枝野幸男代表は17日、福岡市を訪れ、坪田すすむ(つぼた・すすむ)福岡第1区総支部長、いなとみ修一前衆院議員(2区)、山内康一(やまうち・こういち)前衆院議員(3区)と街頭演説をおこないました。
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■坪田すすむ第1区総支部長
坪田総支部長は社会保険労務士として企業のサポートや障がい者雇用等の福祉分野に取り組んでいます。学生時代にラグビーに打ち込み、九州初の車いすラグビーチームを設立しました。
坪田総支部長は、社会保険労務士として相談に乗ったコロナ禍に苦しむ事業者や働く人の声を紹介し、感染拡大が一段落してもその影響は続いているとし、「感染が少し落ち着いているからこそ、病床数の確保、医療従事者への支援、保健所の人員の配置――、まだやるべきとはたくさんある。この一連の後手後手に回る政府の対応、責任が重いと言わざるを得ない」と述べました。
岸田内閣について「党の話はよく聞くけれど、国民の話はまだまだ聞かないようだ。国民不在のこの政治は、一日でも早く変えなければならない。本来政治は皆さんのためにあるもの。一日でも早く変えるためには、皆さんの力が必要です。ぜひ立ち上がって、一人ひとり一緒に戦ってください」と訴えました。
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■いなとみ修一前衆院議員(2区)
厚生労働委員としてコロナ対策に取り組んできた、いなとみ前議員は、「政治は次の第6波に向けてしっかり備えをしていかなければいけない。危機感を持ってやらなければいけない」と主張しました。岸田総理が11月の前半にコロナ対策の全体像を示すと表明したことについて「選挙で何を問うのか、何が問われているのか。それはコロナ対策だ。コロナ対策の全体像を選挙の後に示すとはどういうことなんだ」と怒りをあらわにし、昨年から水際対策の着手、ワクチンの確保、GoToトラベルの中止についても同様に政府の対応が遅れてきたことを挙げました。その上で、やるべきことははっきりしているとし、(1)治療薬の開発、既存薬の適用(2)病床確保と看護師等人材の確保(3)検査体制の充実(4)事業者支援――を挙げました。そして、具体策を選挙で競うべきだと訴えました。
福岡県の11選挙区すべてが自民党の議席になっていることに触れ、「コロナ対策がなぜ遅れているかと言えば、国会がほとんど機能していないからだ。国会が、総理が言ったこと、行政が言ったことに異を唱えられず、そのままイエスとしか言えなくなっている。国会をもっと活性化するためには、野党がしっかりと数を確保していかなければいけない。コロナ対策を進めるためには、きっちりと議席を増やさなければいけない。そして政治を変えなければいけない」と述べ、支持を訴えました。
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■山内康一前衆院議員(3区)
福岡県連の代表をつとめる山内康一前衆院議員は、岸田総理が自民党総裁選で訴えた令和版所得倍増計画、金融所得課税の強化、健康危機管理庁はいずれも自民党の選挙公約には入っていことを取り上げ、「岸田さんの総裁選の目玉政策がどんどん無視されている」と指摘しました。「所得倍増計画は公約からなくなったが、その代わり防衛費倍増計画というのが入っている。防衛費のGDP比1%を2%に引き上げる、こんな大きな判断を自民党の政策の中にちょこっと書いてあった。あの宏池会、ハト派の岸田さんが防衛費倍増を言うようになった。もう自民党でハト派は絶滅したのではないか」と話し、それにより行き場を失う中道派、穏健保守層をも結集して今の政治を変えて行かなければいけないと主張しました。
子どもの貧困について、「子どもの貧困は政治の貧困を象徴している。子どもの貧困は子どもの責任ではない。日本では今、7人に1人の子どもたち、約280万人が貧困と言われる状況に置かれ、おそらくコロナの中で増えている。今日本では600万トンの食品が廃棄されている一方、3食満足に食べられない子どもたちがいる。明らか再分配政策の失敗だ」と安倍・菅政権の約9年間、この問題を放置してきたことを批判しました。
そして、「子どもの貧困のない社会を作るために、政治を変えていかなければいけない。今の政治にはできないことだ。貧困や格差に冷淡なこれまでの政治を改めていく。そして、誰一人取り残すことなく、セーフティネットや社会保障を充実させて安心して暮らせる社会、教育や子育て支援の支出を大幅に増やして、安心して子どもを育てられる社会を作っていかなければならない」と訴えました。
