泉健太代表は10月5日の衆院本会議で代表質問に立ち、岸田総理の所信表明に対し、14項目について質問しました。

 質問に先立ち、「台風など自然災害に遭われた方々へのお見舞い」「ロシアによるウクライナへの不当な侵攻への非難」を表明しました。加えて、北朝鮮のミサイル発射に断固抗議することを強調したうえで、「北朝鮮への経済制裁は機能しているのか?あらためて国際社会と協力し、経済制裁の再点検を実施すべきではないか」と疑問を呈しました。

 泉代表は、「臨時国会がようやく開かれた。ずいぶん待たされた。野党各党が、憲法53条に基づき臨時国会の開会を要求したのが8月18日。にもかかわらず政府与党は黙殺した。物価は上がり、コロナの死者数は増加し、総理は国民の声も国会も無視し国葬を強行し、自民党は統一教会との関係を明らかにしない。内閣は改造したが、余計におかしくなっている」として、国葬問題、旧統一教会問題、経済対策など、14項目について岸田総理に質問しました。

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■国会召集について

 立憲民主党は、日本維新の会、共産、社民、れいわ、有志の会とともに、「憲法53条に基づき議員の4分の1の署名で臨時国会を要求した場合は20日以内に召集せねばならない」と定めた法案を3日に提出した。自民党の憲法改正草案でも同様の規定があるので賛成するのかと質問しました。しかし岸田総理は、「これまでもさまざま議論があったが、議員立法なので、国会で議論すべきである」との回答にとどまりました。

■国葬問題

 「安倍元総理の死を悼み、心よりご冥福をお祈りいたします」と述べた泉代表は、「超党派で今後のルールを決定する場を国会に設置すべきと考えている」と、岸田総理の見解を求めましたが、岸田総理は、「国会に設置するかは国会で決めてもらう」と、答えるのみでした。

■旧統一教会問題

 自民党と旧統一教会の関係について、特に安倍派、細田派が深い関係を築いてきたとして、細田議長に対し、「議長が示した一枚紙は全くの説明不足。もっと真相を語るべき」と指摘しました。岸田総理に対しては、「関係が判明したにも関わらず、多くの議員の氏名をなんと非公表にしている。山際大臣を更迭しないのか。自治体議員も点検対象とするべきではないか」と迫りました。

 岸田総理は、「自民党内の特定のグループが、旧統一教会とどのような関係を有したかは一概に答えられない。山際大臣は、引き続き説明を尽くす必要がある。自民党の点検や公表方法については党内で検討している」などと答弁しました。

■経済対策

 今月も値上げが相次ぎ、実質賃金は4か月連続マイナス。収入が物価高に追いついていない。5万円給付の範囲が住民税非課税世帯のみでは狭すぎる。生活が厳しいワーキングプア世帯も5万円給付の対象にすべきと指摘しました。

 その上で泉代表は、「立憲民主党は、物価高と低賃金やコロナに対応する『生活氷河期を乗り越える緊急経済対策』を来週発表し、国民の皆さまに私たちの考えを示す」と表明しました。

 岸田総理は、「給付金の対象範囲について、約1600万世帯と、全世帯数の約4分の1程度をカバーできるようにしている。家計の影響が大きい低所得世帯向けに、プッシュ型で迅速に支援をお届けする」と述べましたが、範囲の拡大についての言及はありませんでした。

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■新型コロナ対策

 行動制限を出さなかっただけで、総理が掲げた「医療難民ゼロ」は崩壊していた。野党の手柄にしたくないのか、立憲民主党が提出した「感染症法等改正案」「かかりつけ医法案」を否決した。与党のメンツで立憲の議員立法をつぶす古い政治を改革し、良いものは成立させるべきだとして、政府の感染症法等改正案の修正協議を呼びかけました。

 岸田総理は、「感染症法の改正案を今国会で出すので国会で議論をいただきたい」と答えるにとどめ、修正協議についての答弁はありませんでした。

■エネルギー政策

 電力ひっ迫が続く中、もっと再生可能エネルギーの普及、省エネ機器や蓄電池、住宅断熱の普及を補助金などで後押しすべき。原子力発電については、自然災害や攻撃を受けた時の影響など、リスクを真剣に考えるべきと指摘しました。

 その上で、立憲民主党は、「省エネ・再エネ」の現実的なプランの策定を行ったとして、「10年で200 兆円規模の投資を行い、省エネ・再エネ市場を拡大させ、2030年までに原発30基分相当の省エネを実現する。再生可能エネルギー比率50%、2013年比30%の省エネ、温室効果ガスの55%以上削減が可能」と説明し、わが党のプランを参考にすべきだと述べました。

■少子化対策

 泉代表は、「立憲民主党は、子ども若者応援政党を宣言します。党に子ども若者応援本部を設置し、子ども若者の育ちを応援していく」と述べたうえで、政府が児童手当の特例給付を廃止したことを批判し、撤回を求めました。また「若年妊娠」についても言及し、「若年妊娠の女性を支えている民間団体への財政支援」を求め、性教育の重要性を説き、学習指導要領の性教育の「歯止め規定」の撤廃を提案しました。

 岸田総理は、「児童手当の特例給付見直しについては、子育て支援全体のバランスとニーズを踏まえた中での対応である」として、撤回については言及しませんでした。「若年妊娠」については、「自治体が費用を補助している」と答えましたが、性教育の「歯止め規定」撤廃については、「教育活動全体を通じて指導の充実に努める」との回答にとどまりました。

 最後に泉代表は、われわれ立憲民主党は、真剣に、忖度なく、率直に質問することが政治姿勢です。約140人の国会議員と、約1200人の地域で頑張る自治体議員が、真剣に課題に向き合い、忖度なく議論を行い、率直に訴え行動しています。岸田政権に替わり、私たちの力で日本の未来のために新しい政治を生み出しましょう。ともに生産的な議論を重ね、新たな政権を構想していきます。立憲民主党はその礎となります」と述べ、質問を終えました。

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