衆院厚生労働委員会で25日、閉会中審査がおこなわれ、立憲民主党の3番手として中島克仁議員が質問に立ちました。中島議員は、新型コロナウイルス対策基本的対処方針分科会の尾身茂会長に感染状況の今後の見通しについて、田村憲久厚生労働大臣に抗体カクテル療法の活用について尋ねました。

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■感染状況の見通し

 中島議員は東京都の感染状況について、新規感染者数の1週間の増加率が少なくなり、ネット上でピークアウトが近いのではないかと囁かれていることを取り上げ、尾身会長に見解を尋ねました。
 尾身会長は、都道府県が発表する新規感染者数は保健所に報告された数であり、保健所が疲弊していて陽性者の周辺調査が追い付いていないこと、感染の疑いがあってもPCR検査を受けない人がいること等から実態とは一致しておらず、実際には感染者数がもう少し多いとの認識を示しました。そして、「傾向として、感染拡大のスピードが鈍化しているとしても、下火になっているわけではなく、ピークアウトではない」と警鐘を鳴らしました。

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 尾身会長は、人流が60%から70%減った地域では感染が下火になるという実績があり、感染を抑制するのは「人々の行動にかかっている」と強調し、コロナ患者のみならず、がん治療などの通常医療の提供体制のひっ迫を食い止めることを皆が認識して、できることをやらなければいけないと訴えました。
 中島議員は、政府と東京都が、改正感染症法に基づいて都内すべての医療機関や診療所、医療従事者に対し、入院患者の最大限の受け入れやさらなる病床の確保、宿泊療養施設などへの派遣を要請したことについて尾身会長の見解を尋ねました。
 尾身会長は、改正法に基づく医療機関への協力要請を以前から提案していたので今回の要請は「良かった」と評価し、「法律を含め、あらゆるリソース」活用して医療提供体制を強化することが大事だと話しました。

■抗体カクテル療法

 中島議員は、重症化を防ぐ抗体カクテル療法(ロナプリープ点滴)について、菅総理が7月17日の記者会見で「十分に確保している」、加藤官房長官が同月28日の会見で「21年分は確保できている」と発言したことを取り上げ、田村大臣に確保量を問いました。
 田村大臣は、秘密保持契約があるので具体的な数字は明かせないとした上で、患者全員ではなく重症化リスクのある方に適切に使う量を確保できているとし、今後もさらに確保できるように努力すると答弁しました。

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 中島議員は、多くの患者が入院できずに自宅療養を余儀なくされていることから、米国で在宅投与を実施している事例等を参考にしながら、自宅療養の患者にも投与する体制を検討してほしいと要請しました。
 田村大臣は、「外来で投与して一定期間モニターした後、自宅に戻っていただく」ことを想定しているとし、自宅にいながらの投与については言及しませんでした。
 中島議員は医師としてワクチン接種に従事し、オンライン診療にもあたって特例承認のイベルメクチンや内服薬を処方しているが、重症化を防ぐために抗体カクテル療法も提供できるようにしたいと述べた上で、「治療の選択肢を増やすのは政府の責任」と訴えて質問を終えました。

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