立憲民主党は8日、「新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案」(通称:日本版EUA整備法案)を衆院に提出しました。同法案は、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新型インフルエンザ等の急速なまん延に対処し、国民の生命と健康を保護するため、その治療用特定医薬品の指定及び使用に関し、特別の措置など必要な事項を定めるものです。提出者は、中島克仁、原口一博、松原仁、大島敦、山井和則、津村啓介、逢坂誠二、青柳陽一郎、重徳和彦、稲富修二の各議員です。

 米国では、食品医薬品局(FDA)が緊急時に未承認の医薬品の許可をしたり、既承認薬の適応を拡大したりする制度「緊急使用許可(Emergency Use Authorization:EUA)」の枠組みを通じてワクチンが迅速に供給されていますが、日本では緊急時に対応できる柔軟性をもった制度がありません。こうした現状を踏まえ、平時からパンデミック等の非常事態を想定した対策を講じるものです。

 具体的には、(1)新型インフルエンザ等の治療に有用な適応外使用の医薬品に係る厚生労働大臣の指定制度導入(2)新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の使用に係る保険適用の法制化と副作用救済給付の実施の法制化(3)需給のひっ迫時において、当該薬品の供給の確保を国が責任をもって行うこと(4)生産体制の整備に対する財政上の措置等を講ずこと――等を盛り込んでいます。

210608 ポンチ絵.jpg

 法案提出後の記者会見で新型コロナウイルス感染症ワクチン接種に関する課題検討ワーキングチーム座長の中島議員は、「新型コロナウイルス感染症のまん延、長期化、さらに変異株の脅威によって国民の命と健康が脅かされている。特に第3波、第4波においては感染が確認され、ご自宅や宿泊療養施設で待機されている方に医師の診察どころか薬も出されておらず、その経過のなかで命を落とされた方もいる。今後も変異株の状況によってはそのような状況が繰り返される懸念もある。今ワクチンの接種が進んでいるが、感染対策の原則はワクチン接種と治療薬・治療法の確立。救える命が救えない状況を一刻も早く改善するため、この車の両輪でコロナの局面を大きく打開するとともに、経済活動再開への道を開くことが重要との観点で議員立法の提出に至った」と趣旨を説明。

 現在、厚生労働省は、医療機関向けの「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」のなかにイベルメクチンなど薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)上の承認は受けていないが、新型コロナウイルス感染症の治療薬に 転用が可能な別の疾患用の既存薬(いわゆる「適応外使用」の医薬品)として10種類の薬剤を公表していますが、厚労省として推奨するかどうかに関しては非常に曖昧な状況です。中島議員は、「イベルメクチンなど適応外使用は、医薬品副作用被害救済制度の対象とはされておらず、現場の医師が使いたくても確保できない状況にある」と指摘。「与党の皆さんにも受け止めていただき成立させていただきたい」と述べました。

20210608_150546-.jpg

【概要】新型インフルエンザ等治療用特定薬品指定法案.pdf
【法案】新型インフルエンザ等治療用特定薬品指定法案.pdf
【ポンチ絵】新型インフルエンザ等治療用特定薬品指定法案.pdf