泉健太代表記者会見(冒頭・泉健太代表・小川政務調査会長・参院選公約発表記者会見)

2022年6月3日(金)10時33分~11時46分

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/fHMDjYC-aYc


■冒頭発言(参院選公約発表)【当日配布資料PDF形式添付】

20220603【会見配布資料】泉代表会見・小川淳也政務調査会長・参院選選挙公約発表記者会見.pdf

■質疑(参院選公約発表)

■泉健太代表記者会見・冒頭発言

■泉健太代表記者会見・質疑


■冒頭発言(参院選公約発表)

【司会(事務局)】
 それでは、参議院選挙公約について発表を行います。まず、泉代表からご説明いたします。

○2022年参議院選挙公約を発表

【代表】
 おはようございます。
 皆様のお手元に公約集を配らせていただきました。立憲民主党、この夏、2022参議院選挙の公約、発表させていただきます。
 改めてですが、「生活安全保障」重点3本柱ということで「物価高と戦う」「教育の無償化」「着実な安全保障」を既に発表しているところでありますが、今回はそれを含めたトータルの公約集ということになります。基本的な構造として、この最重点の3本柱、最重要な3本柱と、そして、その他の政策ということで、重点政策10項目。この中には、後ろのページのほうにインデックスというか、主な政策項目というものも載せさせていただいております。
 さらに、冊子化すると膨大なページ量、100ページを超えるものになる、いわゆる政策集というものがあります。これを含めて網羅的に我々としてこの政策ということになります。ですから、この中に書かれていないものでも、その政策集の中に書かれているものがあるということをご理解いただきたい。全てを冊子化することはできませんので。我々としては、全国民から政調で政策公募を行って、約1300件の公募をいただきました。これも大変尊い、貴重なことでありますし、そして、これまでの政策項目、たぶん1000項目近くぐらいになると思うのですが、その中から、こうして冊子の中には250項目ほど、正式には254項目掲載させていただいております。254項目に絞り込みをさせていただきました。
 この中で、政調会長からも昨日も少し事前に説明はさせていただいていますが、3ページ目です。前文というか、我々としてのリード文を載せています。この30年間の我が国の衰退、そして格差拡大、こういった問題意識を強く持って、それを打破する。この30年間の衰退と格差拡大を変えたい、改革したいというのが、我々の「生活安全保障」であります。  生活者の目線に立つ。生活目線に立つ。これが非常に重要だと思っておりまして、安全保障というのは、この文章にも書かれているとおり、「国家の平和から経済、暮らし、雇用、教育、食料、エネルギー、デジタル、社会保障、全てに関わる概念」であると。だからこそ、こういったものを、生活の目線からもう一度見つめ直す。再構築していくということであります。
 この数日の間に予算委員会で岸田総理と議論も行いましたが、やはりそのときも、経済においても国家目線でのみ見るのか生活目線で見るのかでも対策は随分変わってくるということはお示ししてきたと思います。
 教育についても、ただ単に国家目線で「子ども・子育て費用の倍増」と言っているだけでは、実は何も具体的に変わっていない。我々が言うように「教育の無償化」の中に具体的なメニューを盛り込むことによって、これこそ生活目線であると思っています。我々こうして「教育の無償化」という言葉を、児童手当の高校までの延長、1万5000円への引上げ、給食費の無償化、大学授業料の無償化というふうに具体的に明記していくことで生活目線というのがよりクリアになってくると思います。また、こうした「教育の無償化」を進めることによって、改めてですが、この衰退してきた我が国の国際競争力、成長の力、産業競争力、こういったものも回復させていきたい。そんな思いも持っております。
 安全保障についてもやはり同様だと思います。国家目線でただ軍備を増強するという考え方ではなく、まさに国民の命、平和を守るという観点から、これも予算委員会で質疑もさせていただきましたが、例えば国民保護、こういった点については政府は全く無策であるということが明らかになりました。改めて、国民の命を守るために、限られた国家予算の中でどのように防衛費を考えていくのかということを表現すれば、当然「着実な安全保障」。中身のない数字ありきの防衛費ではだめだということを、改めて、これは与党側からも声が上がっておりますが、我々として着実な、あくまで真に必要な防衛力を整備する。こういう考え方で表現させていただいております。
 また、核共有などについても、当然のことですが、自民党内でも議論がなされて、全く国民にとって実益のないものだということは自民党の調査会でも明確になりました。その核共有の議論を今から進めるという政党は本当にとんちんかんというふうに思います。こういうことがあってはならないと思います。
 さて、この3項目を中心に、4から10、「医療・健康・コロナ対策」「雇用・年金・ベーシックサービス」「経済・産業・イノベーション」「環境・エネルギー」「地域・農林水産・災害対策」「人権・女性・障がい・多様性」「政治・行財政改革」ということを書かせていただきました。どれも重要な項目であり、我が党は調査会を設置して、その中で集中的に、民間有識者も交えながら議論を重ねてきたものを、この公約の中に盛り込ませていただいております。
 特に、我が党として、先ほど産業競争力の話もしましたが、経済、産業、安全保障、これは真正面から立憲民主党は語っていくし、そして、国民の皆様に安心していただける、信頼していただける政党でありたいと思っております。
 環境政策などで言えば、2030年までに省エネ・再エネ投資を200兆円規模、民間投資も含めてでありますが、これをぜひ実施していきたい。大きな市場をつくっていきたいと考えております。それによって250万人の雇用が生まれるということも含めて、こういった市場の形成ということにも取り組んでまいりたいと思います。
 また、私個人として特に、基本的には政調による政策の積み上げに委ねておりますので私から個別に一つ一つ全て表現をああしろこうしろということはしておりませんが、一方で、私が特にこだわらせていただいたのは、児童手当のところについては関係部門とよく意見交換をさせていただいて、最終的に、最初の党の部会というかワーキングチームの中の議論ではいわゆる1万円の給付から全てを1万5000円にするということではなかったわけですが、一律1万5000円という形にさせていただき、所得制限もなくすということを明確にさせていただきました。
 そして、我が党の売りというか、ある意味、主要な政策。この4から10の中で言えば、コロナのかかりつけ医ですね。これは今、感染者(数)が少し落ち着きつつあるとはいえ、やはり医療へのアクセス権が軽視されているというのは由々しきことだと思っていますので、このコロナかかりつけ医はぜひ実現していきたいと思っています。
 また、消費税の5%への時限的引下げ。これも予算委員会で触れてきましたが、やはりとても重要な政策であると思っております。そういったことを中心に、我々、この文書を作らせていただきました。
 加えて言えば、自民党は、岸田政権、「新しい資本主義」と言いながら、やはりアベノミクスの継続・堅持ということがもう明らかになりましたので、ここは我々と大きく違う。結局のところ、「分配なくして次の成長なし」と言っていた岸田政権は、全く分配策を示すことができていないという状況の中で、我々は「分配による次の成長」をまさに進めていくという政策を並べさせていただいております。
 また、先ほども少し触れましたが、国家予算が当たり前ですが限られている中で、防衛費2%というのはそれだけで5兆、6兆、そして消費税の2%分に当たるというものであって、これを年間1兆円ペースで増やしていくという自民党に対して、我々は、繰り返しになりますが、真に必要な防衛力は整備する「着実な安全保障」ということでありますし、それよりも、その5兆、6兆というものを、優先順位で言えば、やはり教育。こういったところに回していく必要が、優先度が高いと、このように考えているところであります。
 まず、私からの説明は以上とさせていただいて、その他もし皆様からのご質問等々があれば、私、そして政調会長のほうでお答えさせていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。


