参院議院運営委員会が17日開催され、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の対象地域の変更と期間の延長について、西村康稔経済再生担当大臣から報告を聴取しました。「立憲民主・社民」会派を代表して、横沢高徳議員が質問に立ちました。

 政府は緊急事態宣言の対象地域に7府県(茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡)を追加し、まん延防止等重点措置を新たに10県(宮城、山梨、富山、岐阜、三重、岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島)に適用し、期間は、8月20日から9月12日までとする方針です。これにあわせて、東京など6都府県(埼玉、千葉、神奈川、大阪、沖縄)の宣言と6道県(北海道、福島、石川、愛知、滋賀、熊本)の重点措置の期限も9月12日まで延長されます。

 また、新型コロナウイルス対策の基本的対処方針には、感染リスクが高いとされる百貨店や大規模商業施設における入場制限の要請などが盛り込まれます。医療提供体制については、症状が悪化した際に確実に酸素投与や治療につなげられる施設の整備や酸素濃縮器(酸素濃縮装置)の確保、軽症の患者などへの「抗体カクテル療法」用の医薬品を対象地域の医療機関に配布することなどが盛り込まれます。

 全国的な感染拡大について横沢議員は「ここ1週間の感染者数を見ると、爆発的な感染拡大であるステージ4は38都道府県、徳島県と秋田県を除けば、ほぼ全国が感染者急増のステージ3以上。都市部では、適切な医療を受けられずに、多くの方が不安の中、自宅で療養されている」と危機感を示し、「重症者数も7日間連続で最多を更新している中、パラリンピックはこのような状況でも開催するのか」と西村大臣にただしました。西村大臣は16日におこなわれた政府や東京都などによる4者協議で、パラリンピックの観客について、すべての会場で原則無観客とすることを決定したと報告しました。

 オリンピック開催時の水際対策について、「入国後に感染が確認されたケースは、空港検疫の倍の数だった。そもそもバブル方式には限界がある事が明らかになっている。来日したパラリンピック関係者からの感染拡大や、逆に市中からパラリンピック関係者への感染も考えられる。障がいを持っているパラリンピック・アスリートの中には感染した際にリスクが大きい選手も考えられる」と問題点を指摘しました。その上で、「もし、選手が感染した際には、東京の今の医療現場の状況で適切な医療が受けられるのか」と西村大臣にただしました。西村大臣は明確な答弁を避け、パラリンピックにおいても医療体制を組んでいると答弁しました。

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 横沢議員は「6月17日のこの委員会で緊急事態宣言を解除する際に、『オリパラを開催するにあたって、感染拡大をいかに抑え込めるかが最も重要だ』と大臣に提言し、大臣も『しっかり対応し、感染拡大を抑える』と答弁されていた」と振り返り、「オリンピック中の感染大爆発、そして、パラリンピック前の今が最大の感染拡大ですよ!最悪のタイミングでのオリンピック・パラリンピックの開催となってしまい、私自身も非常に心苦しいところがある」と元パラリンピックアスリートとしての複雑な思いを明かしました。その上で、「大臣の言っていた事と真逆の現状になってしまった」と政府のコロナ対策の失敗を強く批判しました。西村大臣は自身も含めて、国民の多くがオリンピック選手の競技から感動を受けたとし、パラリンピックの観戦も感染拡大につながらないようテレビを通じてお願いしたいと答弁しました。

 横沢議員は学校現場での子どもたちへの感染拡大に懸念を示し、「後手後手の対応となる前に、先手先手で、緊急事態宣言を全国へ発出して、感染拡大を抑えなければ、経済を回すに回せないのではないでしょうか。宣言を全国に出すべきではないでしょうか」と西村大臣に強く訴えました。西村大臣は分科会で全国への発出の意見があったと報告し、危機感を共有していると答弁しました。

 16日に発表された4-6月のGDP(国内総生産)について、EUは+8.3%、米国は+6.5%、日本は+1.3%だったと紹介し、今後の経済対策について、西村大臣に見解を求めました。西村大臣は昨年に比較すると企業の設備投資意欲が戻っていると述べ、感染防止を最優先に、経済を民需主導で成長軌道に乗せていくための必要な対策を講じていきたいという考えを示しました。

 横沢議員は「コロナ感染大爆発、大雨被害、やはり今こそ国会を開いて、与野党超えて、議論する必要があるのではないでしょうか」と呼びかけて、質疑を終えました。

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