西村智奈美幹事長は3月15日、「持続可能な社会ビジョン創造委員会」の一環として、同委員会委員の委員で、パラレルキャリア研究所代表、一般社団法人クロスオーバーキャリア理事長の慶野英里名(けいの・えりな)さんと党本部で対談。持続可能な社会に向けて政治がすべきことなどについて意見を交わしました。
慶野さんは、都内の出版社にフルタイムで勤務しながら、2018年に「パラレルキャリア研究所」を設立。複数の仕事やキャリアを持つ働き方を世の中に広めるための講演活動や、研修を行っています。会社勤めをするなかで(1)自分の配属、キャリアパスを自分で決めづらい(2)女性が会社員として働くのが大変な世の中である――という2つのギャップに気づき、自分の希望通りのキャリアを描くためには社外で自ら行動することが大事だと、パラレルワークという働き方を実践したと言います。
西村幹事長は、日本ではジェンダーギャップ指数(※)が低く、特に「政治」と「経済」の分野で順位を押し下げていて、非正規雇用者のうち女性の割合が圧倒的に多いことや、男女間賃金格差(男性=100に対し2019年は女性74.3%)など女性が働きにくい環境にあるなか、パラレルワークは、それを別のルートから解消しようとする取り組みに見えると評価。「持続可能な社会とはどういう社会か」と尋ねると、慶野さんは「個人の人生のさまざまなフェーズにおいて自分で選べること。世の中の流れ、変化が激しい時代のなかで、現状がダメになっても別の仕事を自分で選べることが個人の人生を持続可能にしていくと思う」と述べました。
慶野さんは、選択できる社会に向けて、個人が仕事内容を選べることが大事だと強調。「自分のなかのコアスキルが、仕事人生を生き抜く上の大きな武器になる。そこを選べないと幸福度も低いし、武器を磨いていくモチベーションも沸きづらいと思う。働く場所、暮らす場所を選べることも大事。世界的には、望まない転勤は人権侵害と思う人の方が多い。最近は日本でも望まない転勤をなくそうという大企業が増えてきたのはとてもいいこと。テレワークがもっと普及していけば望まない離職やキャリアの変更を余儀なくされる人は減るのではないか」などと提起しました。そのためには、企業の自助努力に任せるだけでなく政治の役割が重要だとして、「企業の経営や、労務管理のしやすさが優先されて個人の選択肢が犠牲になることが多い。企業の側にもインセンティブが働くと、個人のウェルビーイング(心理的にも、身体的にも、社会的にも健やかな状態)を達成するために前向きな姿勢に変わっていくのではないか」と話しました。
西村幹事長は、新卒で入社した社員の3割が3年以内に退職するという現実がある一方で、日本ではいまだに「新卒一括採用」で企業での人材育成が前提となっていて、一度つまずくとなかなか挑戦することができない社会でもあると指摘。再チャレンジ、中途採用をする企業も限られているとして、頑張る人を応援できる仕組みづくりを進めたいと述べました。
慶野さんからは最後、「立憲民主党は、多様な世の中を実現できると政党だと期待している。世の中は本来は多様であるのに、例えば働き方では『正社員』『男性』といったマジョリティな人ばかりにスポットが当たり、それ以外の人がどんな困りごとを抱えているのか、幸福にいきいきと働くために何が必要なのかが忘れ去られていたところがある。ようやく世の中で『多様性は大事』だということが共通認識になりつつある段階なので、世の中の多様性を担保していくための仕組みに変えてほしい」とメッセージ。西村幹事長は、立憲民主党をはじめ超党派で提出した議員立法「労働者協同組合法」(2020年12月成立、22年10月1日施行)にも触れ、「これからも多様な働き方、多様性を担保する法律、制度をつくっていきたい。いろいろな選択ができ、その選んだ場所が安全で安心できるものであるように取り組んでいきたい」と力を込めました。
(※)世界経済フォーラムが毎年公表。2011年3月発表された「ジェンダー・ギャップ指数2021」で日本は156カ国中120位