「前回の緊急事態宣言の解除から約1カ月。1カ月でまた宣言をしなければならないのは、完全に政府、大阪府、東京都等の失敗であると言わざるを得ない」(松尾明弘議員)。

 東京、京都、大阪、兵庫の4都府県に対し、特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令することを政府が決定したことに伴い、衆院は23日、議院運営委員会を開催。西村康稔経済再生担当大臣による決定方針の報告および質疑が行われ、松尾明弘議員が質問に立ちました。

■政府の失敗と菅総理の説明責任

 質問の冒頭、松尾議員は前述のように政府の失政を指摘するとともに、菅総理の説明責任を追及しました。松尾議員は「菅総理は『再び宣言をしないようにするのが私の責務』とまで話していた。そもそもなぜ今回はコロナ対策本部長である総理による報告がないのか。非常時には責任者である総理自身の言葉で語らないと、国民の理解が得られない」「あまりに無責任ではないか」と述べました。これに対し西村担当大臣は直接は答えず、菅総理が自分と同じ認識であり「総理からも、さまざまな場面においてコロナ対策について、丁寧な説明が今後もなされるものと思う」と答弁しました。

■具体的な努力目標

 次に松尾議員は「緊急事態宣言を通じて、いつまでにどのような状態になることを目指しているのか」と、政府が具体的な目標値を想定しているのか、ただしました。前回の緊急事態宣言では、東京都の新規感染者数が1週間平均で297人まで減少したところで解除した結果、約1カ月後に再々宣言になってしまった、と指摘。「変異株の感染者が増えていることも踏まえると、これを上回る状態では解除できないのではないか」とただしました。これに対し西村担当大臣は「全体を見て判断していく」「ステージ3、さらにはステージ2を目指していく」と述べるのみで、新規感染者数などの具体的な数値を示すことはありませんでした。

 また松尾議員は前回、西村大臣が「500人以下」という具体的な数字を示していたことにも触れ、「やはり具体的なイメージがないと、国民の心も折れてしまう。結局、実効性が失われてしまう」と、改めて食い下がりましたが、西村担当大臣は「(新規感染者数は)あくまで1つの指標」「分科会で指摘されたように、医療体制も注視する」との説明を崩しませんでした。

■宣言の実効性を担保する具体的な施策

 再々宣言にあたり「国民に対して何度も要請するだけではなく、宣言の実効性を裏付け、感染者数を減少させるための政府の『具体的なアクション』には何があるのか」と、松尾議員がただしたところ、西村担当大臣は「お酒類やカラオケの設備を提供する事業者には休業要請をし、それ以外の事業所については午後8時までの時短要請をする」「これについて都道府県は、一軒一軒見回りをし、呼びかけを行っていく」と答弁。また「そうした取り組みを行いながら、休業あるいは時間短縮する事業者に対し、必要な支援策を行っていきたい」とも説明しました。

■実態を踏まえた補償や支援

 西村担当大臣が答弁の中で触れた休業や時短要請に応じた事業者への支援について、松尾議員は「やはり飲食店以外の事業者も大きな影響を受ける。それなので実態を踏まえて行われるべきだ。例えば、休業要請の方が時短要請よりも金額が少ないとか、大規模施設だけれども1日20万円など少額であると、なかなか理解が得られない」と述べた上で、大臣の意見を求めました。西村担当大臣は「しっかりと支援を行っていきたい」とは述べたものの、必要な支援策については「今、最終の詰めを行ってるところだ」と述べるに留め、具体的な話はしませんでした。

■「zeroコロナ」政策の実行

 最後に松尾議員は「この1年間の知見、経験であったり、諸外国の成功事例がある。これらを参考に、われわれが提案しているzeroコロナ戦略で述べている大胆な見直し――PCR検査の充実や医療機関の支援、水際対策の徹底、補償と自粛をワンセットにする――これらをきちんと行って頂きたい」と訴え、この日の質問を終了しました。

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