■質疑(参院選公約発表)

【司会(事務局)】
 それでは質疑応答に移らせていただきます。まず公約の関係のご質問からお受けしまして、その他の一般的なご質問については後半でお受けしたいと思いますので、ご協力をお願いしたいと思います。質問は挙手をいただいて、指定された方は後ろのスタンドマイクでご質問ください。

○2022年参議院選挙公約について

【毎日新聞・宮原記者】
 冒頭発言でも、公約について、生活目線であると。国家目線とは違うというところを挙げ、今回の参院選での与党との対立軸になってくると思うが、特に政策に落とし込んだときに、生活目線・国家目線という、具体的にどういったところがより顕著に対立軸になっていくと考えているかが一つ。
 もう一点が、代表は代表選のときから、支持層を広げる、ウイングを広げるということをおっしゃってきたと思うが、今回の「生活安全保障」という言葉も含め、安全保障を前面に出すことで保守層の取り込みというのも図ったのかなと思うが、そういったところはどういった意識があったか伺いたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 まず、この生活目線と国家目線。先ほども少しお話ししましたが、経済においてより顕著に今見られていると思います。帝国データバンクの調査で、最初は3000品目と言われていた物価高が、今、1万品目に達しようとしていると、きょう発表もあったと思います。それぐらいに物価が上がっているにもかかわらず、今の金利ですとか円安の状況について無為無策なのが岸田政権であります。
 現に、これを年換算すれば国民生活の負担は間違いなく数万円単位で高まっていく。生活が圧迫される、消費が圧迫されるということに対して、我々立憲民主党は、年金について支援給付金を上乗せするということも書かせていただきましたし、最低賃金の引上げ、これはきのう(法案提出した)、中小企業が正社員を増やした場合に中小企業へ社会保険料の助成をするということも含めて、賃上げがより実施されやすい環境づくり、これも訴えてまいりました。そして、消費を落とさないための消費税の引下げという形で、この減税、給付、そういったさまざまな施策を通じて、生活目線で、可処分所得の観点から、購買力の観点から経済を見る。大きくそこが目線が違う部分だと思います。
 安全保障政策においても、これも先ほどの話にあったように、ただ単にいわゆる防衛費を高めていけば国民が安全になるというほどこの世界は簡単ではないということを、もっともっと我々は訴えていきたい。ですから、真に国民を守るというのはどのようなことなのか。これは対話外交ということがまず大前提にある。だからこそ、これも予算委員会でも繰り返し訴えてまいりました。周辺環境の緊張を緩和させる取組、これは対話外交で行っていくべきことでありますし、それに加えて、我が国が防衛力を増強するということは当然周辺国もそれ以上に防衛力を増強する可能性がある。いわゆる軍拡競争をただ惹起する、招くという立場に立つのではなく、真に必要な防衛力を整備するということとともに、この緊張緩和に当たっていく。
 こういうところは、全て我々、国民目線・生活者目線だからこそ出てくる発想だと思うのですね。そういうことを対比させて訴えていきたいと思っています。

【毎日新聞・宮原記者】
 支持層の拡大の部分については。

【代表】
 支持層の拡大。これは政党であれば支持層の拡大は当然のことですので、あらゆる努力をして拡大していく。そういうときに、私は、立憲民主党の、まず立憲主義、まっとうな政治、あるいはボトムアップとか、支え合いとか、こういうものはこれからも堅持しながら、そして、当然政権を担う政党を目指しているわけですから、安全保障においても、産業や経済政策においても、我々が真正面から語っていく。その意思を示すということで、安全保障という言葉を載せさせていただいたということです。

【毎日新聞・宮原記者】
 政策についてもう一点だが、異次元の金融緩和の見直し、「市場との対話を通じながら、見直しを進めます」とおっしゃっているが、具体的にどのように見直していくか伺いたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 アメリカ、ヨーロッパが次々と利上げに動く中で、この金利差もまた円安の一つの要因だと言われている。そして、それによって物価高がこれだけ広範に広がっているという中で、我が国が金利の政策についてどのようなスタンスを示すのかということで言えば、私たちはアベノミクスを脱却する、見直しをするという意思をどのように示すかということが今問われていると思います。
 手法というのはさまざまあって、それは我々が予算委員会でも述べたアコードの見直し、共同声明の見直しですね。あるいは、見直しを検討するということそのもののメッセージも、また何かしら市場に対してのメッセージになるかもしれない。このメッセージの度合いというのはさまざまあると思いますが、一つは、このアコードについて言及をしていく。考え方を示していくということ。
 あるいは、我が国、日銀が大量に保有し続けてきたETFですとか株というものについて、今後どのような考え方を示していくのか。そういった選択肢があると思います。
 こういった選択肢を市場との対話を横目で見ながら、どのように展開していくのかということが、今、政府に求められている。何もしないわけにはいかないと思います。

