立憲民主党青年局は23日夜、代表選挙に立候補している4候補者との政策討論会を開催。それぞれの候補者は、「若者政策について」「青年局をどう活かしていくか」についての政見を表明しました。その後、青年局所属の自治体議員と学生組織「立憲ユース」の出席者が候補者に質問したほか、全国から青年局所属議員がオンラインで参加しました。
 今回の政策討論会は、青年局からは、部谷翔大・山口市議会議員、梶谷優香・中央区議会議員、立憲ユースからは大山倫輝さんが質問し、司会は青年局長代理の境恒春・宮城県議会議員が務めました。

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■小川淳也候補

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 いくつかの観点から私なりに申し上げたいと思うのですが、いま以上にその社会の見通しが効きづらい、時代になってます。昔はやはり、「明日は今日より良くなる」と単純に思えた時代でしたから、若い人たちほど、非常にチャレンジ精神旺盛に、いろいろな社会活動とか、あるいは自分の人生そのものを謳歌できたと思うんですが、いま非常に「明日は、もしかしたら今日より厳しくなるかもしれない」とみんなが思っている時代ですので、割と守りに入る。そして結果として、寄らば大樹ではありませんが、与党、強いもの、大きなものを好む傾向があるんじゃないか。
 それは翻っていうと、いまのこの持続可能性を喪失した社会を、大人社会全体が放置している結果として、若い人たちをそちらに追い込んでるんではないかという責任感を感じております。

 従ってやはり党としてまず、政策の柱に――これも私個人の思いでもあるんですが――持続可能性の回復。社会の持続可能性を回復し、将来に先行き見通しをもたらす事を骨格に据えるべきではないかという気がしております。
 これは、医療や年金、介護といった社会保障もそうです。そして当面はもちろん減税をはじめとした大規模な財政出動の考え方をとるわけですが、将来的には財政構造も含めて持続可能性を回復していかなければならない。
 さらには気候危機、気候変動をはじめとした構造問題もございます。こうした社会全般にわたる課題に対してまさに青年世代の方々にしっかりと刺さる持続可能性の回復ということを政策の柱に、将来の目指すべき社会像の柱に据えていきたいという思いを持っております。

 その上で、私も旧民主党時代から、青年局での活動、あるいは活躍されてる皆さまとのいろいろな接点もありましたけれども、いかにその声をしっかりと運営に活かしていただいて吸い上げる努力をして、そしてまさに――よく旧民主時代言われました、国会議員中心の党じゃないかという批判とか、あるいはそれでは寂しいんだというお声も沢山いただいてきました。
 ですから例えば地域組織づくり、――これは党員やパートナーズの皆さまからも上がっている声でありますけれども――青年局所属の将来ある若い議員団の皆さま、そして党所属の党員やパートナーズの皆さま、こうした地域のネットワークを十分に組織化する努力、そして支援を党中央として、しっかりおこなっていかなければならないと思っております。

 もう一つはやはりジェンダーの問題も絡んでくると思うんですね。
 この間、女性の立場から政治になかなか関与しにくい、そして候補者となった方は――もちろん当選して議会で活躍する中でいろいろな困難を抱えていらっしゃる方もいらっしゃると思いますし、なかなか当選に至らずにアフターフォロー、アフターケアを必要としてると――物心両面から必要としてるというお声もございます。
 そしてご存知の通り、いまの日本社会がかなりジェンダーバランスを欠いた非常に問題の大きい状況でございまして、家庭内のいろいろなケアの負担が、――例えば女性に荷重にかかってる。結果として政治や社会に関与していく余裕がなかなか生まれないといったような、社会の構造問題も含めて、この青年局のあり方を考えるときにジェンダーバランス、これも併せて考えていく必要があると思います。

 従いまして、ちょっと繰り返しになりますがやはり持続可能性の回復という超長期の視座を持った政策体系そして社会像、これを私としては党として大切にしていきたい。
 その上で政権の受け皿として党を発展させていきたい。そしてまさに40代以下の皆さまですから、将来を担う非常に活力ある世代の皆さんの声、想いを十分にすくい上げ、汲み取り、そして地域でご活躍いただくようなネットワークづくりを支援したい。
 そしてその過程の中でジェンダーバランスを十分に意識した取り組み、ここに力を入れていきたい。
 そんな想いでこれからの党運営を考えて参りたいと思います。

