参院決算委員会は7日、2019年度決算外2件の締めくくり総括質疑をおこない、立憲民主・社民の2番手として福山哲郎幹事長が菅義偉総理らに質疑しました。

 福山幹事長は、今年158日間のうち137日間が緊急事態措置もしくは、まん延防止等重点措置の期間となっており、COVID-19の感染がおさまらない状況が続いていることに、「復興五輪というオリンピック・パラリンピックのスローガンも、コロナに打ち勝った証というスローガンも、全く国民の共鳴を得なくなりました。残念ながら五輪(オリンピック・パラリンピック)は、政権を維持し選挙に臨む切り札のように言われていることに私は極めて遺憾に思う」と述べました。そのうえで、IOC(国際オリンピック委員会)の委員が、日本が緊急事態宣言下でも総理が中止を求めても「五輪を開催できる」と発言したことに菅総理が何も反論していないことに対して、「総理が何も言わないことは、逆に東京で開くオリンピックの国民の思いが折れてしまいます」と述べ、総理も「開催の可否を判断できる」と言ってほしいと求めました。

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 さらに福山幹事長は、菅総理が再三述べている「安心・安全の大会」を開催するために「開催を可能とする医療体制、感染者の数、そういった仕様や判断基準を示す必要があるんじゃないでしょうか」と誰もが納得できる判断基準を示すべきではないか質問しました。丸川担当大臣は、「シミュレーションをまず見て、それがいったいどのように日常の医療に負荷をかけるのかということをしっかり見てまいりたい」と答弁。福山幹事長が「いったいいつまでに出されて誰がシミュレーションしているのか」と追及すると、丸川大臣は「期限は申し上げられないが、議論しながら進めている」と述べるにとどまりました。菅総理も「国民の命と健康を守ることが大前提になってますから、そのことを私にとっては基準としたい」と明確な答弁をしませんでした。これを受けて福山幹事長は、「私は尾身会長の分科会に正式にこのオリンピックに対しての条件をどうしたらいいのかを諮るべきだと思います。それはなぜかと言うと、これまでの緊急事態宣言の、例えば人流を抑えること、飲食店の問題、国民全部が分科会の提言を受けてやってきたわけです」と提案しました。しかし、西村担当大臣も菅総理も「専門家の意見を聞いて判断する」と述べるのみでした。

 6月20日までが緊急事態宣言の期間となっていることについて、「20日が解除か延長かもう1回決める時です。6月の16日に国会が閉会します。いつそれを決めるつもりですか」と国会開会中に判断するのか閉会中になるのかを質問しました。菅総理は「状況を見ながら判断する」と明確な答弁をさけました。

 また、福山幹事長は、4、5月の新規入国者の中で五輪関係者が何人いるのかを質問。内閣官房の担当者は、五輪関連で入国した選手と大会関係者は4月が991人、5月が1012人と答えました。さらに福山幹事長は、入国の際に通常宿泊施設などに待機をするところ、特段の事情があり緩和されている人として五輪関係者が何人いるのかを確認。4月が991人中865人、5月が1012人中842人でCOVID-19陽性者がそのうち3人いたことに「なんで関係者も含めてオリンピックだけこんなに緩和をするんですか。それも問題のインド株が発生してる、日本政府が新たに規制を強くしたインド、マレーシアそしてベトナム、イギリス全部これに入ってますよ」と強く指摘。「規制強化すると言いながら大きな穴が空いているんじゃないですか。オリンピックだけこういう状況を放置してるから、そして何の基準(で判断している)かも分からないから、オリンピックをやるかやらないかを取っても頑張れと言えないじゃないですか。強くこのことについての反省と感染防止や対策基準を提示していただくように求めていきたい」と述べました。

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 福山幹事長はまた、「総理、6月はプライド月間です」とLGBTなどの性的マイノリティーの人たちが権利の向上を呼び掛ける月であることを紹介。菅総理に性的指向および性自認を理由とする差別は許されないものである認識をもっているかただしました。「あってはならないことだ」と答弁する菅総理に対し、「自民党総裁として、LGBTの議連案について、『とにかく自民党まとめて法案を提出しよう』と議連と一緒にやれるという指示を出して頂けませんか」と要請しました。「指摘の法案は議員立法であり政府としてコメントは差し控える」と消極的な答弁の菅総理に、福山幹事長は「全く答えていただかなかったのは極めて残念」と述べました。

 最後に、福山幹事長は五輪開催について、「オリンピックをやったら日本の感染拡大が広がって逆効果だった、逆に人の命が危なくなったという状況になることを私は非常に恐れています。国会を延長して、こういった議論をちゃんとやっていただくことをお願いしたい」と述べ質疑を終えました。

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