【東京新聞・井上記者】
 今回の公約の関係だが、昨年の衆院選の後から今まで、これは泉さんが代表になってからの期間と重なるが、大きな変化としてロシアによるウクライナ侵攻があると思う。ウクライナの問題というのが、今回の公約をつくるに当たってどのような影響を与えたのか。また、具体的にそれを受けて変えたり新たにつけ加えたような政策があれば教えていただきたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 やはりウクライナ情勢によって国家安全保障ということは大きく注目されたと思います。ただ、安全保障そのものは、経済安全保障、エネルギー安全保障、食料安全保障は、既にウクライナ情勢が起きる前から言葉としても注目を持たれていたものでありますので、これまでの流れに加えて、このウクライナ情勢の激変というものは我々がこの政策をつくる上でも重視いたしました。その意味で、当然ながら、我が立憲民主党は党の綱領でも自衛隊そして日米安全保障条約を軸にして我が国を防衛していくという政党でありますので、こういったものを改めて全国民の皆様に基本的な姿勢を明らかにすること。そして、その基本的な姿勢の中で、今、我が国に求められているだろう防衛政策を我々として言及させていただいた。
 しかし、日本とウクライナは決して同じ環境ではない。それは、両国ともロシアの隣国ではあるけれども、ウクライナはアメリカとの安全保障条約やNATOとの安全保障条約を有していたわけではない国でありますし、ウクライナはロシアと既に直接的な紛争を抱えていた国であるなど、諸条件に違いはありますので、NATOに倣ってとかウクライナに倣ってということではなく、まさに我が国に応じた我が国のオリジナルの防衛政策というものを構築していく必要があると。そういう考え方で記載させていただきました。

【東京新聞・井上記者】
 もう一点、安全保障のところだが、日米の役割分担を前提としつつ専守防衛で着実な防衛力整備などとあるが、今までも何度か質問に出ているかと思うが、いわゆる敵基地攻撃能力保有についての考え方を改めて伺いたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 今いわゆる敵基地攻撃能力と言われた言葉を自民党は反撃能力と言って、それは具体的に何かと聞いたら、防衛政策のことなので個別具体にはお答えしかねるということで、結局実態がわからないわけですよね。実態がわからない中で、どのように、どんな防衛装備品を確保するのかということまでわからなくなってしまっては、そこにただ闇雲に予算をつけるということは、難しくなってくると思います。そして、どういった敵の拠点なりを攻撃する意図を持つのかということについても、これはもう自民党が明確にせねばならない。何を考えているのかを明らかにせねば抽象論のままになるし、抽象論のままでは予算をつけることはできないということになるのだと思います。
 改めてですが、敵の攻撃を防ぐ手段。これはさまざまあって、立憲民主党として言えば、従来のミサイル防衛ということは当然能力の変化に対応して改善していかなければいけないというところはありますし、また、サイバー、宇宙、電磁波というものを活用して何ができるのかという検討はやはりしなければいけないと思っています。

【東京新聞・井上記者】
 立憲としては、相手領域への攻撃能力を持つこと、いわゆる盾と矛の、矛の能力を持つことについて、どのようにお考えになるか。

【代表】
 今ほどお話ししましたように、実はサイバーというのも、防衛省に先日聞きましたら、武力行使には当たる、しかし海外派兵には当たらないとか、新しい技術の何がどのような解釈になるのかということを一つ一つ丁寧に確定させていくこと、これがやはり極めて重要だと思うのですね。決して、何かこう、やったらやり返すとか、概念的な話だけでは済まない。法律的に、また、これは岸田総理も国会答弁で述べていますが、当然ながら憲法ですとか、日米安全保障条約ですとか、そういったものの枠の中でという話でありますので、我々もそういった緻密な議論を重ねて、何ができて何ができないのかということをより詰めていきたいと思います。

【朝日新聞・藤崎記者】
 大きく2点、公約について伺いたい。一つは今の安全保障に関わる部分だが、今回、ウクライナ情勢とかサイバー攻撃とか新しい文脈とともに、政権を担っていくという責任から打ち出されたということだったが、党内にもいろいろなお考えがある中で、今回の公約で打ち出されるに至るまでの経緯、党内での議論というのをどうご覧になったのか。立憲ならではの安保というのはどういうふうに打ち出されるお考えだったのか。そこら辺のお考えをお聞きしたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 基本的には、党の中に各調査会を設置して、そして部会もありますが、部会や調査会の中で議論を積み上げていただいて、そこは何か私がその時点で口を挟むというものではなくて、まさに党内で議論をしていただいて、そして、最終的にはこの全体の取りまとめをしていく中で、政調会長の下で2度の全議員政策懇談会を開いて、そこでもご意見をいただいて決まってきたということで、当然さまざまな政策においてさまざまな立場からの意見が出る。これは民主的な政党として私は普通の姿だと思っていますので、その上でこういう表現にまとまってきたというふうに理解しています。

【朝日新聞・藤崎記者】
 もう一つは、今回公約の中で公募を実施されたと思う。旧民主系で言うと十何年ぶりのことなのかなというふうに理解しているが、その中で「市民参加の行政改革」というのを入れられたり、選ばれた政策、どうしてここを選ばれたのかとか、また、一連の流れは、青空集会などで皆さんが声を聞くという形をこの半年取られてきたと思うが、そういったところとの連関がもしあるようであればお聞かせいただきたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 実は公募というのも一つの意見を聞く手段であって、それ以外にも立憲ボイスというものがあったり、あるいは、今言っていただいたように青空対話集会の中で教えていただいた政策というのもあったりするのですね。例えば動物愛護のご意見をいただいて、それはここに載っていなくても政策集の中に入っているとか、そういうものもあります。そういった意味では、本当に多くの国民の皆様の意見の集約によって、この全体ができているというのがまず一つです。
 特に私は、1300件、小川政調会長の下に集められたという中で、今回その中から、今後もまだ検討が続くものもあれば、この現時点で答えを出せていくものがあるという中で、18ページの「市民参加の行政改革」の国民発案権、イニシアティブ制度ですね。これは非常に面白いなと思いましたし、有効に機能させることによって新たな民主主義、市民参加になると思います。
 先日も私は台湾のオードリー・タン大臣とオンラインで対談させていただいて、その中でもオードリー大臣が言っていたのですね。台湾にもこのような国民発案権があって、5000人の署名を集めて、ネット上で署名を集めて、政府に出すことによって、それについて政府が回答するという取組が進んでいるということでありまして、4年に一度の選択とか、立法院選挙や総統選挙のときだけではなく、政策を選択することができるというふうにおっしゃっていました。
 これは非常にいい取組ですし、このデジタル時代に合わせた、合致した取組だと思います。こういう取組がまさに公募の中から出てきたというのは、私は今回新しい取組になったのではないかと思います。

