参院予算委員会の集中審議(「東日本大震災からの復興及び新型コロナウイルス感染症対応等」について)で8日、立憲民主の2番手として質問に立った宮沢由佳議員は、(1)ワクチン接種に関する情報提供、接種会場でのサポート体制(2)看護師の日雇い派遣の容認(3)コロナ禍における産後ケア(4)こども食堂(5)男女共同参画センター(6)男女の賃金格差――等について取り上げ、政府の見解をただしました。

 宮沢議員はまず、ワクチン接種に関する情報提供、接種会場でのサポート体制について、2月28日、党のつながる本部(本部長・枝野幸男代表)と障がい・難病プロジェクトチーム(PT、座長・山花郁夫衆院議員)の共催によるヒアリングで挙がった、当事者らからの声を紹介。聴覚障がい者向けに、ワクチン接種の予約や、2月15日に厚生労働省に設置された『新型コロナワクチンコールセンター』および今後全国各地の自治体に設置予定のコールセンターへの連絡方法について、電話だけでなくFAXやメールでの対応、接種会場に「耳マーク」を設置し、行動に不安な難聴者・中途失聴者に筆談・コミュニケーションボードによるサポート、 すべての音声案内・説明には、ホワイトボードやモニターを活用した字幕表示等を求めました。

 河野担当大臣は、政府としてこれに応じる方針を示し、これらに関連し新たに発生した費用については、全額負担すると明言しました。

 宮沢議員は次に、看護師の日雇い派遣をめぐり、今般、政令の改正により(2月25日に公布、4月1日施行)、社会福祉施設等への看護師の日雇派遣が認められるようになったことに言及。これまで、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の規定に基づき禁止されていたにもかかわらず、現場で介護士確保が難しく、ニーズがあるとの理由で、安易に認めることに懸念を示しました。

 これに対し、田村厚労大臣は、「日雇い派遣は短期間で、雇用安定上不安定。労働災害にも十分対応できないだろうと言う声もあり、原則禁止していた」と述べた上で、今般の政令改正は、健康管理を中心に業務を限定していることから、労働者保護の観点から労働者を守られると判断したと説明。宮沢議員は、不安定な日雇い派遣を容認する前に、看護師不足の解消、そのための処遇改善などの対策をすべきだと主張、「何でも規制緩和というのではなく、労働者の暮らしを守る、労働者の目線で政策を遂行することが重要」だと求めました。

 また、働く環境の整備に関連し、新型コロナウイルス感染症に関する政策立案などを担う政府の対策市推進室(コロナ室)の長時間勤務問題を取り上げ、コロナ室の今年1月の平均の残業時間は約122時間と過労死ラインの100時間を超え、最も長く残業した職員は約378時間にも上ることを問題視。コロナ室では、西村経済再生担当大臣が感染対策として呼びかける「テレワークの推進」もまったく行われていないことを西村大臣に確認し、働き方改革に逆行するものであり、健康に問題がないよう改善を強く促しました。

 西村大臣は、特定の人に業務が集中するなど、コロナ室の過酷な就労状況に対し、改善するよう政務官に指示したところだと釈明。菅総理も「少しでも残業が減らせるよう努力させたい。人数が必要であれば他分野から充足させ、集中しないよう取り組んでいきたい」などと応じました。

 宮沢議員は、コロナ禍で、妊娠中や出産後の女性のうつが、以前の3倍に増えているおそれがあるとの調査結果には、感染への不安から外出控えが続き、友だちや専門家から育児のアドバイスを受ける機会が減っているなど孤立しがちなことが背景にあると指摘。母親が不安を抱えていると子どもも安心して育たないとして、コロナ禍での産後ケア政策を尋ねました。

 田村厚労大臣は、オンラインでの保健指導や子育て支援に加え、助産師の訪問等のといったアウトリーチ型の事業も行っていると説明、産後うつをはじめ、安心して子どもを産み育てられる環境づくりに努めていきたいと述べました。宮沢議員は、産後ケア事業に取り組むのは、全1741区・市町村のうち941自治体にとどまっているとして、財源や人材不足により躊躇しないよう、半額補助ではなく全額補助でやってほしいと求めました。

 宮沢議員はまた、安心できる居場所づくり、学習支援、地域のつながり強化など、食事の提供にとどまらない、子ども食堂が地域で果たす役割を強調。コロナ禍における子どもの貧困にも触れ、新年度を迎えるなか、子どもがいる世帯ではお金がかかるとして、すでに野党は議員立法が提出している、困窮する世帯に対する早急に給付金を支給してもらいたいと強く要請しました。

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 同日は「国際女性デー」でもあることから、宮沢議員は、ジェンダー平等推進の観点から、男女共同参画センターついても取り上げ、昨年12月に取りまとめられた第5次男女共同参画基本計画には、「男女共同参画センターの機能強化・充実」が盛り込まれているにもかかわらず、都道府県の男女共同参画センターの数と、平均予算額が減少していると指摘。これについて丸川男女共同参画担当大臣は「非常に憂慮すべき状況にある」と答弁。宮沢議員は、男女共同参画会議、第5次基本計画ワーキングチームの議事録では、『地方自治体において男女共同参画センターの廃止、縮小、複合化が進んでいる。男女共同参画センターの目的、必要性、男女共同参画の意味が市民に伝わっていない等、しっかりと市民に教育してこなかった国に責任がある』と訴えている。掛け声倒れの女性活躍ではなく、地域から男女共同参画センターを活用しながら共生社会を構築していく必要がある。後退しないようにお願いしたい」と訴えました。

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