは関係の薄い、従来型の歳出予算について、まったく改められることなく防衛費や公共事業費が多額となっている――等、反対理由を挙げました。
その上で、「政府案は、新型コロナウイルス対策という、いま私たちにとって最も必要とする予算には程遠いもの。本来ならば厳しく精査をして不要不急な部分はカットすべき従来型の既存予算が、相も変わらず膨張し続けています。このような予算案を、私たちは到底、容認することはできません」と述べ、政府予算案に断固反対し、会派と共産党と共同提出した組み替え案に賛成すると主張し、討論を終えました。