【日本経済新聞・大澤記者】
 安全保障について伺いたい。防衛費のところで、「メリハリのある防衛予算で防衛力の質的向上」という文言を取られているが、今、整備が必要なところで言うと、サイバー、新領域や、ミサイル防衛の迎撃能力向上など、自民党の提案しているものと遜色ない、網羅的に盛り込まれていると思う。この中でどのようにめり張りを利かせ、優先順位をつけていくのか。選挙でどう説明していくか伺いたい。

【代表】
 まず、これまで自民党政権、特に安倍政権の下で行われてしまった、いわゆる爆買い。これはやはり改めるべきだと思います。あるいは突然買いというか、衝動買い、爆買い。中期防ですとか防衛大綱にもあるかないかわからないようなものを急遽導入するだとか、こういうことで防衛政策全体がゆがめられる、混乱するということもこれまでありました。イージス・アショアがいい例だと思います。
 また、それによって、それこそ先日自民党の小野寺議員が予算委員会で質問していましたが、我々も本来整備ですとか自衛隊の隊舎ですとか、こういった自衛隊の待遇・処遇の問題についてももっと予算をかけるべきだと思うのですね。私は、ある防衛産業の町工場というか、お話を伺ったことがありますが、最近そういったところに予算が回ってこない、なぜかと言えば急に自民党政権が大物買いをしてくるので予算がそっちに回らないと言うわけですね。まさに整備ということについて、ちゃんと責任を持って、稼働率を上げるために、いざというときに運用できるように、整備費など、あるいは隊員の待遇改善、こういうこともやらねばいけないと思います。
 加えて言うと、NATO各国は海上保安庁の予算も加えていわゆる防衛費ということの算定を行っております。立憲民主党の領域警備・海上保安体制強化法案の中では、海上保安庁の強化計画も策定すべきだと言っておりますので、やはり海保の体制強化、ここも重視すべきだと思います。

【日本経済新聞・大澤記者】
 代表は以前、現下の安全保障環境を見れば、結果的に防衛費が増えていく方向にあるという見解を示されていたが、防衛費の考え方について改めて伺いたい。

【代表】
 もう何度も繰り返し使っている言葉ですが、真に必要な防衛力を整備する。その結果、増える増えないというのは両方あり得るという話だと思います。当然増えることもあります。

【フリーランス・宮崎記者】
 今の話の続きだが、海上保安庁に関して、知床遊覧船の事故があったが、海上保安庁は第3管区・海上保安本部などに比べると第1管区や第11管区にあまり予算や整備が回っていないのではないかという指摘がある。今、海上保安庁をNATO各国のように防衛費の中に入れて体制整備という話があったが、改めて第1管区中心に、知床の件も含めて、公約の中にはないかもしれないが、いかがお考えか。

【代表】
 公約で言うと10ページ、11ページのところの、黒丸で三つ書かれているところの三つ目の丸に「領域警備・海上保安体制強化法」という文章があります。ここで我々が海保の強化ということを言っているわけですが、今ご指摘があったように、改めて、もちろんいわゆるシーレーンとか主要港があるかどうかによって、船の往来、当然そういった意味での海上保安庁が海の交通安全や人命救助という観点で注力しなければいけないエリアというのはあると思う一方で、何らか船が運航されていて、当然ながらそれが事故があれば命の危険にさらされる可能性があるということであれば、この日本、海に取り囲まれている我が国において、いかに空白地域をつくらないのかということで改めて体制を組み直すということも必要ですし、その救助が最低何分でたどり着けるという体制を構築できるかどうか、これも問われると思います。
 特に日本は南北に長いわけですから、南の海に転落することと、北の冷たい海に転落することでは、生存の時間も変わってくるということも踏まえて、そういった管区ごとの、穴のない、漏れのない体制をつくるということが大事だと思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 これはまだ動いているので政治のほうから発言はないが、第1管区の体制が第3などと比べると整備が少ないといったことも、知床の件で今後考えなければいけないとお考えか。

【代表】
 考えなければいけないというのは、そうだと思います。海上保安庁が現在の体制の中である意味最善、全力を尽くしてきたということもあるとは思うのですが、とはいえ、体制に不備がなかったかどうかというか、装備に不備がなかったかどうか、不足がなかったかということは、やはり冷静に検証して、強化をしていく必要があると思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 参議院から岸田インフレというふうな表現が出て、公約の中ではあくまでも「物価高と戦う」ということだが、岸田インフレに関して、岸田賃上げというか、インフレをしても、その後、その分の賃上げがあって、年金が賃金スライド、物価スライドすればいいのではないかという考え方が最近主流になっているかと思う。この件に関して、賃上げはもうあまり期待できないという認識の下なのか、あまり基本物価のことだけ考えている形なのか。

【代表】
 賃上げが期待できないとは思わないです。そして、「物価高と戦う」というのは、物価高にどう対応するかということを指しているのであって、単に抑えるという考え方ではないということです。物価が上がった分、どのように可処分所得を確保するか。これが大事なんだと思います。
 その意味で、連合もことしは本当に努力をして、近年の中では、2%超えとかよく言われますが、賃上げ努力をしたが、連合の中間まとめの中で、物価上昇のほうが大きくなって残念ながら実質賃金がマイナスになるおそれがあるという報告がなされている。
 ですから、今の岸田政権がつくり上げた賃上げ税制ですとか、やはりこれでは追いつかない。物価高に追いつかないということで言えば、戦えていないということになりますので、やはり一段の政策の強化が必要だと思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 最後だが、政権交代を目指しつつ目先の参院選で勝たなければいけない、特に少なくとも比例で野党第1党にはならなければいけないということで、政策懇談会で若干時間がかかったのではないかと思うが、おそらくその中で目先の参院選ということを考えると1番「物価高を戦う」、それでいて代表としては政権交代を目指して2番3番といったことが入っているのではないかと思うが、その辺はいかがか。

