亀井亜紀子衆院議員は、1月27日、衆院本会議において、政府四演説に対して(1)地方創生(2)女性の人権(3)中小企業支援(4)民間企業の公的役割――等について質問しました。

 この中で、亀井議員はフジテレビの問題を「女性の人権問題であり、企業統治の問題」と指摘し「徹底的な調査を行い、再発を防止する」よう求めました。石破総理は、日本民間放送連盟などの取り組みを注視していくと述べました。

 予定原稿は以下の通りです。

政府四演説に対する代表質問

立憲民主党・無所属 亀井亜紀子

立憲民主党の亀井亜紀子です。私は会派を代表し、政府四演説に対して質問いたします。

<地方創生>

地方創生2.0

 まず「地方創生2.0」について伺います。これまでの地方創生と「地方創生2.0」は何が違うのでしょうか。10年間で成果をあげた政策、さらに発展させたい事業はありますか。

 若者の地方からの流出を抑えるため、産官学が連携して地方大学を強化する「地(知)の拠点大学による地方創生事業」がありました。地域産業や雇用創出につながるような有望な事例は出てきましたか。これからどのようにフォローアップするのかも含めてお答えください。

デジタルと地方創生

 私は以前から、地方創生について国会での議論の方向性が、人口減少を止めることより当面進行する人口減少社会をデジタルでどう補うか、という経済産業の方に向いていると感じています。デジタル社会を推進する際、個人情報やプライバシーを配慮する必要があります。 いま、顔認証や位置情報の提供が進んでいますが、私はスーパーシティ法案の審議の時、監視社会につながるという視点から海外で計画が頓挫した例を紹介しました。行政が導入したシステムに住民全体が管理されるということではなく、利用したい人が利用できるように利便性を高める、選択肢を増やすという視点が大事だと思いますが、総理のご所見を伺います。

地方と文化

 総理の施政方針演説では、「楽しい日本を実現するための政策の革新は、「地方創生2.0」です」と述べていますが、若者が地方に帰らない理由は仕事がないから、だけではなく、「地方はつまらないから帰りたくない」という声は確かにあります。ではつまらなくない街をどうつくるのか、という時、私は文化が大事だと考えています。「健康で文化的な生活」を地方でも享受できること。映画・演劇・音楽・美術等に親しむ場があること。そこで偶然の出会いも生まれるでしょう。行政主導の婚活イベントより文化予算を増やす方が、健全で住民全体の利益に資すると思うのですが、総理の見解を伺います。

自由に使える交付金へ

 この度、2000億円に倍増するという地方創生交付金は、国の総合戦略に基づき自治体にも数値目標を入れた地方版戦略を求め、自治体の計画を国が認定・審査する交付金であり、自由に使途を決められる交付金ではありません。私は地方創生こそ地域が自ら考え使途制限なく使えるお金にすべきだと思います。かつて竹下総理の時代に全国の市町村に1億円を交付したことがありました。この事業の評価は様々ですが、ユニークな使い方をした自治体もあります。島根県益田市は重要文化財である雪舟筆「益田兼堯像」を購入し、これを「中世日本の傑作 益田を味わう」というストーリーにして2020年、日本遺産に認定されました。総理、地方創生交付金は自治体が自由に使途を決められる交付金にするべきだと考えますが、ご賛同いただけませんか。

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<女性の人権>

選択的夫婦別姓

 選択的夫婦別姓制度について伺います。

 選択的夫婦別姓は女性の社会進出に伴い、大半の女性が改姓せざるを得ないことによる弊害が指摘されてきましたが、氏を変えることによる女性のアイデンティティの喪失と、結婚に際しては男性ではなく女性が姓を変えるのが一般的であるとする固定観念が対立することもあり、長年議論が進んできませんでした。不本意な改姓を強いられることが多い女性のキャリアの断絶などを防ぐとともに、私は夫婦の氏を共に次世代に残すためにも必要ではないかと考えています。実際、こどもが女の子だけの家庭の場合、氏を残そうとすると女性の結婚が難しくなります。少子化の原因として晩婚化、未婚化が指摘されていることを鑑みれば、選択的夫婦別姓制度を時代が求めていると私は思うのです。法務省の調査では、夫婦同姓を義務化している国は日本しかありません。「選択的」ですから現行の夫婦同姓を選択することに問題は生じないはずです。選択的夫婦別姓制度について、総理は公明党代表に対し、できるだけ早く自民党としての考え方をまとめ、協議を行いたいとの考え方を示したとの報道がありますが、今国会中盤ぐらいから議論できるよう、できれば賛成の方向で早くまとめていただけませんか。総理のご決意を伺います。

