参院予算委員会は4月24日、政治資金等内外の諸課題をテーマとした集中審議を行い、蓮舫、杉尾秀哉、田島麻衣子の各議員が質問しました。

■蓮舫議員

 冒頭、蓮舫議員は、自民党の宮沢博行・前防衛副大臣(安倍派出身)が議員辞職願を提出したことについて、「適材適所」として任命した岸田総理総裁の認識をただしました。宮沢前防衛大臣がコロナ禍の緊急事態宣言下において「妻以外の女性と金銭的援助を伴う同居生活」を送っていたと報じられていることも踏まえ、岸田総理総裁に対し、「勝手にやめさせるのではなく、自民党総裁としてきっちりヒアリングをして、説明をさせて、厳格な処分をして、その上で辞職を促すのが役割ではないか」としてリーダーシップを問題視しました。また、「辞職願」は衆院本会議でまだ許可されていないとして、「取り下げるように指示」をして、「処分」すべきと迫りました。
 
 また、28日が投開票日の衆院3補欠選挙のうち、2選挙区で自民党が公認候補を擁立しなかったことを踏まえ、岸田総理総裁に対し、「火の玉となって国民の信頼回復に取り組むと言っていた」にもかかわらず、「(2選挙区では)国民の審判から逃げて『不戦敗』となった。火の玉はもう燃え尽きたのか」と迫りました。

 裏金問題を受け、自民党が前日23日にようやく公表した政治資金規正法の改正に向けた独自案について蓮舫議員は、「最大の再発防止策は、議員も会計責任者とともに罪に問われる連座性の導入」だと指摘。自民独自案は「なんちゃって連座制」ではないかと追及しました。

 蓮舫議員は、自民党独自案では、議員の処罰について、「前提は会計責任者の有罪確定」だと指摘。「収支報告書の不記載、虚偽記載で(会計責任者が)処罰された場合、代表者が確認事項の確認をしないで確認書を交付したときは、代表者に刑罰を課する」という「2段階」になっていると追及しました。その上で、自民党の裏金議員のうち、ほとんどの「会計責任者は処分されていない」として、「まったく連座になっていない『なんちゃって改革』」だと断じました。

 また、自民党独自案では、「政策活動費」の廃止や企業・団体献金の禁止についても「先送り」だと批判。自民党の茂木俊充幹事長や新藤義孝経済再生担当大臣らによる、「国会議員関係政治団体」から、政治資金の公開基準が緩い「その他の政治団体」への「付け替え」問題についても「先送りせずやるべき」と迫りました。

 これに対し岸田総理総裁は「議論を行う」とくり返し答弁しましたが、蓮舫議員は「議論をして、先送りというのはすべきでない」と強調。立憲民主党の政治改革案に比べ、岸田総理総裁の姿勢は「とても先頭に立っているものではない」と断じ、質疑を終えました。

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■杉尾秀哉議員

 杉尾議員は、自民党の裏金問題について「国民は怒っている」「全国に怒りが渦巻いている」と述べ、それなのに「組織のトップが何も責任をとらないことはありえない。なぜ自らを処分しないのか」と追及しました。

 岸田総理は「党のトップとしての責任を果たしていく。覚悟を申し上げた」と述べました。

 杉尾議員は「それは覚悟とは言わない。言い逃れだ」「責任の取り方を聞いたのに、責任があるとしか言わない。責任は取るものだ」「身を引くのが責任をとるということ。裏金の根本を断つのが政治改革」と岸田総理の無責任な姿勢を批判しました。

 杉尾議員は「何よりも今回の事件の真相が何一つ明らかになっていない」として、森元総理への調査について「具体的な関与は確認できなかったではなく、確認しなかっただけでは」と指摘し、「こんな無責任政治はない」と改めて批判しました。

 杉尾議員は、自民党の裏金問題、大阪万博、紅麹サプリ問題の小林製薬から自民党が多額の政治献金を受け取っていること等を指摘し、これらの問題は「一つにつながっている。金のある人が恩恵を受けている」、お金によって「政策決定が歪められることがあってはならない」と強調しました。

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■田島麻衣子議員

 田島議員は、冒頭、昨日23日に自民党が政治資金規正法改正案を公表したことに触れ「まったく不十分だ」と述べました。岸田総理自身、収支報告書の不記載がなかったために自民党による処分の対象とされなかったことについて、「不記載があった場合は党の処分となる理解で良いか」と問いました。岸田総理は「仮定の問題には答えを控える」と答弁。これに田島議員は、岸田総理の資金管理団体「衆議院議員岸田文雄と国政を語る会」が過去5年間で約4億円の収益をあげているにも関わらず、収支に1度も端数が出ていないことを指摘し、「端数は裏金化していることはないか」と追及しました。「裏金化していることはないと考えます」と答える岸田総理に、田島議員はさらに、「立憲民主党は政治資金パーティーの禁止を改正案の中に盛り込んでいるが、自民党は公開基準の引き下げすらも検討していないのはなぜか」と質問。自民党の改正案について「国会議員個人の政治資金パーティーについて検討課題として挙げているのはいくつかあるが、改正案の中に盛り込んでない。これは本当に不十分だ」と指摘しました。

 また、田島議員はマイナ保険証の今年3月の利用率が5.47%であることを取り上げ、「利用率にも関わらず健康保険証を廃止するつもりか」と岸田総理に質問。岸田総理は、「マイナ保険証の導入を進める。そのための環境整備に全力で取り組む」と答えました。田島議員は、岸田総理の資金管理団体及び自民党の政治資金団体である一般財団法人国民政治協会が日本医師会の政治団体である日本医師連盟から受けているパーティー券収入、その他事業収入、寄付の金額について質問しました。岸田総理は、2022年中に岸田総理の資金管理団体である新政治経済地域研究会が日本医師連盟から200万円のパーティー券購入と200万円の寄付、一般財団法人国民政治協会が2億円の寄付を受けていると答弁しました。田島議員は、「こうした企業団体献金についても自民党の改正案は何も答えていない。この点についても自民党の改正案はまったく不十分だ」と強調しました。

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