【代表】
 「生活安全保障」なので、1番も、このままいけばもう少し長期にわたって必要かもしれないと思っていますが、今おっしゃっていただいたような認識でよいかと思います。

【朝日新聞・鬼原記者】
 2番の「教育の無償化」について伺いたい。冒頭、泉代表は、所得制限の撤廃についてこだわりがあったとおっしゃった。その理由をまず教えていただきたい。

【代表】
 これは私が2009年の政権交代の以前から、子ども・子育て政策に当時民主党の中で携わってきて、当時からずっと我々が掲げてきたのは普遍主義という考え方です。どのような環境に生まれた子どもであっても、子どもに対する支援はできる限り普遍的であるべきであるという考え方が一つ。
 そしてもう一つは、やはり児童手当のある種一つの限界というのは、前年度の所得によって給付が決まってくるということによって、例えばコロナで家計が急変しても、前の年度の収入があるということで所得制限がかかり、児童手当を受け取れないという世帯も出てくる。そうすると今の生活の苦しみに公助が何も寄り添えないということにもなってしまうということで、やはり子どもの育ちの基本的な支援としてこの児童手当を据えるべきだという考え方からこういった形にさせていただきました。

【朝日新聞・鬼原記者】
 もう一点、財源の話だが、この「経済的支援の拡充と予算の確保」ということをすると、年間どれぐらいの予算が必要になり、それをどう賄う計画なのか伺いたい。

【小川政調会長】
 ご質問は、これ全部ということですか。

【朝日新聞・鬼原記者】
 全部だとあれなので、教育のところに特化して伺いたい。

【小川政調会長】
 大学の無償化で約1.8兆円。
 高校無償化の所得制限撤廃で500億。
 義務教育の給食無償化で4600億。
 児童手当の高校までの延長、金額の積み増し、所得制限の撤廃で約1兆。
 児童扶養手当の加算で1130億。
 いじめ・虐待問題への対応で34億。
 国の科研費の関係で2400億。
 3.7兆円ぐらいになると思います。

【朝日新聞・鬼原記者】
 それはどうやって賄うか。

【小川政調会長】
 財源については、公約集の18ページの下段で歳入改革について触れております。ここで、所得税の累進性の回復、法人税の応能負担、これらについて議論していくと。金融所得課税の総合化を含めて。
 ただ、当面のところ、財政健全化なり、その年々の歳入の帳尻合わせを、最優先して議論するつもりはありません。まず給付をしっかり届けてベーシックサービスを行き渡らせるということが優先すべきことだという考えです。

【朝日新聞・鬼原記者】
 教育国債の発行というのは、私の記憶だと代表もおっしゃっていた気がするが、これはどこかに盛り込まれているか。ちょっと見つからなかったが。

【小川政調会長】
 言葉として教育国債というネーミングはあえて入れていませんが、先ほど申し上げた意味では、とにかく給付をまず先行させるという意味で国債に当面頼るということはあり得ることだと。ただ、中長期でしっかり歳入改革を議論していくという立場です。

【朝日新聞・鬼原記者】
 教育国債を発行するというのは掲げないことになったのか。

【小川政調会長】
 わざわざ教育国債というネーミングはしていませんが、当面、国債も含めて、財源的にそうしたことを使っていくというか、それは否定していません。

【朝日新聞・鬼原記者】
 この前のインターネットの番組でも代表は教育国債とおっしゃっていたような気がするが、これを言わなくなった理由は何か。

【小川政調会長】
 党内にやはりいろいろな議論がありましたから、わざわざ教育国債と言う必要はないのではないかという声もあり、そうした具体的なネーミングについてはわざわざ限定してはいないということです。

【北海道新聞・袖山記者】
 2点伺いたい。1点目は原発だが、新増設を認めないとあるが、これは建替え、リプレースについてのお考えはどうか。
 もう一点が、代表は2月の党大会で、コアを固めながら中道の立ち位置までウイングを広げるとおっしゃっていた。今回の公約では安全保障などについては割と中道向けなのかと思うが、コアに関しての部分だが、例えば自衛隊を9条に明記する自民党案には反対するということが盛り込まれているが、その辺りのコアと中道のバランスというのをどのように取ったのかお聞きしたい。

【代表】
 2点あったので、2点目のほうは私が答えて、1点目のほうは、これまでの経緯を少し政調会長に話をしてもらいたいと思います。
 コア、中道、一つ一つ「これがコアで、これが中道で」というふうなことをしているわけではないので、全体としてというか、我々、先ほどお話ししたように、どこ向けに何ということではなくて、考え方としては、当然立憲民主党は自民党に代わり我が国の政権を運営していくことを前提とする政党であるということを内外に宣言していますので、その意味で、当然現実的に必要なものについては書き込みをしていくということになりますので、そういう表現で全体をつくらせていただいたということに尽きます。

【小川政調会長】
 原子力政策ですが、公約集15ページの下段をご覧いただきたいと思います。ここに「原子力発電所の新増設は認めません」と明記しておりまして、これには基本的にリプレースを含むという理解であります。
 あくまで2050年に向けて、もちろん当面エネルギーの安定供給に努めるわけですが、近い将来、化石燃料や原子力発電に依存しない社会を目指すということを明記しておりますので、その前提でご理解いただきたいと思います。

【「フランス10」・及川記者】
 3ページ目、「『もっと良い未来』に向け、ともに歩みましょう」というのは誰に向けておっしゃっているか。ウラジミールと同じ未来を見てしまって駆けて駆けて駆け抜けると、とんでもない結果になってしまうが、いかがか。

【代表】
 ありがとうございます。
 我々がここで「ともに歩みましょう」というのは、この我が国に暮らす国民の皆さんだということになります。
 確かに外交の中で各国首脳との信頼関係というのは大事ですが、安倍政権においての対露外交というのは大きな誤りがあったと思います。かつて一帯一路に対しても非常に前向きな言葉を安倍総理も出したことがありましたが、そういうものの総括、これはやはりやっていかなければいけないと思います。岸田政権においては、そういった後ろめたさがあるのか、ロシア・中国と今度はほとんど何も語らなくなってしまっているということも問題であると思います。
 ただ、ここで書いている我々の「『もっと良い未来』に向け、ともに歩みましょう」というのは、まさにこれを手に取っていただく方々、国民の皆様に対して言っているということになります。