フジテレビの問題

 タレントの中居正広さんと女性のトラブルに、フジテレビ社員が関与したとの週刊誌報道を巡りフジテレビへのCM差し止めを決めた企業が70社以上に上ると伝えられています。中居さんは芸能界引退を表明しましたが事態がおさまる気配はありません。

 これは、女性の人権問題であり、企業統治の問題だからです。フジテレビ幹部が関わるとされる別の会食の問題も報道されています。

 これらについて徹底的な調査を行い、再発を防止する必要があります。当初否定していた  「日弁連のガイドライン」にもとづく第三者委員会の設置が先週ようやく決まりましたが、調査期間はわずか2ヶ月。調査が十分にできるのか不安が残ります。

 総理に伺います。フジテレビが23年6月に問題を把握しながら、番組を続けたことは放送法に定める編集責任に関わる問題ではありませんか。政府としても資料提出など放送法に基づく一定の措置は取り得ると思いますが如何ですか。

 放送業界全体としてこうした人権に関わる問題が起きてこなかったのか、把握をして問題があれば放送業を所管する総務省を通じて改善させる必要があると考えますが如何ですか。

<中小企業支援>

下請法改正

 中小企業支援について伺います。「物価高を上回る賃上げ」が必要であることは、現在の物価高を乗り切るためにも明らかですが、現実には実質賃金が下がっています。

 日本の屋台骨を支える中小企業の賃上げは、大企業の賃上げ水準に及んでいないのが現状です。先日、丸山島根県知事と意見交換をしたところ、都市と地方の格差とは、すなわち大企業が立地する都市と中小企業で働く人が大半を占める地方との賃金格差であり、この差が埋まらない限り地方の人口流出は止まらないし、少子化も止まらない、と指摘されました。中小企業が賃上げの原資を確保するためには下請法の改正が必要です。「下請け」という表現をやめる、協議を適切に行わない代金の額の決定を禁止するといった法改正と、買い叩きなど不適切な行為に対しては、公正取引委員会の取締りを強化することは必要だと私たちも考えますが、総理のご所見を伺います。

インボイス制度の廃止

 インボイス制度が始まって1年が過ぎました。想定された通り、事務負担も納税額も増加し、中小零細事業者の経営を圧迫しています。特に食料の生産者は、肥料や梱包材等、生産コストの上昇も重なって追い詰められています。こうした現状に鑑み、インボイス制度は今からでも速やかに廃止すべきと考えます。中小企業者からは、少なくとも、来年10月まで免税事業者からの仕入れでも8割を控除できるようにしている経過措置などを延長、できれば恒久化してほしい、という切実な要望が寄せられていますが、対応していただけませんか。

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<民間企業の公的役割>

JR赤字ローカル線の存廃問題

 国鉄分割民営化から30年以上が経過しました。公的役割をもつ企業が民営化される時、不採算地域に対するサービスをどこまで維持するのか、株主が存在し収益性が求められる企業の公的責任とは何か、という究極的な問題に突き当たります。いま全国のJR赤字ローカル線が存続の危機にあります。改正地域交通法により自治体、公共交通事業者、地域の関係者が話し合う再構築協議会を設置することができますが、これは鉄道の存続を前提としていないので、沿線自治体や関係者は警戒しています。山陰でもJR西日本が木次線を議論の俎上に乗せようとしており、山陰本線も一部区間の輸送密度の低さが指摘されています。

 そこで鉄道ファンとして知られる石破総理に伺います。SL、トロッコ列車、スイッチバック方式等、鉄道は文化的な価値があると思うのですが、例えば「鉄道遺産」という認定制度を作り、地域活性化を国が支援する、海外と姉妹鉄道を結んでインバウンドにつなげる等、積極的に活用するべきではないでしょうか。

 また海外では鉄道の運行とインフラの管理組織を分ける上下分離方式など、行政が公共交通を支える仕組みがあります。ローカル線が消える前に国の支援を求めたいのですが、ぜひ見解をお聞かせください。