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■枝野幸男代表
枝野代表は、自民党総裁選は自民党員しか投票できないが、来たる衆院総選挙は全ての有権者がこの国の政治を動かすことができるとし、「2年近くに及ぶコロナ対策。足元で感染者の数は減っているが、またリバウンドを起こさないように、そして傷んでしまった経済、暮らしを立て直すために、流れを変えませんか」「アベノミクスが始まって9年、いやバブルがはじけてから間もなく30年。日本国経済が低迷し、ほとんどの世帯の家計がどんどん苦しくなってきた。この経済と社会の流れをそろそろ、いいかげんにしませんか」と投げかけました。
消費が伸びない理由として、実質賃金が増えていないこと、子育てや老後の経済的負担に加え、雇用の不安があるとし、「非正規が山ほど増えてしまった。いつ仕事を失うか分からない。ローンを組めない。これでは消費が増えるはずがない」と述べました。立憲民主党が、(1)派遣法の行き過ぎた規制緩和を元に戻す(2)正規でも非正規でも同じ価値の仕事をしていたら同じ賃金がもらえる対等な処遇の制度にする(3)中小零細企業に支援をしながら最低賃金を底上げする──等の立憲民主党の具体的な提案について説明しました。
そして「成長と分配の好循環などというのは起こらない。なぜなら成長をしていないのだから。『成長したら分配します』ではない。成長をさせるためには、アベノミクスで1カ所に偏ってしまった富をしっかりとお預かりをできるのは政治しかない。株価が上がったおかげで潤った、株を持って利益を上げた人に相応の税金を払ってもらおうではありませんか。アベノミクスの恩恵を受けて、べらぼうに儲けて、内部留保を貯めている超大企業には応分の税金を払ってもらおうではありませんか。そうやって国が偏った富をしっかりとお預かりをして分配する。たとえば医療や介護、子育て支援の現場で頑張って、でも非正規で低賃金だという人たちの賃金を上げる。病院の収入は基本的には、健康保険と診療報酬で政治が決めている額しか収入がない。介護だって介護保険で決められた報酬でしかない。保育所は無償化したから税金で民間の保育所だって運営されているから民間の努力で賃金が上げられない。だから政治が決めるしかない。こういうところはすぐにもできる。こういう形で、本当の意味での再分配をする。そのことで老後も子育ても雇用も、不安を小さくすることで、日本の社会と経済を元気にしようではありませんか」と訴えました。
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福岡県連選対本部長をつとめる古賀之士参院議員は、候補予定者3人の専門分野、人となりを紹介しました。
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連合福岡の藤田桂三会長は「今の政治を変えなくてはいけない。変えよう。私たちの最大の権利である投票に行って、その思いを示しましょう。皆さん、最後の最後まで頑張りましょう」と激励のあいさつをしました。
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野田国義参院議員は演説会の締めくくりのあいさつをしました。演説会の司会は、福岡県連幹事長の原中誠志福岡県議会議員がつとめました。
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演説会終了後、枝野代表は記者団の取材に応じました。事実上の選挙戦が始まっての手応えを問われると、「コロナ禍にも関わらず、足を止めていただく方や拍手をしていただける方がいて大変手応えを感じている。そうした皆さんの熱をいかに幅広い皆さんに広げていくことができるのかという戦いになると思ってる」と語りました。
政権交代に向けて党に実行力があるかを問われると、「コロナ対策でも、われわれがが先手先手で国会に法案まで出していたことの方が正しかったのだということは、後手後手で政府が後から追いかけているという状況からもはっきりしている」と述べました。
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