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■泉健太候補

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 とにかく選挙も、そして立憲民主党もいま変わろう、変えよう、そういう局面じゃないかと思います。
 いろいろとしゃべるよりも、難しいこと言うよりも、とにかくみんなで元気に行動していく、力を取り戻していく、これがまず必要だと思います。

 立場は政調会長でしたので、例えば「若者の身勝手ビジョン」という皆さんが策定したものを受け止めたりしましたし、一緒に議論もしてきました。
 その中で、党の政策の中に被選挙権年齢の引き下げですとか、あるいは立候補休職制度、こういうものは盛り込んで、出来る限り、対話をしてやってこようということで、これまでもやってきましたが、根本的にちょっと、やはり青年局のいまの置かれ方というか、立場というか、これはもう変えなきゃいけないと思ってます。

 私もかつて青年局をやっていましが、やはり一つは自由だった。独自の活動ができた。そして各ブロックごとにそれぞれがイベントだとか、あるいは交流会ができた。
 ですから何かやるごとに、中央に申請して、党本部に申請して決済をもらわないとできないという青年局だと正直魅力がないし、スピード感がない思います。やっぱり青年局予算をもう何百万、一千万ぐらいまでどんと用意をして、そして全国各ブロックの皆さんにそれに基づいて自発的にイベントや取り組みを考えていただく。これが実は青年局の良さなんですね。
 中央から構成されて許された活動をやるということではなく、自分たちで、なかなか党本部ではできないようなことをいろいろと考えて、そしていまの時代やいまの世代に合わせて行って、チャレンジしてみようよっていうことをやってもらうのが、まさに青年局の醍醐味だと思います。だからこそ成長していくんじゃないかと思います。
 そういった意味では、思い切って党本部から青年局に一つ予算をつける、そして各ブロックごとで活動を自由にしていただく。こういうことをまず一つ約束をしていきたいと思います。

 その意味では幹事長部局の下がいいのか、それともそうではなくて、例えば常任幹事会の一員ということで青年局を通じて普段から意見を言えるようにすることも大事ではないかと思います。
 なぜ大事かと言うと、今例えば常任幹事会を開いていても、青年局の存在が見えないんですよ。何か言いたいことがあっても、ベテランの皆さんに言う機会がないわけですよね、役員の皆さんに言う機会がないわけですよね。こんな状態も絶対変えていかなきゃいけないと、そんなふうに思っています。
 こういう青年局そのものの改革と、そして皆さんが活動しやすくすることを是非やっていきたいと思います。

 若者政策で言うと、実は若者政策を並べれば評価が上がるというものではないんじゃないかと思ってます。すでに立憲民主党の若者政策はある程度充実してる、教育政策も充実しているんだと思うんです。ただ、やはり行動が足りなかったんじゃないか。
 もっともっとを各国会議員も大学生と対話をするだとか、あるいはかつて僕が学生の頃、すごく小さい政党だった新党さきがけが日本の大学生からの支持を持っていたことがあったんですよ。さきがけは、フランスの核実験に反対して現地に抗議行動に行くだとか、なんか国会議員たちがすごい行動してたみたいなこともあったんですね。
 やはり動いてるんだと、自分たちのために動いてるんだ、新しい世の中に立ち向かっていこうとしているんだという、そういう行動が若者の皆さんに響くように、まさにこういうところは皆さんと一緒に知恵を考えて行動していく、幹部であり国会議員であり実際議員であるということが必要だと思います。

 今コロナでちょっとなかなか難しいですけれども、本来であれば台湾との交流や、中国との交流や、そういうものもありました。考えてみればいま、オンラインということも可能ですので、例えば国際交流もぜひ若手議員オンラインでやっていただくこともあってもいいと思います。

 そしていま、考えているのは、例えば動物愛護の問題だったら関心がありますっていう人が手をあげて、そして国会議員と対話したり、そしてさらには有識者も呼んで、オンラインでそのことについての勉強会をおこなう、こういうことをどんどんやっていくっていうのが、有機的に、成長していけることになるんじゃないかと思ってます。一緒に殻を打ち破って、元気に活動していきましょう。

