立憲民主党は、カジノ問題対策本部(※)を6月15日午前に開催。地域経済を壊し、治安を悪化させ、ギャンブル依存症を増やす懸念をぬぐえない大阪のカジノ計画に反対することを党として改めて確認し、政府への申し入れ等、今後の取り組みを進めることを確認しました。
対策本部長を務める泉健太代表は「大阪のカジノ問題についてはワーキングチームを設置して詳細を検討したが、やはり賛成することはできない。理由の一つは、整備計画が法制定時のものから2021年版の計画で、事業目的が大幅変更されたこと。当初は外国人客を多く見積もっていたが、2021年版では主流が日本人客になり、ビジネスモデルを変更した。また、過大な集客予想を前提としている。依存症対策も不十分だ。市民の声を軽視し、格差を広げ、治安の悪化を招く政策を進めている。カジノ計画に反対し党としての取り組みを進めていく」と述べました。
森山浩行衆院議員は、「一流のカジノ会社と提携してやるという当初の話から、次々と企業が撤退し、最後は府民の税金を組み込むことになった。かねてよりギャンブル依存症、海外の犯罪組織流入の危険性、カニバリゼーションによる地域経済へのマイナス効果を指摘してきた。IR施設全体の3%しかカジノ面積を占めないというシンガポール基準についても、換算する面積が限りなく広がることも指摘してきた。今はオンラインカジノに軸足が移っている。儲からず、外国人もかってこない計画に変更しm大きな借金を背負っている。大阪では先日、住民投票を求める署名が府下で約21万集まり、法定数を超えた。立憲民主党としてこうした声を踏まえてしっかり取り組んでいきたい」と述べました。
大阪特命担当の菅直人衆院議員は、「維新は身を切る改革と言っているが、自分の身でなく一般の人の身を切っている。カジノ計画は身を切る改革がいかにインチキか表している。手続きが整えば東京でもカジノをと言っている。大阪だけの問題でなく、参院選の大きな争点だ。一体誰の身を切るのか、明らかにしていきたい」と述べました。
対策本部で政府へ申し入れを行うことを確認し同15日午後、森山副本部長、桜井事務局長、山岸事務局長代理が国交省に出向いて申し入れを手交しました。申し入れ本文は、以下の通りです。
カジノを含むIR事業にかかる大阪府・大阪市の区域整備計画を認定しないよう求める申し入れ
国土交通大臣 斉藤鉄夫 殿
2022年6月15日
立憲民主党カジノ問題対策本部長 泉 健太
第1 申し入れの趣旨
カジノを含む特定複合観光施設(IR)事業にかかる大阪府・大阪市の区域整備計画を認定しないよう求める。
第2 申し入れの理由
1 認識されていながら解決の道筋が明確でない課題
カジノ事業については、(1)外国人専用ではなく国内在住者も利用可能となるカジノは、カジノでの消費と一般消費のカニバリゼーション(共食い効果)により地域経済のマイナス要因となること、(2)大阪府・大阪市はギャンブル依存症対策を行うとしているもののこれまでの取組みは不十分であり、さらにカジノへの来訪者は広域にわたり地方自治体任せでは不十分であることから、ギャンブル依存症の増加のおそれがあること、(3)開業に必要な巨額の資金の多くを借り入れなど外部調達に頼る一方で、集客の見通しが甘く、採算がとれない可能性があること、といった課題が指摘されてきた。これらの課題について、未だに解決の道筋が明確でない。
2 当初想定されていなかった新たな課題
加えて、IR整備法の制定時点において十分に認識されていなかった課題が、新たに指摘されている。具体的には、(4)新型コロナウイルス感染症によって訪日外国人客が大幅に減少しており、回復の見通しが必ずしも定かでないこと、(5)特に訪日外国人観光客の大きな割合を占める中国については、カジノ目的の海外旅行を制限する方針を打ち出していること、(6)我が国において違法なオンラインカジノが急速に広まっているが政府は十分に対応できていないことから、施設型カジノ(ランドカジノ)の収益性が予想よりも悪化する可能性があること、また政府がランドカジノを適切に運営管理できるとは考えられないこと、(7)IR区域の土壌改良のために約790億円の公金が投入されるなど住民負担が発生しており、更なる住民負担が懸念されていること、などである。
3 住民意思の尊重
大阪府では、IR計画についての住民投票を求める直接請求において、法定数を上回る約21万筆の署名が集まった。多くの課題が指摘されているカジノを含むIR事業について、地域住民が懸念を持ち、民意を示したいと考えるのはもっともである。特に、大阪市においては、これまでも大阪市廃止・特別区設置について住民投票を2回も実施して、住民が最終的な意思決定を行ってきた経緯がある。
IR整備にかかる今後の手続においては、数々の課題に関する情報が的確に開示され、住民投票を含めて住民自治が尊重される必要がある。
4 結論
以上を踏まえれば、大阪府・大阪市のIR事業にかかる区域整備計画は、要件を満たしていないことが明らかである。
以上
20220615立憲民主党カジノ問題対策本部申し入れ.pdf
(※)カジノ問題対策本部役員
顧問 菅直人 衆院議員、江田憲司衆院議員
本部長 泉健太代表
本部長代行 西村智奈美幹事長
本部長代理 小川淳也政調会長
副本部長 森山浩行衆院議員
事務総長 後藤祐一衆院議員
事務局長 桜井周衆議議員
事務局長代理 山岸一生衆院議員
オブザーバー 山田健太大阪府議、野々上愛大阪府議