参院本会議は21日、令和2(2020)年度決算について代表質問を行い、「立憲民主・社民」会派から杉尾秀哉議員が登壇しました。

 杉尾議員は、(1)森友学園問題(2)国土交通省・統計不正問題(3)会計検査院の決算検査報告(4)令和2年度決算――などの問題点を岸田総理や関係閣僚らに指摘し、政策のPDCAと独立財政機関(IFI)の設置を提案しました。

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■森友学園問題

 財務省の決裁文書の改ざんに関与させられ自死した近畿財務局職員の夫人が国を訴えていた裁判が、15日に国側による認諾で終結したことについて、「総理も『真摯に説明責任を果たす』と言うのなら、ぜひ面会に応じて、雅子さんに『認諾』の理由などの説明と謝罪を」と迫りました。総理は財務省において損害賠償を全面的に認めるにあたり、財務省に真摯な説明を尽くすよう指示したと説明し、遺族との面会は否定しました。

■国土交通省・統計不正問題

 国交省主導による「建設工事受注動態統計」データの書き換えは、統計法違反の可能性がある上、アベノミクスのGDP底上げが目的だったのではないと指摘もされていると強い懸念を示しました。岸田総理は「国交大臣に法律の専門家も入れた第三者委員会を立ち上げ、1カ月以内に検証を行うよう指示した。その後、総務省の統計委員会で政府統計全体への影響を検証する」と述べました。

■会計検査院の決算検査報告

 会計検査院による「2020年度決算報告」で示された「新型コロナ対策予算」について、2019年度から20年度にかけて65.4兆円にも達したコロナ対策費の約3分の1にあたる23兆円もの予算が執行されなかったことについて、総理に猛省を促しました。また、中小企業庁が実施した「持続化給付金事業」やアベノマスク(布マスク配布事業)などの無駄遣い事業、雇用調整助成金の「不正受給」などの実態について、関係閣僚らにただしました。

■財政運営

 令和2年度決算について、歳出決算額、歳入決算額、翌年度繰越額、不用額のいずれも過去最大と指摘。また、「一般会計のプライマリーバランス(PB)は80.4兆円の赤字で、国及び地方の長期債務残高は1165.7兆円と、対GDP比でついに200%台に達した」と説明。総理に「こうした厳しい財政事情でも、2025年度PB黒字化の目標は堅持されるのか」とただしました。総理は政府の政策はMMT(現代貨幣理論)に基づくものではないという立場を明らかにした上で、「経済あっての財政であり、順番を間違えてはいけない。新型コロナの危機をまず乗り越え、経済を立て直し、財政健全化に取り組んでいく」と答弁しました。

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