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■西村ちなみ候補

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 私は自治体議員の経験が1期4年だけですがございます。私の地元は新潟ですが、その県会議員を1期4年だけ務めさせていただきました。
 その時、党本部にも時々用事があったりして、来ることはあるんですけれども、実は当時、所属していたのが民主党だったんですけども、民主党の議員も新潟県議会議員の中で私ただ一人だった時だったんです。
 なので、政策的にいろいろな話をするにも、なんと言うか心細くてですね、東京に出てくるのも仲間と会えるのは非常に良かったんですけれども、なんとなくちょっと遠いなあというふうに思っていました。
 そういった自分自身の経験から申し上げることができるのは、やはり自治体議員の皆さんからきちんと党本部に対しても物を言っていってもらいたい。政策ですとか、あるいは党運営のあり方についても、いろいろ関与できる仕組みを私は考えて実行していきたいと考えています。
 皆さんからも是非良い知恵があったら教えていただきたいと考えています。

(若者政策について)
 いまの若い人たちは本当に、発想が自由で、豊かで、いつの時代も「最近の若い者はなってない」とか言われると思うのですが、最近の若い人たちは本当になっている。いろいろな意味で、幅広く世界のことにも関心があるし、自分たちで手足を動かして自分のためだけではなくて人のためにも行動できる。そういう行動力も持っておられると思います。
 いま新型ウイルスのコロナ禍で、IターンとかUターンで生まれ育った故郷や全く知らない土地に移住する人も出てくるようになりました。地域の発展の振興のためには、よそ者、若者、ばか者が必要だと言われますけれど、やっぱり若い人たちがそういうふうに元気を出して自分たちの手足を動かして行動するというのは、とても大事なことだろうなという風に思うんです。
 ですからそういう人たちを応援するために障壁になっている法律や税制、こういったものがあればそれはぜひ直していきたいと考えています。

 また私厚生労働の分野で長く仕事をさせていただいてきましたが、働き方の格差、これも深刻だと思っています。
 一つはこの間、長時間労働をさらに強いるような法改正がどんどん進んできたということです。高度プロフェッショナル制度、あるいは裁量労働制の拡大。
 高度プロフェッショナル制度は、これは国会でのさまざまな議論があって導入が見送られることになりましたが、裁量労働制が拡大されますと、どんどん定額で残業代が付かなくて長時間働くということが合法的におこなわれるようになるわけです。
 いま、対象者は限定されているかと思うんですけれども、蟻の一穴になって、これからどんどん広がっていくかもしれない。しかしこれからの若い人たち、日本の社会に生きる人たちには、やはり仕事と生活自分の研鑽のための時間、こういったものをバランスよく、時間を使っていただけるような、そういう形に私はしていきたいと思っているんです。
 ですから高度プロフェッショナル制度は導入しないということ、それから裁量労働制は何とか歯止めをかけるということ、そしてその前提として残業代が支払われないとか、サービス残業とか、こんなことが横行してるというこの社会が、やはり私は若い人たちの時間を食い物にしてると思うんです。これはやはり止めていきたいと思っております。

 それ以外にも、非常に働き方も多様になっているので、ギグワーカーと言われるような働き方も増えてまいりました。
 皆さんの地域にも、なんとかイーツとか、自転車やバイクで走ってらっしゃる方がおられるんじゃないでしょうか。あの方々労働者ではないので万が一自転車でこけて怪我したりしても労災の対象になかなかならないという問題があったりするんですよね。例えば個人事業主だからといって問題が起きた時に公正取引委員会に言っても、あなたは労働者ですねって言われて、たらい回しされてしまうと。こういったことで本当に一人ひとりの生活を大事にしている政治といえるのかと思っています。
 ぜひ私が代表にならせていただいた折には、そういうふうに若い人たちを使い捨てにするような、いまの雇用法制のあり方、これを変えていきたいと考えております。

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■逢坂誠二候補

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 青年局のあり方そのものについては、先ほど泉さんが言ったこと、これに私もほぼ同感です。とにかく青年局の存在感と言いましょうか、党の中でのその重み、これを少しでも私は増していったらいいと思っています。そのために泉さんからも話がありましたが、常任幹事会のメンバーに青年局の局長さんがなるということは私は重要なことだと思っています。

 いま全国の政党組織を見てみると、まだ青年局ができていない地域もあるんですね。県連の中にそういうところもあるようですので、そういったところの青年局を作ることの応援を党本部がやっていくということも大変大事なことかなと思っています。