【「フランス10」・及川記者】
 続いて、予算委員会でも説明していらっしゃるが、アベノミクス新3本の矢があったのを覚えていらっしゃるか。もう意味不明で忘れていたが。新3本の矢が、また旧3本の矢に戻ったということなのか。

【代表】
 それは自民党さんに聞いていただくといいかなと思います。

【「フランス10」・及川記者】
 続けて、36種類あるピンク色のうちの一つで書かれた防衛費について。防衛費については、防衛費を国土の面積で割ると日本は突出している。軍縮政策はどのようなものを考えていらっしゃるか伺いたい。

【代表】
 大きくは核軍縮。そして、一般兵器の軍縮。また、さまざまな危険な兵器についての使用を禁止する条約など、国際社会の中、国連の各機関等々も通じて、日本政府がやはり主導していく必要があると思います。きのうも核兵器に関する条約の会議が行われて、そこでも日本政府も発言しています。こういった取組を具体的に、より、スタッフも増強したりしながら強めていくべきではないかと思います。

【「フランス10」・及川記者】
 「教育の無償化」。高校授業料無償化、所得制限なしとなると、府知事が大阪だけ高校授業料無償化実現できているとおっしゃっているが、ベネッセコーポレーションの調べによると私立高校の授業料は大阪が一番高いということで、私学も入るのか。そして、就学支援金、これによってだいぶ大阪は一番高くなってしまうので、就学支援金はどうなっているのか伺いたい。
 もう一問。岸田総理は聞く耳を持つ。立憲民主党は青空集会で聞く耳を持つ。小川淳也先生においては2003年から、当時は車座集会だったが、ずっと言行一致でなさっている。さて、どちらが聞く耳を持つとお考えになるか。

【代表】
 高校授業料の無償化については、当然、各私立高校も含めれば学費が異なっていきますので、定額ということでの無償化。そこを超える分というのは一部自己負担が出てくるということになるわけであります。
 「聞く力」は、我々立憲民主党のほうが上回っていると。最近、特に岸田総理のその力が落ちているというのを実感します。

【日本テレビ・江口記者】
 エネルギー政策についてお尋ねしたい。ウクライナ情勢を受け、ロシアからのエネルギー資源の輸入禁止などあるが、エネルギーの安定供給が喫緊の課題となっている中で、こうした情勢を受けて、原発を含むエネルギー政策について何か勘案した点があれば教えていただきたい。

【代表】
 このウクライナ情勢において原子力発電というのは両面あって、化石燃料の流通が滞りエネルギー価格が上がるので使うべきという声もあれば、一方で、やはりザポリージャ原発、あるいはチョルノービリとか、そういう形で攻撃を受けるということでの危険性が指摘されている。ですから、少なくとも今、我が国の規制基準を何か緩めたり手続を飛ばす形で再稼働をするなんていうことはあってはならないと私は思います。
 あくまで我が国は、これもですが、各国それぞれ地理的環境が全く違うわけですよね。フランスの原発と日本の原発をただ同じにすることはできなくて、地震多発地帯であったり津波の想定地域であったりということも踏まえて我が国としての安全性が問われるわけですので、あくまで我が国の基準というのは厳格でなければいけないと思います。
 そういうことからして、ウクライナ情勢が起きたから原発を何かするという発想そのものが無理があると私は思います。
 そして、やはり中長期的に考えると、再生可能エネルギーの比率をいかに高めていくか。また、省エネルギーを、いかに技術革新を促進させるか。こういうことのほうが、かつてオイルショックのときに我が国が産業・技術が格段にある意味進化を遂げたことと同様に、これからの社会は必要になってくる。そう思っています。

【日本農業新聞・松本記者】
 農業分野の公約についてだが、水田活用の直接支払交付金の法制化を掲げていらっしゃるが、この背景というか狙いについてお考えを伺いたいのが一点。あと戸別所得補償の復活も掲げていらっしゃるが、この財源をどのくらいと見ていらっしゃって、それをどう賄うのかについても伺いたい。

【代表】
 財源のところは政調会長のほうで答えていただきたいと思いますが、水田活用直接支払交付金は全国の農業者に大きな混乱を与えたと思います。さまざま、米の生産の調整の中で、野菜、品目を作るという中で、現場の実態に合わない、ただ急な方針転換というものが行われてしまうと、計画していた農家農家のそれぞれの収支も狂ってまいりますし、こういうことでは先行きが不透明になってしまう。随分我々も、北海道、青森、さまざまな地域の農業者、私も実際視察をしたり全国からの話を伺ってきましたが、やはり制度の安定性を高めていくということが大事だと思っています。ということで、我々としては、この直接支払交付金を法制化・恒久化という結論にたどり着いたということになります。
 財源については、政調会長から。

【小川政調会長】
 かつての1反当たり1万5000円を復活させるということを前提に、年間で1400億円を予定しております。

【日本農業新聞・松本記者】
 1400億円をどう賄うか。

【小川政調会長】
 先ほど教育予算のところでも申し上げましたが、1対1対応の財源確保はここでは明記していません。当面国債を含めてさまざまな財源を確保しつつ、中長期で所得税・法人税を含めて歳入改革を進めていくというのが基本的な立場です。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 この「生活安全保障」というスローガン、その分配政策のところはよくわかるが、国民の目線でいうと最も関心があるのは食料とエネルギー。これがやはり値段が上がって、日本は買い負けるというか、そういう心配があると思う。この問題について、どこまで立憲が考えているかというのが、この標語に魂が入っているかどうかだと思うが、例えばエネルギー。先ほどおっしゃったように、再生エネルギーまで行く途中でやはり原子力を含めて国策としてある程度動かしていくというようなことを他党はみんな言っているわけだが、このエネルギー有事みたいなものについて、立憲はこの有事になってどこまでお考えになっているのか。もちろん原発を動かせばいいと私は思っているわけではないが、その辺のところがないと、結局リアリズムが足りないのではないかと見える。エネルギーの議論などは基本的には以前と変わらないのか。