郵便局のユニバーサルサービス

 次に郵政事業についてお伺いします。2024年10月から郵便料金が大幅に上がりました。郵政が民営化された2007年は封書80円、はがき50円でしたが、現在は封書110円、はがき85円です。今年から「年賀状じまい」をした人も一気に増えたように思います。大幅な値上げはデジタル化による郵便物の減少や人件費・輸送コストの上昇が原因だと言われますが、それだけでしょうか。全国津々浦々、約2万4千局ある郵便局を維持し、全国一律、いわゆるユニバーサルサービスを提供する郵便事業は日本郵政公社の時代には、貯金と保険事業の収益で支えられ、税金を1円も使わずに三事業一体で成り立っていました。つまり郵便事業を単体の会社組織にしたら、不採算になることは初めから明らかであり、実際に民営化されてから、郵便事業の赤字が膨れ上がっています。現在は日本郵政がゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を保有することで、郵便事業の赤字が補われていますが、日本郵政が将来、金融2社の株を放出すれば、小学校の統廃合のように郵便局の統廃合が進み、農協やコンビニもない全国の過疎地が唯一の金融機関を失うことになります。年金を引き出すこともできなければ、その場所での生活は続けられません。

 郵政民営化の是非をここで問うことはしませんが、今後もユニバーサルサービスが担保されるよう、日本郵政がやがて金融2社の株を放出することになっている現行法を改正する必要があるのではないでしょうか。総理の見解を伺います。

<公共交通>

運転士不足の解消

 いまバスもタクシーもトラックも、運送業全般で運転士が不足しています。そのため地方ではバス路線の廃止や減便が始まっています。タクシーも見つからない時間帯があり、免許を持たない高齢者や学生の通学の足を確保することが自治体の喫緊の課題です。先ほど鉄道の話をしましたが、バスに転換するのも運転士不足で難しいのが地方の現状です。原因として長時間労働、低賃金など労働条件の悪さや、宅配便の増加が指摘されています。運送業の時間外労働を規制した2024年問題もあり、いま2025年を迎えていますが、2024年問題の影響をどう分析しているか、また運転士不足を解消するための施策について、お答えください。

ライドシェアへの対応

 いわゆるライドシェアについては、韓国、トルコ、台湾などの諸外国等でも禁止されており、一旦認めた国でも、諸問題や裁判の判決等により、禁止や再規制を行う傾向にある国がOECD加盟38カ国中で8割に及びます。持続可能な地域公共交通の実現とも矛盾する政策であると考えます。これまでの政府見解である「運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題がある」、「特区でも認めない」という見解と、私たちは同じ立場です。そして、その議論に際しては、都市部や地方部、更には過疎地域の実情を鑑み、それぞれに応じた対策が必要であると考えております。

 そこで総理にお伺いします。タクシー事業者の管理の下で運送サービスを提供する日本版ライドシェアが令和6年4月から開始されていますが、タクシー事業者以外の者が行うライドシェアの導入について、政府としてはどのような方向性を考えておられるのか、お答えください。

<農林水産業>

農業者直接支払制度

 「好きな言葉は『関税』」というトランプ氏がアメリカ大統領に就任しました。言うまでもなく関税は自国の産業を保護するための価格政策ですが、自由貿易協定や経済連携協定が拡がる中、農業については関税の引き下げに伴い所得補償制度が各国で採用されています。日本においても主食の米農家を守るため、民主党政権は農業者戸別所得補償制度を導入しましたが、自公政権により廃止されました。立憲民主党はかつて実施された農業者戸別所得補償制度を、農地に着目した新たな直接支払に転換し、わが国農業の中心である家族経営や集落営農等を積極的に支えるべきだと訴えてきました。

 昨年の臨時国会の本会議で、「所得を補償する政策は、農業者の創意工夫や日々の努力にブレーキをかけ、農地の集積、集約化が進まなくなるおそれがある等の指摘もございます」という石破総理のご答弁がありましたが、むしろ私は、集約化できない中山間地の農業をどう守るのか、ということが、食料自給率を支え、これ以上、地方を衰退させないために重要だと考えます。現行の中山間地直接支払制度では足りません。

 私たちの主食を生産する米農家の所得補償がなぜ問題なのか、中山間地の農業をどう守るのか、総理に伺います。

政府備蓄米

 昨年は「令和の米騒動」がありました。昨夏以降現在まで、値上がり期待から売り惜しみの動きがあると思われ、米の流通量が不足し、米価が上がり続けています。どこかに溜まっている米を消費者に届けるために、一時的に備蓄米を放出すれば、価格が頭打ちし、高値で売り抜けたい業者が在庫を放出し、流通が増え、米価が落ち着く可能性があるのではないでしょうか。 また、今後もインバウンド需要は増え続け、米の供給増が進まない場合には今後継続的に米不足となる可能性があるのではないでしょうか。総理のご所見を伺います。

 そもそも、高い米価で米農家を支えるというやり方は、米の需給と価格の適正化を図る上で限界を迎えているのではないでしょうか。価格は市場に任せ、立憲民主党が訴えてきているように米農家は所得補償で支えるべきではないでしょうか。あわせて総理にお聞きします。

