参院議院運営委員会は18日、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に出されている新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言について、21日で解除することの政府報告聴取と質疑をおこないました。立憲民主党からは吉川沙織議員が質疑に立ち、政府の見解をただしました。

 吉川議員は、政府が1月7日に2度目の緊急事態宣言を発出した際に開催された委員会で、それまでの「感染拡大防止と経済活動維持の両立」の方針を転換し、「感染拡大防止を最優先として取り組んでいく」と西村大臣が答弁したことに触れ、今回の解除では「再び感染拡大防止と経済活動維持を両輪として取り組んでいく方針に転換するのか」と菅総理に質問しました。
 菅総理は、「感染拡大を防止する。そのことを最優先に取り組んでいく」と述べながらも、「それと同時に国民の命と暮らしを守る。これも政府の大きな役割だと思う。雇用を守って事業継続をできるような、そうした環境を作らないといけない」と答弁しました。

 また吉川議員は、3月5日に基本的対処方針を改定した際の議事録の内容に触れ、「(諮問委員会の)多くの委員がリバウンドや再拡大に関する懸念を繰り返し示しているのが分かる」と指摘しました。そのうえで、今朝の諮問委員会から、この夕方の国会報告までに時間があることから「『こういう懸念がいくつか示された』というだけでも、国会報告が何のためにあるのかという観点から、ぜひ今後は留意してほしい」と当日の諮問委員会で出た意見も国会報告で示してほしいと求めました。
 さらに緊急事態宣言の解除の条件について、分科会が示した6指標で「ステージ4」相当からの脱却を条件としていたにもかかわらず、3月7日時点の延長の際にはステージ3相当になっていても解除されなかったことから、今後はより分かりやすい基準を示す考えがあるのかただしました。西村大臣は、「現時点で変更を考えていないが、変異株の動向やワクチン接種を踏まえて将来変更するかも」と答えました。

 20時までの時短営業が21時あるいは22時の時短営業よりも有効であったと述べる西村大臣に対し吉川議員は、「有効であるというのであれば、合理的な根拠が必要なんだと思う。それが分かれば、逆に我慢できるし協力もできる」と指摘。吉川議員は「エビデンスが無いのが現状」と述べ、「EBPM(エビデンスに基づく政策立案)を2017年から政府が打ち出している。政府が推せんする証拠に基づく政策立案。緊急事態宣言中から後の検証を念頭に体制を整備する必要がある」と今後の検証方法について菅総理に見解を聞きました。菅総理は、「正式にどこであるかということは決まっていない。専門家の委員の先生の話を聞いてとなっているが、そこは明確にする必要がある。指摘は承る」と答弁しました。

 吉川議員は、過去に経験がないため政府に基礎的な情報がないことに理解を示したうえで、「国民の納得を得られるようにこれまでおこなってきた対策について、何がどのようにどの程度有効だったのか。どの程度感染拡大防止に寄与したか、データをもって示すことが重要だと思う。このような取り組みの積み重ねが開かれた政策決定につながり、国民の予見可能性を高め、命と暮らしを守ることにつながると思うので、引き続き立法府の立場から問うていきたい」と述べ、質疑をしめくくりました。

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