【代表】
 ありがとうございます。
 エネルギーの需給というのは常に変わっていますので、何か以前と変わるとか変わらないではなく、当然安定供給への対応はしていかなければいけません。
 例えばウクライナ侵略が起きた初期の頃に、バイデン大統領が日本側にも要請して、備蓄を一部放出するということもありました。今、石油の、化石燃料の供給は逼迫して価格は上がっているけれども、日本が確保できていないわけではないということが一つ。
 そして、この冬とかも電力不足という話があって、一度、前回、都市部でもうあすにでも電力の制限がかかるというようなことが起きたというか、電力会社が発表したことがありましたが、あのときはむしろ、なぜ突然発表するのかということが指摘を受けたわけでありまして、電力不足に対応するということについては、私は、日本国民、日本の事業者、もっと意思疎通ができれば取組が事前にできる力があると思っています。
 そういった意味では、原子力に依存する形ではない方策というのも、十分、我が国の電力を支える方策としては実現可能だと。そういう立場に立っております。

【フリーランス・小山記者】
 この中でちょっと目を引いたものに関して詳しく伺いたい。一つは、「環境・エネルギー」のところに書かれている「『未来世代法』の制定」。1行ご説明あるが、できればもう少し具体像がわかるようにお話しいただければと思う。それから、「政治・行財政改革」、18ページだが、「独立財政機関の創設」とある。「中立的・長期的な観点から財政を調査・評価するため」ということで、財政機関の名前まで決めてあるということだが、こちらについてももう少し詳しい情報が知りたいのでお願いしたい。

【小川政調会長】
 ご質問ありがとうございます。
 未来世代法ですが、ヨーロッパ諸国に例があるとお聞きしていまして、今回、環境調査会でこの考えがまとまったものを受け、公約に明記しています。中身としては、例えばウェールズで、将来世代委員会というものを設けるんだそうです。そこには、おそらくですが若い人たちが集って、交通政策から医療政策まで、環境・エネルギー分野だけではなく、公共政策の30年先の影響をしっかり未来世代の立場から検証して、そして提言を行う。ですから、現世代の利害だけで政治が将来の利益を食い潰さないように。今、日本はそういう傾向が顕著だと思いますが、そういう社会の意思決定の仕組みを変えていこうというのが、この未来世代法の構想であります。
 それから、国の財政に関しても、例えば毎年のように政府が中期の財政見通しとか税収見通しを発表していますが、鉛筆なめているのではないかという疑いを持つことは多々あると思うのですね。そういうことを許さないためにも、ちゃんと立法府の下、国会の下に、中立の観点、また長期的な観点から、きちんと経済・税収の見通しを客観的に中立的立場から行っていただく。これが財政の健全化に向けては非常に重要な一歩ではないかということで、これも諸外国に例があると思います。

【テレビ東京・篠原記者】
 「政治・行財政改革」のところで、被選挙権の引下げについて書かれている。被選挙年齢を18歳に引き下げることによって、政治や民主主義にどのような変化が起こると期待されるか。また、引下げをする場合に、参議院と都道府県知事も同じ年齢に引き下げるということも選択肢たり得ると思うが、現行と同じく、この二つについては5歳上に設定している意図を伺いたい。

【代表】
 私も、この被選挙権年齢の引下げというのは非常に意味があると思っています。それは、議会というのは、多世代、そしてさまざまな背景を持った方々が、多様な視点からの議論を行うことによって、より議論は深まっていくし、答えにも深みが出てくるものだと思っています。選ぶのは当然有権者ということになりますから、有権者が選ぶという意味で、若い方だからいい加減な方が出てくるということにはならないと思いますので、私はぜひこれを実現していきたいと思っております。
 参議院と都道府県知事について、現行と同じく5歳引き上げているというところは、党内でさまざま、例えば参議院に求められる衆議院や一般議会と違う観点ですとか、あるいは、都道府県知事に求められるものがあるという主張もあり、現時点ではこうした二つの基準を設けさせていただいているということになります。

【司会(事務局)】
 公約についてはここで一区切りさせていただいて、政調会長は街頭に行かれると思いますので。

【代表】
 政調会長、ありがとうございました。


■泉健太代表記者会見・冒頭発言

【司会(事務局)】
 この後、既にご周知しているとおり、代表も12時以降の街頭に出る予定がありますので、後半の一般部分は簡潔にご質問いただきたいと思いますが、代表からも短めに何か冒頭があればお願いします。

○国会審議について

【代表】
 では、従来の会見をさせていただきます。
 きょうは午後から参議院予算委員会集中審議、我が党は13時半から福山哲郎議員、14時15分から白眞勲議員ということになります。我が党の姿勢を明確に示しつつ、今の政権の不足している点を明らかにしていきたいと思います。
 やはり、先ほどお話ししましたが、帝国データバンクで1万点を超える物価高になっているということで、岸田総理は、ヨーロッパに比べれば日本の物価高がまだ低いというような言い方をしていますが、これはそもそも我が国はまだ価格転嫁がしにくい国と言われていることも影響しているわけで、さも政府の対策が効いたかのように言うのは、これは大きな間違いであるということだと思います。
 そして、この参議院の集中審議で、今後の国会の動きになっていくわけですが、我々からは主に、一つはいわゆる党首討論をやはり行うべきだということを主張しております。先日の岸田総理との予算委員会のやりとりを見ても、やはり議論不足というか、総理の考えをもっとたださなければいけないと思っておりますので、党首討論を求めていく。これが一つと、参議院の決算委員会の締めくくり総括質疑ですね。これは当然行われるべきものでありますので、この実現を目指してまいりたいと思っております。
 また、旧文通費、調査研究広報滞在費については、今、11時から行われている協議がありますが、国会会期ももう迫ってきております。きょう結論が出るものではないと思うのですが、10回目ということですので、今国会中に結論を得ると、自民党国対委員長もこの使途公開や国庫返納について述べてきておりますので、そこはしっかり守っていただく必要があると思っております。

○「令和臨調」の発足について

【代表】
 6月19日に「令和臨調」が発足大会を開くと。私もそこに参加いたします。
 これまでも元号ごとにというか、臨調がさまざま日本の政治改革・社会構造改革に力を入れ、また、そのリーダーシップを担ってきたということも踏まえて、我々立憲民主党も協力をしていきたいと思っています。