食料安全保障と種子(タネ)

 食料安全保障と種子は直結しており、農家は種子を購入して生産するので、種子の高騰や供給システムが崩れると、私たちは食料危機に陥ります。「タネを制するものは世界を制す」とも言われており、世界の種苗業界は今、遺伝子組み換え、ゲノム編集といったバイオ技術を持つ巨大企業による再編が進んでいます。まず、日本のカロリーベースの食料自給率と主要農作物である米・麦・大豆の種子の国内自給率をそれぞれお答えください。今回の施政方針演説で総理は「食料自給力」という言葉を使われていますが、緊急時に学校の校庭など、そこら中にイモを植えるような自給力ならば、自慢できる政策ではないと思いますので、あくまでも食料自給率でお答えください。

 米、麦、大豆など主要農作物の種子の生産や試験を都道府県に義務付けていた、主要農作物種子法が2018年に廃止されました。根拠法はなくなりましたが、公共の種子を安定的に供給すること、気候変動に耐える品種開発を国の予算で行うこと、在来種を守ること、種子の国内自給率を上げることは食料安全保障の観点から重要であると考えます。国が推奨した民間の米品種「みつひかり」は異品種を混入させ発芽率を偽ったことで農家に甚大な被害を与え、これを供給した企業は刑事告発されています。種子を守り、国内自給率を上げることは国の責務であり、食料安全保障の根幹だと考えますが、総理の認識を伺います。

肥料、飼料価格の高騰

 肥料や飼料等、農業生産資材の上昇により生産費は増加する一方、農産物への価格転嫁が出来ず、生産者の経営が悪化しています。肥料については、為替の影響に加えて、ウクライナ戦争や中国が原料の輸出規制を行ったこと等、外的要因で争奪戦になっています。米の価格が上がっても、肥料の高騰で経営が厳しいとの声が農家から聞こえます。肥料の価格高騰と品薄に対する農業者への支援をどのように行いますか。

 配合飼料の価格も高騰しています。酪農家の6割が赤字で離農が進み、昨年10月、日本の酪農家戸数は初めて1万戸を割りました。生乳の価格形成において、買い手の大手企業と交渉ができるほど酪農家の立場は強くありません。このまま放置すれば、国産の新鮮な牛乳がスーパーやコンビニで手に入る今の環境が当たりまえではなくなるでしょう。酪農家への支援を国はどのように行いますか。お答えください。

漁業法改正と資源管理

 2020年に70年ぶりの漁業法大改正がありました。国際的に採用されている資源管理の仕組みが導入され、漁獲可能量が個別の漁船に設定されるようになりました。漁船の大型化を規制するトン数制限もなくなりました。漁業には沖合に出て大きな網で魚群を囲い込むまき網漁や沿岸の定置網漁、一本釣りなど様々な形態があります。漁獲可能量について当初から大型船に有利ではないか、沿岸漁業に魚が回って来るのか、といった不安の声がありましたが、現在、どのように評価していますか。

 また昨今、資源管理以前に、そもそも魚がいない、獲れなくなったという声が聞こえてきます。特に一本釣りなど小規模漁業者や沿岸漁業者への影響が大きいようですが、気候変動や乱獲等、考えられる要因について政府の見解と対策、漁業者への支援策についてお聞かせ下さい。

<医療・介護・保育>

医師不足問題と医療機関の倒産

 医師に2年以上の臨床研修が必修化された新医師臨床研修制度の導入から20年が経ちました。この制度は様々な診療科の研修を受ける総合診療方式(スーパーローテイト)を採用すると共に、研修先で疲弊する医師の働き方改革でもありました。一方、弊害として研修制度が充実した一部の病院に医師が集中し、大学医局による地方病院への医師供給システムが崩壊したと指摘されています。いま、地方の医師不足が深刻です。県が主体となり医師の確保やキャリア形成支援などを行う「地域医療支援センター」が、国の予算で設立されました。大学医学部に地域枠をつくり、地域医療に従事する学生を選抜し養成する仕組みも出来ました。それでも尚、地方の医師不足は深刻です。県任せにせず、国が医師の確保に積極的に関わるべきだと考えますが、総理の見解を伺います。

 また2024年の医療機関の倒産は64件、休廃業・解散は722件となり、それぞれ過去最高を更新しました。診療所の経営者の高齢化と後継者不足、医療材料費・人件費の増大に対して診療報酬が低すぎる等、医療現場の状況は深刻です。国の支援策を求める声が高まっていますが、総理の回答を求めます。


