(2022年4月19日更新)
立憲民主党は3月29日、「新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案」(通称:コロナかかりつけ医法案)、「新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案」(通称:特定医薬品特措法案)を衆院に提出しました。今回提出した2法案は、政府が提出した薬機法等改正案の対案です。
薬機法等改正案には、緊急時の迅速な薬事承認を可能とするための緊急承認の整備が盛り込まれていますが、審査期間は短縮されるものの、製薬企業の申請前提の仕組みは変わらず、後手後手の対応となってしまいます。
また、政府はコロナ禍での自宅療養者等への対応といった課題を踏まえ、感染症法等改正案の提出を検討してきましたが、今国会での提出を見送りました。第6波では自宅療養者が急増し、必要とする人が医療にアクセスできない状態が続きましたが、政府の対応では国民の命と健康を守ることができません。
そこで立憲民主党は、新型コロナウイルスの有用な治療薬を迅速に開発・生産・確保して、「コロナかかりつけ医」がスピーディーに治療薬と医療を提供するため、2法案を提出しました。法案のポイントは以下の通りです。
【コロナかかりつけ医法案】
○高齢者等のハイリスク者が「コロナかかりつけ医」を登録
○「コロナかかりつけ医」が(1)平時:コロナ対策等の健康相談、症状がある場合の検査を実施(2)患者、濃厚接触者になった場合:健康観察、医療提供、入院調整(症状悪化の場合)
【特定医薬品特措法案】
○製薬企業の申請がなくても、国主導で有用な治療薬を迅速に確保するための仕組み創設
○国が治療薬の研究開発から生産体制整備までをサポート
立憲民主党は、この2法案と、今年2月に提出した「オミクロン・感染症対策支援法案」を加えた3法案を薬機法等改正案と並行して審議することを与党に求めています。
法案提出後のぶら下がり会見で、中島克仁筆頭提出者は、「国内の製薬メーカーが承認申請中であるものの、国産のワクチンや治療薬は諸外国から大きく出遅れている状況である。新型コロナのまん延が長期化する中で自宅放置死が多発しているが、政府は医療システムの変更など具体的な対策を示せていない」と問題提起しました。その上で、「二度と自宅放置死を招かないという趣旨から、われわれは新型コロナ対策として、必要な方が必要な時に確実に医療にアクセスし、タイムリーに安全な治療薬が行き届くためにこの2法案を提出した」と提出の趣旨を述べました。
またオンラインで会見に参加した、自宅放置死遺族会の高田かおり共同代表は、「新型コロナウイルスが怖いのと、医療につながれない、どうして良いか分からないという状態も不安で恐怖。その解決が、自宅放置死や同じ悲劇を繰り返さない一歩になるのではないか」と評価しました。
「コロナかかりつけ医法案」の提出には、中島克仁、阿部知子、山井和則、牧義夫、青柳陽一郎、重徳和彦、山崎誠、篠原豪、野間健各衆院議員が参加しました。
「特定医薬品特措法案」の提出には、中島克仁、原口一博、松原仁、山井和則、柚木道義、小熊慎司、青柳陽一郎、重徳和彦、稲富修二、徳永久志、中谷一馬、藤岡隆雄各衆院議員が参加しました。
2022年4月19日、自民党、公明党等の反対により否決されました。