 さらに加えて、青年局の皆さんに取り組んでもらいたいなと思っていることがあるんです。
 それはいま西村さんが言ったことに関連するのですが、若い皆さんが社会の中で随分と使い捨てにされている。これは本当に大問題なんです。
 それからもう一つ、逆に若い皆さんが、本来社会の中にいくつかセーフティネットがあるのにその存在を知らないがために随分苦しい思いをしている。だからこういったところについても、青年局自らが取り組んで、お互い仲間を助けようといったようなことをやってみるのも一つ良いことかなと思っています。

 若者を考える上でのポイントは三つあります。

 一つは、若いということだけで価値だということです。実際に若い皆さんはそのことがわからないかもしれませんが、若いということだけで価値なんですよ。
 若いということは物を吸収しやすい。いろいろなことに柔軟に対応しやすい。誰とでも仲良くなりやすい。私ぐらいの年齢になりますと、それぞれ利害がありますから、初めて会った人とすぐに打ち解けるなんてなかなか簡単ではないのかもしれないんです。でも、若い皆さんには極めて多様な柔軟性、可能性、これが広がっている。だからその若い皆さんがそもそも持っている本質をどうやって伸ばしていくのか、そのための政策を全力でやるという事が一つです。

 それと裏腹に、もう一つのポイントは、若い皆さんは壊れやすいんです。
 壊れやすいっていうのは心を傷つけやすいとかですね、あるいは場合によってはちょっと苦しい状況になってしまったら次に回復するのが難しいんですね。だから若い頃に、本当は自分はこういう進路で行きたかったのに、それが選べなかった、そのことが今度は30、40、50歳になるまで影響を及ぼすというような、若い時のある時のつまずきが、人生にずっと影響を与えるという側面を持っています。
 だから私は若い皆さんへのセーフティネット、セーフティネットっていうと何か高齢者とか障がいのある方とか、そういうところばかりに目が行きがちですが、若いということの持っているウィークポイントに対するセーフティネットも私は作る必要があると思っています。

 それともう一つ。実は今の若い世代の皆さん、ここにも格差が生まれています。いまの環境の中で生活できている、学校へ通えている人がいる反面、それとは全く違う状況になっている若い皆さんがいま、たくさんおられます。だからここにも、やはりフォーカスを当てなければいけないと思っています。

 三つのポイント。「若いということだけで価値である」「若い皆さんは実は壊れやすい」「若い皆さんの中に格差もある」――こういうことを含めて若者政策を考えていく必要があると思っています。

 私は35歳の時に北海道のニセコという町の町長になりました。当時は全国で一番若い町長でした。いま振り返ってみて、35の時に町長になって、いろいろなことをやったんですが、いまこの年齢で、もし同じような条件で町長になったらあの時のように仕事ができただろうかと思うと、――いまの方がもちろん経験はありますし、いまの方が政治に対しても、いろいろな知識は増えているのは間違いないですが――あの35の時に、私は地盤も鞄も看板も何もありませんでした。無謀にも現職に立ち向かって僅差で選挙に勝つことができて、「まぁひどい。こんな町長、何にもできない」って言われた中で、仕事をスタートしたんですが、あの時の無謀さ、あの時のある種のものを知らないことの勢い、これがあったからこそ、私はいろいろなことができたと、そう思っています。

 その意味でぜひ、青年局の皆さんには、若いということを武器にして、どんどんチャレンジをする。そういう場を私たちは提供したいと思っていますし、そのためにお互いが寄り添うというのは、何か要望があったら来てくださいとか、何か望みはありませんかとか、何か困っていることはありませんか、ではなくて、日常的に何か触れ合う、そういう場を私は多く持ちたいと思っています。

 私が党の代表になったら、全国で車座集会、これを徹底的にやりたいと思っています。その時の舞台設定、主催、そういうものも青年局の皆さんにやってもらういうこともあるかもしれないと思います。

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 候補者間の討論では、(1)世代間平等の観点からの選挙におけるクオータ制(2)主権者教育(3)青年局の体制(4)総選挙で若者の支持を得たとは思えない結果についてどう捉えているか、若者の支持をあげていくための今後の取り組み(5)若手自治体議員の発掘と育成(6)インターネット投票、DX(デジタルトランスフォーメーション)政策――などにについて質疑がおこなわれました。

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