参院議院運営委員会は23日、政府が緊急事態宣言を東京都、京都府、大阪府、兵庫県の4都府県を対象に4月25日から5月11日まで発出し、まん延防止等重点措置の区域に愛媛県を加え、宮城県、沖縄県について期間を5月11日まで延長することについて、西村康稔経済再生担当大臣から事前報告を受け、質疑をおこないました。立憲民主党から議院運営委員会野党筆頭理事を務める吉川沙織議員が質問に立ちました。

 吉川議員は、菅総理大臣が2度目の緊急事態宣言の解除にあたり、3月18日の記者会見で「再び緊急事態宣言を出すことがないように、感染再拡大を防ぐための5つの対策をしっかりやるのが私の責務だ」と発言したことを取り上げ、「再拡大を防ぐのが責務とまで断言されたにもかかわらず、菅総理から直接、この国会報告がないのは誠に遺憾」と苦言を呈しました。そのうえで、政府が掲げた5つの柱が機能しなかったために3度目の緊急事態宣言が発出されることになったいう認識かどうかを西村大臣に尋ねました。西村大臣は「今回の感染拡大について、そんなに簡単に割り切れる、YESかNOかで答えられるようなものではない」と明言を避け、「何回でも感染の波、流行は起こり、その度に強い措置を講じて対応していく」と従来の答弁を繰り返し、「5つの柱については全力を挙げて対応してきたが、変異株が関西圏を中心に急速に拡大してきた。それに対する監視、クラスター対策を行なってきているが、東京が関西のようにならないようにするために今回緊急事態宣言をお願いした」と述べました。

 吉川議員は5つの柱が機能し、実現していたのであれば解除から1カ月で再発出するような事態にはならなかった主張し、5つの柱の内容について改めて問いました。西村大臣は、(1)飲食店の時短営業の要請(2)変異株を対策としてスクリーニングの実施(3)高齢者施設等での検査の強化(4)ワクチン接種(5)医療提供体制の充実――を実施し、一定の成果を上げたと説明しました。

 吉川議員は、今朝の緊急事態宣言の発出等を諮った政府の新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針分科会の議論が3時間近く議論が行われたが、議事録が公開されている4月1日の分科会では2時間の議論がなされ、複数の委員から多くの意見が出されていることから、本日も多くの意見が出ていたはずだとし、「国会報告の場は手続きの場であって、了承を得る場ではないが、国民の代表に対して報告するのであれば、議論の内容を示されたうえで、政府としてこうだから緊急事態宣言がどうしても必要なのだという説明をしていただきたい」と述べました。西村大臣が冒頭に読み上げた報告について「ただ、(分科会に)期間をご了解いただいたとしか言及していない。もう少し国会報告をちゃんとすべき」と述べ、分科会の議論の説明を含めた報告をするよう改めて求めました。

 また、4月1日の対処方針分科会で何人もの構成員からまん延防止等重点措置の効果がどの程度あるのか検証していくことが必要との意見が上がり、それらの意見のまとめとして尾身分科茂会長が、「今回この重点措置が実際に効果があったのかということ、1月の緊急事態宣言を含めて、時間をかけないでしっかりとした議論が必要」と発言したことを紹介しました。そのうえで、政府の新型コロナウイルスへの対応は評価・分析する時期に来ているのではないかとただしました。西村大臣は、「今日も分科会でまん延防止等重点措置の効果の議論があった」と認め、政府からデータを提供し、宮城県で新規感染者数が減ったこと等を一定の効果として紹介したと述べ、調査分析し、公表する考えを示しました。吉川議員は、収束してから検証するのではなく、大臣が言及するように波が何度でも来るのであれば、それに備えて対応するためにも、すぐに実施するよう要請しました。

 吉川議員はさらに、知事の要請から緊急事態宣言の発出まで時間がかかりすぎていることを指摘しました。大阪府が20日、東京都、京都府、兵庫県は21日に緊急事態宣言の要請を行なったが、発出が25日にされることを取り上げ、「感染症の最中においては一刻の猶予も許されない。だから宣言の発出のための客観的な基準も必要だし、知事からの要請を待ってそこから検討を始めて1週間近くたってから発出ではなく、感染拡大や医療体制の予測を示しつつ、国から積極的に協議を働きかけることによって機動的な対応を実現すべき」と主張しました。

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