「(不適切接待問題が)総務省、農水省と続けて出てきたことを考えると、全省庁での調査、これを進めなければいけない」。泉健太政務調査会長は4日、国会内で定例会見を開きました。会見の要旨は、以下の通りです。

■参院予算委員会について

 やはり今の政府の予算には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の深刻な状況に合わせた対策費が足りない。われわれとしては持続化給付金、そして生活困窮者への定額給付金の再給付、こういったことを求めていくつもりだ。あわせて5兆円の予備費の削減も求めている。歳出をしなければいけない項目がいくつもあることを考えると、予備費を残しておくのはおかしい。政府の方でも感染予防対策をもっと自信をもってやって頂きたい。

■相次ぐ高級官僚の接待問題について

 非常に深刻な腐敗ぶりを露呈してきている。安倍政権以来、長期政権が続き、公務員倫理も相当破壊されてきているのではないか。現場で頑張っている公務員はルールも遵守をしながら本当に奮闘していると思う。一部の幹部がこのように接待を受け、またそれに応じてしまっているということ、それを監督できていないことは極めて問題だ。
 総務省、農水省と続けて事案が出てきたことを考えると、全省庁での調査、これを進めなければいけない。

■新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて
  1. ワクチンPTの提言等

     ワクチンPTにおいては過去6回のヒアリングをおこなってきた。国民への情報提供、そして外国人の方も含めた親身で丁寧、ユニバーサルな対応を政府には求めていく。また自治体が相当混乱をしているので、自治体への丁寧な情報提供が求められている。在宅系の介護サービスで働く皆さんも優先接種の対象にしたことについては、一つ前進だったと評価したい。

  2. ワクチン接種の費用負担

     改めてさまざまな費用について不透明な点が多い。本当に接種単価が2070円で大丈夫なのかということや、この接種にかかる人件費や人の手配等は「すべて国が持つ」と言っているが、国が持つということと、実際に払われる額が満足できる額なのかということは別な話。そういった単価設定の話も含めて、地方や医療機関、現場の医療機関が、この単価であれば接種には協力できないということにならないように、しっかりと予算を手当てをしていく必要がある。

  3. マイナンバーの使用について

     ありうる選択肢ではあるとは思うが、今回はこれだけワクチン接種のスケジュールが厳しい中で、かつ地方でも自治体でも既に準備を相当進めている中で、さらに業務の負担がかかってくる可能性が強い。今回は見送るべきというスタンスだ。

■復興対策本部

 震災復興は、よく「10年目の節目」などという言われ方をするが、区切りでも節目でもない。継続していく問題だと認識している。この10年を契機に、政府は忘れることなく、この復興支援、特に人に対する支援に取り組まなければいけない。

 インフラ整備だけではなく、NPOに対する支援、そして実際の居住者だった方々が、もう一度故郷に戻って生活できるようなさまざまな支援策が必要だ。

以下は、記者との質問のやり取りの中での発言です。

■わいせつ教員対策法案(与党PTで検討中のもの)について

 わいせつ教員のことについては個人的にも関心があり、2005年以来複数回、国会で質問を重ねてきた。いわゆるわいせつ教員が、問題を起こした学校からいなくなった後に、別な教育委員会へ行って復職をするケースがあることについても質問させて頂いたことがある。やはり全国共通のデータベースとすべきではないかという提案もし、文科省とはその後、実際にそのデータベース作りについて個別に協議をし、前向きな返事も頂いている。

 私に限らず、わが党の中にもこの問題について問題意識を持っている仲間が、少なからずいると思う。そういう中で一部報道で、立憲民主党が何かこうした取り組みに対して後ろ向きではないかというような話があった。私の認識ではそんなことはまったくないと思うし、今、立憲民主党を支援する団体の中でそういった声が上がっているということも、あえて確認をしたが、そのようなことはないという認識だ。

 基本の問題そのものは、当然非常に大事で取り組んでいく。同時に、いわゆるベビーシッターや、保育の現場、あるいは障がい児をお世話する施設の中での事件も含めて防いでいかなければならない。このわいせつ教員の問題をはじめとして、あらゆる児童が被害に遭わないための取り組みを進めていきたい。法案そのものへの賛否については、プロジェクトチーム(PT)の中で決めて頂くことだ。

