参院予算委員会では3月28日、集中審議が行われ、立憲民主党から水岡俊一、川田龍平、吉川沙織各参院議員が質疑に立ちました。

■水岡俊一議員

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 水岡議員は(1)トランプ大統領が導入する関税(2)東京地裁が「解散命令」を決定した旧統一教会問題(3)教員の働き方――等について質問しました。

 水岡議員は、「学校は危機的状況。崩壊するのではないかと思うくらい教職員のなり手がいない。確保ができない。欠員状況」と強い懸念を示しました。そして、その原因について「誰の責任でやるのか。明確にしながら対応しなくてはいけない。原因は様々だ。きわめて大きな要因として学校で働くということに大きな問題が潜んでいる。なかなかそこから先に進まない。責任問題が進まないから。私は学校の今働き方改革が前に進まない」と強調しました。

 あべ議員「特定の所属に責任を着せられないが、一体的に推進していく」と答えました。水岡議員は、「働き方改革が進んでいるのに、なぜか学校だけがエアポケットのように外れている。超過勤務の問題、均等待遇の問題、他の色々なところで行き届いていないほぼ制度的には進んでいるが、学校だけが進まない」と指摘し「なんとかしなければならない」「教師の人権の問題、子どもたちにしわよせがいく。取り返しのつかないことをやることになる。子どもたちの問題であり教師の人権の問題という認識のもとさらによくやらないければならない」と訴えました。

■川田龍平議員
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 川田議員は、(1)学校給食無償化(2)PFAS論文「差し替え」問題――などについて、政府の認識をただしました。

 冒頭、川田議員が消費税について海外では食料品の税率を抑えている国があるとの事例を紹介したところ、石破総理は「きちんと検討させてもらいたい」と答弁しました。

 学校給食の無償化をめぐり川田議員は、それにより「給食の質が下がらないようにすべき」と強調。有機給食や地産地消の取り組みを進め、地域経済が循環することが、地域の農家の所得を増やし、食糧自給率の向上にもつながると述べました。

 食品安全委員会がPFASのリスク評価についてまとめた「食品健康影響評価書」に掲載されている参照論文が、事前の論文選定で7割以上が差し替えられていた問題を川田議員は追及。「国民の命に関わる問題」であり、「今生きている私たちだけでなく次の世代にも関係」してくる問題だと批判しました。


■吉川沙織議員
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 吉川議員は、(1)就職氷河期世代を取り巻く各種問題と統計等データ(退職所得課税・通勤手当の在り方含む)(2)社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案と就職氷河期世代の課題――等について質問しました。

 冒頭で吉川議員は「30歳で議席を預けていただき、今年で18年目。初めての国会質問2007年11月20日の厚生労働委員会で就職氷河期世代の問題を取り上げた」旨を発言。18年前はこの世代だけの問題だと矮小化されがちだったが、その後、幅広く理解を得て危機感を共有したいとの思いで質問を重ねてきたと語りました。

 「就職氷河期世代の中でも特に長期間自宅に閉じこもっている引きこもりの状態にある方について政府としても継続的に実態を把握していく必要がある」と指摘。5日の予算委員会で40歳から64歳の最新の調査が検索エンジンで検索対象にならないことからアクセスしやすい環境整備を求めたことに関して確認し、少子化若者男女共同参画担当大臣から重要性を考慮し改善されたとの答弁がありました。石破総理に対しても国民への情報公開の観点から大事な調査結果の引き継ぎ等について政府としても配慮すべきと吉川議員は念を押しました。

 そのうえで、5日の参院予算委員会で、同じ会社に長く勤めるほど優遇される退職金課税の見直しに言及した石破総理の認識を確認。5日の予算委員会で退職金の性格について説明を求めたのに対し「退職後の特に老後の生活の糧であり、累進税率の適用を緩和する必要があるため給与所得とは別の所得累計とされている」との旨を加藤財務大臣が答弁したことを確認。一方で石破総理は「雇用の流動化をどう考えるべきかということだと思っており、雇用の流動化というものが妨げられないような退職金に対する課税のあり方をまだ答えが出ていない」などと答弁したことを取り上げた。また、3月19日の予算委員会では田島議員の質問に「雇用の流動化と退職金を論理として結びつけることは考えていない」と石破総理が答弁したことから「結局どっちなのか」と質問したが明確な答弁は示されませんでした。吉川議員は「大手人材会社の50代の10年間転職が12倍に上がっているというデータがあり、現在の退職金課税が雇用の流動化を妨げているとは言い難いような状況にある」と指摘。拙速な見直しをするなという声が地方議会からも上がっていることなども取り上げ、統計データをはじめとする客観的な根拠を踏まえて議論することこそが必要だとくぎを刺しました。