衆院予算委員会で4日、令和4年度総予算(新型コロナウイルス感染症対策等)に関する参考人質疑が行われ、亜細亜大学経済学部教授の権丈英子さん、慶應義塾大学教授で一般財団法人「創発プラットホーム」理事の松井孝治さん、放送大学・千葉大学名誉教授の宮本みち子さん、慶應義塾大学経済学部教授の井手英策さんがそれぞれ参考人として意見を陳述。その後の質疑で、立憲民主党からは落合貴之議員が質問に立ちました。

 落合議員は、岸田総理が打ち出している経済政策「新しい資本主義」についての評価と今回の予算案への改善点をそれぞれの参考人に質問しました。

 権丈さんは、「新しい資本主義」について「分配をしっかりやるところに目を配ることがされた」ものと述べ、具体的な制度についても「進めていただくといい」と語りました。

 松井さんは、「新しい資本主義」の考え方には賛成と述べるとともに、資本主義が曲がり角に立っている、あるいは民主主義のあり方が問われているときなので、与野党を含め堂々と議論することを通じ、解決のあり方を競う政治にして欲しいと語りました。

 宮本さんは、「分配に戻り問い直すスタンス自身は歓迎すべき」と語る一方で、例えば親世代は、子どもの教育や将来、自分の老後のためにお金を貯めている状況であるため「大循環は起こるわけがない」と指摘。「こうしたところにメスを入れないと新しい資本主義にはならない」と述べ、「明確で具体的な展望を示せるかどうかが問われている」と語りました。

 井手さんは、「(予算案にあるそれぞれの)施策は全て安倍政権で実施されていた施策であったことを認めざるを得ない」と述べ、「個々の政策が優れたものであることを認めた上で『新しい資本主義』かと問われるならば、そうではない」と述べました。そして、「お金を配るという発想だけではなく、例えば大学の授業料や医療費や介護の自己負担、そういうサービスにまで切り込んでいくことができていれば、もっと広範に、もっと効率的に、人々の暮らしを保証することができた」「そういった議論がなかったことは非常に残念」と語りました。

 さらに、「税に関する皆さんのイメージを変える必要がある」と述べ、「受益と負担のバランスで国民は判断している」「観念・理念の転換も非常に重要なポイント」と指摘しました。

 落合議員はこの他、権丈さんに最低賃金について、宮本さんに就職氷河期世代の問題を抜本的に解決するための政策、社会保障の観点からもコミュニティを再生するために行政や政治が打つべき手段について、井手さんには社会保障としての住宅政策について質問しました。

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