枝野幸男代表は23日夜、新宿駅前で開催された #未来を変えるための市民と野党党首街宣 UNITE FOR THE FUTURE でスピーチをおこないました。

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 枝野代表は、昨年の春過ぎ、オンラインでコロナ禍についてヒアリングをしていた時、ある学生から「政治に私たちは見えていますか」と問いかけられたと切り出し、その学生さんはアルバイトで生活費を稼いでいたその学生さんはコロナでバイトがほとんどなくなり、食べるものにも困り、親に頼るわけにも行かず、自分には何の支えもないと語ったことを振り返りました。

 「残念ながらこの2年近く、いやバブルがはじけてからもう30年近く、この国の政治は、一人ひとりの国民の皆さんの暮らしをしっかりと見つめてこなかったのではないだろうか」「政府の対策は、現場の実態が全く分かっていない。残念ながらこうしたことの積み重ねの中に、将来の夢を諦めた方、せっかく開いたお店を閉めざるを得なかった方、多くの皆さんの日常が、それから夢や希望が奪われて行きました。これはやむを得なかったのでしょうか。仕方がなかったのでしょうか。そんなことはありません。コロナというこの緊急事態に対して、全ての皆さんの、全ての事情を全部受け止めることはできないかもしれない。でも、その努力すらしようとしなかったこの国の政治は本当にいいのか」と問いかけました。あの学生さんに問いかけられたことは「私自身にも突き付けられた課題であると思っています」と表明しました。

 治療を受けられず、自宅で放置をされて亡くなったり、検査すら受けられずに亡くなった後にコロナだったと分かる方までいたことを挙げ、「これはやむを得なかったことなのでしょうか。もちろん感染症そのものは止められません。でも、もっと早く、もっときちんとした水際対策をしていたら、もっと早くPCR検査を広げていたら、いやもっと遡ってこの20年、こんなに保健所を減らし、保健所の人員を減らす、こんなことをしてこなければ、それぞれの地域の拠点となる公立病院があれば、いろいろなものが違っていたのではないかと忸怩たる思いです」と吐露しました。

 今まで続いてきた競争、自己責任の政治に疑問を呈し、「誰にでもいざという時がある。誰にでも困難な時がある。政治は何のためにあるのか。それは、どなたでも必ず人生の中にある自分の力だけではどうにもならない、その時を支え合うために政治はあると私は思っています。その役割を果たすことができない政治は、変わらなければならない。変えなければならない。変えようではありませんか」と呼びかけました。

 また、苦しい時に、困った時に、支えにならないばかりでなく、一人ひとりが自ら選択をして、そして幸せになりたいという思いをむしろ政治が塞いできた例として、選択的夫婦別姓が提起されてから28年以上たっても実現しないこと、同性婚が認められず家族としての法律上の保護が与えられていないことを挙げました。

 多様性について「私たちにはそれぞれの違いがある。その違いを自分と違っているからといって封じ込めてしまうような、そんな社会でいいのか。それを容認してしまっている政治で本当にいいのか。人それぞれに違いがある。どんな選択をしても、そのことで不利益を受けない。そして、厳しい状況におかれた時には支え合う。そんなまっとうな政治を取り戻したい」と訴えました。

 福島の原発事故から10年たって「どうも今の政府は無かったことにしようとしているのではないか」「地元の皆さんにろくな説明もせず処理水を海に放出する。原発の新増設をこの期に及んで否定することができない。本当にこれが未来に責任がある政治のあり方なのか。福島の皆さんが味わったあの苦しみと悲しみを少なくとも日本の国内では2度と味わせてはいけない。私は官房長官という最前線の立場にいました。それは私だけではなく、あの時に政治に携わっていた全ての者の責任だ」と表明しました。

 そして「私たちには覚悟と準備ができています。党派を超えて今の政治をまっとうにしなければならない。命と暮らしを守る政治にしなければならない。いざという時に支えになる、そんな政府を取り戻さなければならない。でも、政治を変えることができるのは、政党や政治家ではありません。政治を変える主役は、その力を持っているのはあなたです。この国の主権者はあなたです。あなたの力が政治を動かす。私たちと一緒に変えよう。変えようではありませんか」と力強く訴えて、演説を終えました。

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