訪問介護の基本報酬の引き下げ

 政府は令和6年度介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬を約2.4%引き下げました。2024年の訪問介護事業者の倒産は、東京商工リサーチの調査によると過去最多となっており、その要因の1つに訪問介護の基本報酬部分の引下げの影響が指摘されています。特に地方においては、ガソリン代を使って広い範囲を訪問するので採算がとれません。サービス付き高齢者住宅で次々に部屋を回るのとは条件が違うのです。

 立憲民主党は他の野党とともに、訪問介護事業者に支援金を支給すること、その上で、次回の介護報酬の改定を待たずに、訪問介護の介護報酬の改定を行うことを盛り込んだ「訪問介護緊急支援法案」の再提出を準備しています。これ以上の訪問介護事業者の倒産を食い止めるためには、一刻も早く実行すべきです。立憲民主党などの提案に応えて頂けますか。総理の回答を求めます。

保育士・幼稚園教諭の処遇改善

 保育士の処遇改善も急務です。全国的に保育サービスの需要は高まっているものの、保育士人材が不足しており供給体制に課題があります。「潜在保育士」と言われる「保育士の資格を持っていても、保育士として働いていない方」の数も多く、厚労省の調査によれば、100万人を超えます。立憲民主党は、保育所や幼稚園、放課後児童クラブや児童養護施設等で働く全ての職員に対し、まずは緊急的な措置として月額1万円、年額12万円の処遇改善を行う「保育士・幼稚園教諭等処遇改善法案」の再提出を準備しています。まずは政府に、この法案の内容に関する見解を伺います。

<能登半島地震の教訓>

半島振興法の改正

 能登半島地震から1年が過ぎました。地震に加えて昨年9月の集中豪雨も重なり、復興は遅れていると言わざるをえません。もともと半島地域は離島と同様に条件不利地とされ、半島振興法によって支援が行われて来ました。能登半島は、能越自動車道や能登空港等、半島地域の中でも比較的交通インフラの整備が進められてきた地域ですが、それでも今般の地震では、道路や港湾等の大規模な損壊、ライフラインの寸断・途絶等、甚大な被害と集落の孤立が発生しました。

 昭和60年に制定された半島振興法は令和6年度末に期限を迎えます。半島振興法を延長すると共に、「半島防災」の理念を明確に規定し、災害対策に必要な予算と財源を十分に確保すること、半島地域の税制優遇措置についても延長を行うこと等、地域から要望が寄せられています。総理の回答を求めます。

原子力災害避難計画

 今回はたまたま停止中であった志賀原子力発電所は、地震によって変圧器の油漏れなど施設の一部が損傷しました。志賀町が定める「原子力災害避難計画」では、「避難にあたっては、災害の状況に応じ、自家用車をはじめ、自衛隊車両や国、県、町の保有する車両、民間車両、海上交通手段などあらゆる手段を活用する」とされています。他の自治体もほぼ同様の規定となっていますが、万が一志賀原子力発電所で事故が発生した場合に、自動車中心の避難が本当に可能なのでしょうか。避難計画をしっかりと検証し、実効性のある避難計画がないのであれば、原子力発電所を動かすべきではないと考えますが、答弁を求めます。

 同じく半島に位置する松江市の島根原子力発電所2号機は、 昨年12月23日に再稼働し、今月10日から営業運転が再開されました。島根原子力発電所は全国で唯一、県庁所在地に立地しており、県庁までの距離は10キロ以内、30キロ圏内には隣の鳥取県民も含めて約45万人が生活しています。能登半島とは異なり、島根半島には高規格道路もありません。原子力発電が国策である以上、少なくとも避難道路の整備については国が直轄事業で行うべきではありませんか。財政力の乏しい自治体に原子力発電所を次々に建設し、実効性のない避難計画で住民の安全は二の次にする、この国のエネルギー政策を、地域住民は怒りと諦めの気持ちで見ていることを、総理、ぜひ認識していただきたいのですが、ご所見をお聞かせください。

 以上、地方が抱える課題、中小企業や農林水産業など、日本の産業や食料を支える方の立場に立って質問をしました。楽しい日本と言われても、それどころではないというのが地方の状況です。明らかに地方が衰退しており、人口減少の影響を受けています。

 中小企業の従業員も給料が上がり、一次産業の従事者が本業で生計を立てることができれば、地方からの人口流出は止まります。そして儲からなくても生活に必要なサービスは税金で行うこと、それが公の役割であり、政治だと思います。「地方こそ成長の主役」と公言されている石破総理、全国で一番人口が少ない鳥取県を代表する石破総理の前向きな答弁を期待して質問を終わります。