■緊急事態宣言延長見通しについての受け止め

 2月2日に総理が会見で発言をしたおおよその解除基準や、これまで政府が当初言ってきた条件は、ほぼ意味をなさなくなっている。やはり国民にとっての予見可能性というものが必要だ。国民から見て、妥当な判断基準があって、客観的に同じような判断を総理がすることが求められている。国民の側で「?(はてな)」をいくつも思い浮かべなければいけないような判断では、やはりいけない。わかりやすく、判断基準を明示をしていただく。そういったことがまず求められている。小手先のリーダーシップ、見た目のリーダーシップではなく、わかりやすい判断基準を明示していただくこと、それがもっとも大事だ。

■与党内で検討中の重要土地等調査法案について

 重要土地等調査法案(自衛隊基地周辺など安全保障上重要な土地について、その取得や利用の規制を強化するといった内容)については、まだ中身を見ていないが、私も所有者不明土地問題ということで、これまで国土交通委員会、予算委員会等で安倍総理に直接質問したことがある。個人的にも強い関心を持っているし、対馬の自衛隊基地に隣接する土地のことも現地で話を伺ってきた。やはり、こういった土地についてわが国の国益という観点から、何らかの措置が必要ではないかという声が国民から上がってきている。われわれとしてもその必要性について真摯に議論していきたい。私が今回、政調会長になった時に「外交・安全保障・主権調査会」という名称をつけたのは、まさにそういった問題に対処するためだ。

■「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」(原発立地特措法)を10年間延長する改正法案について

 この法案は元々議員立法であり、議員立法の中で処理していただきたいというのが役所側の思いでもあったと聞いている。議員立法であれば与野党での協議も可能だ。議員立法でできてきたという経緯・経過を踏まえ、閣法であっても与野党でしっかりと協議をして頂きたい。

 この法律がそもそも東日本大震災の前に前回、審議・成立をしていることに鑑みて、やはり事情の変更・環境の変化を受け止めた上で、この法案を今回審議する必要があるのは、与野党を超えて当然のことではないか。
 そういった中で「原子力発電がわが国の安定供給に欠かすことができない」という原発事故が起こる以前の書きぶりのままになっている。われわれとしてはやはり東日本大震災や、その後のエネルギーをめぐる環境の変化を踏まえた表現にするよう、提案しようと考えている。
 加えて言えば、かさ上げそのものというのは、防災インフラも含めて重要なことだと思う。われわれとしては、その仕組みそのものがおかしいという主張をするつもりはない。

 これまでは原発立地地域においては、ひたすら原発、そしてインフラ整備を続けるという観点だった。しかし新しいエネルギーにシフトをしていくにあたっては、当然廃炉ということもありうる地域も出てくる。そういった意味では、再生エネルギーのさまざまな整備が現地で行われていく場合、これもかさ上げのメニューに追加をするべきだと考えている。そういったものは非常に建設的な提案であると思っている。

 東日本大震災を踏まえた法律にすべきだということ、そして時代に合わせた再エネも含めたメニューにすること、この2つの提案を(野党側からの)修正として是非、飲んで頂きたい。

■脱炭素に向けた工程表等について

 環境エネルギー調査会の田嶋要調査会長のもとで、今政策作りヒアリングを繰り返しおこなって頂いている。総選挙も、もうすぐあるかもしれない。その総選挙にも間に合うように、いつ総選挙があっても大丈夫なようにということを頭の片隅に置きながら、現時点では明示的に何月とか、どの時期と決めている状況ではない。したがって、この原発ゼロの実現についても、現在はこのヒアリングの中で、調査会で議論中ということになる。

■選択的夫婦別姓について

 これは何も発信の計画を作るものではない。枝野代表が仰られたように、わが党としてはそれがスタンダードであるということ。わが党としては、実際に国としても進めるべきだということを言っていきたいし、国民にもそれを伝えていきたい。

 実は丸川大臣ご本人も、いろいろとご苦労があるのではないのかと思う。まさに、だからこそ夫婦の間で、家族の間で話し合って、選択できるようにしていくべきだとわれわれも言っている。丸川大臣も無理やり防御ラインを作ろうとせずに、今困っている女性、あるいは夫婦、家族に向き合って発言をしていただきたい。