福山哲郎幹事長は7日、参院決算委員会での締めくくり総括質疑を終え、質疑の受け止めについて記者団に次のように話しました。

■東京オリンピック・パラリンピック大会

 今年になってから158日間中137日間も、実は開催都市の東京で緊急事態措置、まん延防止等重点措置がとられています。このことに対する経済的な苦しさ、国民の我慢も含めて限界にきているということをまず申し上げたかったと思います。さらには復興五輪というスローガンも色あせ、コロナに打ち勝った証というのは全く国民の共鳴するところではなくなった中で、オリンピックは政権を維持し、選挙をする上での切り札のように言われていることについて非常に遺憾に思っておりましたので、そのことについては今日、申し上げさせていただきました。
 私も選手や関係者、長年携わってきた方々のことを考えると、できれば開催させてあげたいと思いますが、こういうコロナの状況の中で、何が何でも強行に開催すればいいというものではないという前提でお話をさせていただきました。
 IOC委員の緊急事態宣言でも開催できるとか、総理が止めても開催できるという発言は主権国家として許されないと私は考えたので、菅総理にぶつけましたが、明確な答えがなくて非常に残念な思いをしました。
 さらには海外から10万人近い方が入る。最初の方に申し上げましたように、オリンピック関係者は実は14日間の待機がほとんどの方、9割の方が選手でもないのに緩和をされていると。このことについて非常に問題意識を持ちまして――新たな変異株が持ち込まれる可能性、感染者数増加の可能性、感染拡大のリスクが大きくなる――4月、5月はオリパラ関係入国者が1,000人ずつでしたが、6月には何人入るのかと聞いたところ、はっきり言いませんでしたけれど、昨日の事前の通告では全く答えてもらえませんでした。分かりやすく言えば、6月は圧倒的に今の1,000人よりもたくさん入国されることは自明ですので、その中で医療体制の崩壊を避けること、感染拡大を避けること、水際対策をどうするかについて全く政府から説明がありませんでした。
 だからこそ、政府が述べている安心安全な大会を開催するために医療体制や感染者数等の指標や判断基準がいるのではないかと申し上げたところ、そのことについてもシミュレーションだとか分析だとか言っていましたが、それをどこでやっているのか、いつ出すのかも答えない。全くもって不誠実な答弁と言わざるを得ません。
 だからこそ、分科会に正式に諮るべきではないかと申し上げました。尾身会長の最近のご発言からもありますように、これまでずっと日本のコロナ対策の対応にあたっていた、分科会の尾身会長としての発言があるわけですから、正式にお諮りしたらどうだと言っても、そこには全く明確な答弁がない。それでは6月20日の解除はされるのかと言ったら、分科会に聞くと。ダブルスタンダードもいいところでして、ちょっとあのような答弁を国民の前でされることに、信じられない思いでした。
 国会延長についても明言されませんでしたし、6月20日の解除について(閉会日の)16日より前に決めるのかどうかも言われませんでした。
 加えて、地域の訪問看護師さんの事例を挙げさせていただきました。病院がひっ迫して病床利用率が60%、70%、80%、90%になっているということは、それだけ自宅待機の方が病院に入れないという事実は、先程紹介したようなことが全国で、とくに近畿は非常に厳しい状況で行われていると。先程の訪問看護師さん、実はSNSで今、沖縄に行っていると連絡が来ました。そういった一人ひとりの人生がコロナ禍の状況である中で、今の政府の姿勢は私は、あまりにも無責任だと思うので、今日の答弁を聞いても非常に残念な状況でした。
 選手、関係者が来れば、下手をすれば日本人と感染者がぶつかって、病床の選択をどちらにするかという命の選択が迫られる可能性も感染の拡大如何によってはあり得るわけですから、最悪の状況をどう考えてオリンピックをするならする、というのが政府の責任だと思いますので、そのことを申し上げたかったのですが、なかなか伝わったとは思えません。
 そして具体的に、4月、5月のオリンピック関係者の突出した待機の緩和について紹介をさせていただいた。オリンピックと言えば、ほとんどスルー。14日間の待機、それもインド株の要注意株になったところまでそういう状況だということもあり、片方では国境を強化すると国民に言い、一方ではオリンピックについてはそこを通り抜けて行くと。こういうダブルスタンダードは本当に危険だと僕は思います。国民に対しても、感染者に対しても不誠実だと思います。
 そして二言目には検査、検査と言いますが検査を昨年、あれだけわれわれが言ったのを否定していたのは一体どこの政府だ。37.5度の熱を出して、どれだけの人たちが不安に思ったことかと思った時に、少し私は怒りました。

■LGBT法案

 今、世界中のメディアが日本のLGBTの対応について記事にして報道しています。多様性が憲章に書かれているオリンピックの開催国であのような差別的発言が繰り返された中で法案が国会に上程されませんでした。自民党の一部の議員の反対でとん挫していることについてはLGBTの当事者、そして応援をしている皆さん、そして国際社会が本当に信じられないという思いで日本を見ています。
 コロナの問題、LGBTの問題、多様性を旨とするオリンピック開催国として本当に適した政権なのかと言わざるを得ないと思いますし、森さん(東京オリパラ組織委員会前会長)の女性蔑視発言を含めて、国民や国際社会が歓迎してオリンピックをやるというのが一日一日はずれてきているのではないかと、非常に残念に思っています。総理がこの段にあたって、もっと思い切った発言をしてもらえると思っていたのですが、「差別は許されない」までは言われましたが、法案については結局、逃げられました。とても残念に思います。
 菅総理のリーダーシップは全く見えない。コロナについても全く見えない、というのは私の率直な感想です。
 ほかにも総務省の接待問題の報告書、農水省の鶏卵業疑惑の報告書、赤木ファイル、(入管施設で亡くなった)スリランカ女性のビデオ等々の提出を含めて質問の準備をしていましたが、全く時間がなくて質問できませんでした。総じてこの政権は、国民に全く説明をしない、情報を開示しない、ダブルスタンダードだということは明らかだというふうに思います。