参院本会議で3月22日、「地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案」の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決、成立しました。採決に先立ち参院会派「立憲民主・社民」を代表して小沢雅仁議員が反対の立場から討論に立ちました。

 小沢議員は反対理由として、(1)本来目指すべき分権社会に向けた税源移譲がなされていない(2)固定資産税について、商業地のみ税額の上昇幅を半分に抑える措置が残された(3)効果が不明確な「賃上げ促進税制」が地方税にも盛り込まれている(4)燃料の高騰が国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしているなか燃油高騰対策が講じられていない(5)地域医療構想に基づき再編を行った医療機関に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の創設が、公立病院の統廃合を誘導する懸念がある(6)森林環境譲与税について、今回の法案では手つかずとなっている――の6点を挙げました。

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 「地方交付税法等の一部を改正する法律案」については、2022年度の地方交付税総額や地方が自由に使える一般財源の確保や臨時財政対策債の大幅抑制、交付税特別会計借入金の償還額増加などを一定評価した上で、問題点として(1)地方交付税率の引き上げなど地方交付税の財源不足への抜本対策が行われていない(2)赤字地方債である臨時財政対策債の一層の縮減・廃止が求められる(3)職員数の増加にかかわらず、給与関係経費自体は減少している(4)税収及び交付税総額の見通しへ懸念がある――の4点を挙げました。

 今回の地方財政計画では、保健師、児童福祉司、一般職員を含む計画人員が純増傾向にあることは評価した上で、総人件費抑制政策を転換し、給与関係費・人員の確保をはかるとともに、会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の均等待遇を前進させるべきだと主張。税収及び交付税総額の見通しをめぐっては、政府が実質GDPを2.6%と見込み、22年度は3.2%の見通しで税収を見積もっていることに、「内閣府が2月15日に発表した21年の国内総生産速報値は、前年比1.7%増にすぎない。異常な円安、『悪い物価上昇』、ロシア情勢など今後の経済は不透明であり、税収減や交付税の減額による混乱が生じることのないように強く求める」と述べました。

 小沢議員は最後に、1993年に国会の衆参両院で採択した、「地方分権の推進に関する決議」では、地方分権推進委員会はその最終報告で、「税財源の地方分権は、国・地方を通ずる行財政全体の構造改革にとっても重要な要素であり、むしろ不可欠の手段」と強調していると述べ、「持続可能な安心して暮らせる地域を目指し、協働と共生の社会を創るうえで、税源移譲を中心とする地方税財政制度の改革はまだ道半ば。分権・自治の観点で日本社会の構造転換を図ろうという大きな視野での取り組みを強く求める」と訴え、討論を締めくくりました。

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