○細田衆院議長のセクハラ疑惑等について

【代表】
 細田議長の発言についてですが、議運で説明を求めています。「10増10減」の話、そして最近のさまざまな報道、週刊誌報道等も含めて、議運での説明を求めていますが、いまだ一向に前向きな反応がないということでありまして、我が党のジェンダー本部として各党の議員の方々と議長へ申入れをする予定となっております。
 議長にはやはり一刻も早く説明をしていただきたいと思っておりますし、きのうもお話ししましたが、いわゆるセクハラということであれば、これは自民党の中での調査というものも当然組織として行っていただく必要もあるのではないかと。人権を守るという意味で、ですね。これもやっていただかなければいけないと思います。

○議員立法「社会保険料事業者負担軽減法案」「ネット投票法案」を提出

【代表】
 また、きのうは正社員を増やした場合の「社会保険料助成法案」、そして本日は10時に「ネット投票法案」を提出いたしました。
 立憲民主党も、この政策提案型というのはこれまでもやってきていることですが、こうしたことも引き続き我々取り組んでまいりたいと思います。


■泉健太代表記者会見・質疑

○細田衆院議長のセクハラ疑惑等について

【読売新聞・北村記者】
 細田議長の件で、一部報道で7日にも不信任決議案を立憲民主党が提出する方針を確認したと出ているが、この点の事実関係をまず確認したい。

【代表】
 そこは国対が基本的に主導してというか、国対の中で戦い方をあれしていますので、基本的には国対に聞いていただくのがよいかと思います。

【読売新聞・北村記者】
 先ほどおっしゃっていた申入れの件で、会期中の説明について議長からきょう回答がなかったということだった。この点も含めて、議長の資質について、代表としてどのように考えていらっしゃるか、改めて伺いたい。

【代表】
 基本的に議長の言葉や行動から発生していることですので、議長の説明以外に手段はないと思っています。

○党首討論の求めについて

【朝日新聞・鬼原記者】
 党首討論のことで伺いたい。党首討論を求めるとおっしゃったが、終盤国会になってきて、大々的に求められるタイミングとしてちょっと遅かったのかなというふうにも思うが、このタイミングになった理由は何かあるか。

【代表】
 ちょっと遅かったとはあまり思っていなくて、基本的には参議院・衆議院の予算委員会。これは党首討論のある意味制度的改善が必要な点だと思うのですが、私も自分が議運であったときに、トータル45分間という総枠しかないというのはあまりに短いと。予算委員会であれば当然、4時間、7時間という時間を確保するのに、党首討論は全ての政党の合計時間が45分しかない。これでは議論が煮詰まらないですね。そういうことを含めて、我々はやはり与党にこの党首討論の改善を求めたいと思いますし、そういう中で、どうしても実のある議論をしようと思うと、予算委員会というものを優先せざるを得なかったという事情があります。
 さはさりながら、私はこの党首討論という制度は、国会が合意してつくった以上は有効に機能させる努力をするということは絶対に必要だと思います。その意味ではやはり1国会に少なくとも1回開いて、そして、さらなる運用の改善を図っていくということも必要ではないかと思います。

【朝日新聞・鬼原記者】
 今おっしゃっていただいたが、現行の仕組みの中で党首討論をやることの意義。今の党首討論の意味合いというか、やることの意義づけについて代表はどうお考えか。

【代表】
 当然、他大臣が答弁をすることのない、党首同士の討論ですので、他の委員会にはない。また、総理も、いわゆる総理という立場に加えて、自民党総裁という立場で答弁が行われるわけですので、そういったところだからこそやりとりできるものもあると思いますので、そういったところをまず重視したいということ。
 そして、この党首討論が45分でもし終われば、おそらく見ておられる国民の皆様は何かしらの不足感というか、「こんなに短いんですか」というふうに思われると思うのですね。私はそれも大事だと思います。だからこそ党首討論そのものを改善しようという機運が高まることにもなる。開かなければ何もわからないということでもあると思いますので、ぜひ開くべきだと思います。

○参院選に向けた取組について

【毎日新聞・宮原記者】
 選挙区調整の関係で、共産党の小池書記局長がきのう記者会見され、12の選挙区について独自候補の擁立を見送ると。ただ、一方で、これまで競合しているところの取り下げというところを考えると鹿児島の調整ということになるわけで、ほかの選挙区では競合するところも結構残るということになったが、これについての受け止めをお願いしたい。

【代表】
 立憲民主党として、3月だったと思いますが、立憲民主党の基本的な綱領や政策というものを我々としては前提としながら、各政党に、この大きな参議院選挙、与野党対決ということを実現していくために候補者調整をしようではないかという申入れを行いました。その申入れに基づいて各政党それぞれでさまざまな観点から考えていただいて、努力をしていただいたことと思います。そういった各政党の検討のご努力については感謝をしたいと思います。
 そういう中で、共産党さんとしても共産党としての取組を発表されたというふうに伺っておりますので、我々としては、この与野党対決、そして立憲民主党自身も野党による改選過半数の確保を目指していますので、その目標に向かって全力を尽くしたいと思います。

○参議院選挙公約について

【日本経済新聞・大澤記者】
 公約について伺いたいが、防衛費の適正規模はどのぐらいだとお考えか。幾つかメニューを揃えられていると思うが。

【代表】
 我々は、適正規模ありきではなく、あくまで真に必要な防衛力を積み上げていく中でどういった額になっていくかというところを、スタートラインなり基準なりに考えています。

【日本経済新聞・大澤記者】
 つまり、その積み上げていく中で、検討というか、今後見えてくるという。

【代表】
 当然、これまでもそうでしたし、これからもそうあるべきだと思います。

【日本経済新聞・大澤記者】
 自民党・政府は弾薬の確保というところで備蓄についても予算が足りないという主張をしているが、その点についてはどうお考えになるか。

【代表】
 私もかつてイージスの議論を国会でしたときに、ミサイルについて足りているのかという指摘をしたことがあります。ですので、備蓄という考え方は一つあり得ることだと思います。
 ただ、いずれにせよ、防衛費だけ何のキャップもなく増やせるわけではないと思いますので、そこは当然国家予算をつくっていく段階で、各省庁からの要求の中で当然優先順位も決められていきますので、やはり優先度の高いところから整えていくということになると思います。

【日本経済新聞・大澤記者】
 優先度というのは、子ども政策という、先ほどの。

【代表】
 防衛費の中でも、ですね。